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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第77話[表] 鬼哭界・ハッキングと力場

<Side:Akari>

「だがそうなると、さっきのアクセスコードも意味が少し変わってきそうだな」

 蒼夜が腕を組みながらそんな風に言うと、ロゼが首を傾げてみせる。

「ん? どゆこと?」

 

「あのアクセスコードは、上位のライブラリに接続可能な端末へ行って情報を引き出す為のものじゃなく、上位ライブラリへネットワークから侵入――ハッキングする際に使う代物だって事だな」

 蒼夜が返事をするよりも先に、レンがそう問いかける。

 

「そういう事だ」

「ん? んん……?」

 頷く蒼夜と、やっぱり良く分かっていないロゼ。

 

「そうだな……。簡単に言えば、あれは『ドアの鍵』じゃなくて『ドアを壊すハンマー』って事だ」

「……ん、なるほど。うん、開ける為の物じゃなくて壊す為の物……と。うん。理解した」

 蒼夜の言葉でロゼは納得がいったらしく、頷きながらそう口にする。

 

 ……いやまあ、『完全に理解した』のパターンかもしれないけど、表情からはいまいち分からないわね。

 

「で、でも、ハ、ハッキングするのは、それはそれで難しい……わ」

「うむ……。奴らのネットワーク上のセキュリティは堅牢堅固。痕跡を残さぬよう突破するのは至難の業であると言えよう」

 シアとギルが文字通り難しい顔でそんな風に言ってくる。

 

 まあ……簡単にハッキング出来るのなら、役人は死ぬ事なんてなかったわけだし、それはそうでしょうね……

 なんて思っていると、

「――『竜の座』のメインシステムなら、どうにか出来るかもしれないよー?」

 と、そんな事を急に口にしてくるマーシャちゃん。

 あのヴァロッカでの一件以来、たまにとんでもない事を口にするわよねぇ、ホント。

 

「ふぅむ……。そうなるとグラスティアに引き返す必要があるのぅ……」

 腕を組みながらそんな風に言ってくるクレリテに、

「ここからだと結構大変よね……」

 と、返しつつ肩をすくめてみせる私。

 

「霊的な力の強い場所でもあればな……」

「霊的な力の強い場所……? それなら、『重力反転エレベーター』がそうなんじゃないか?」

 呟く蒼夜に対し、首を傾げながらそんな事を口にするレン。

 

「た、たしかに。あ、あそこは船全体を流れる重力相反界面波の奔流――フォ、フォースストリームの結合点……。つ、強い魔法的な力が発生している……わ」

「ふむ。重力反転エレベーターか……。貴殿らが何をするつもりなのかは分からんぬが、あの場所であれば、偽造パスを作ればどうにかなるであろう。どうする? 偽造パスを作るか?」

 ギルがシアの言葉に続くようにそう言って私たちを見回す。

 

「どういう場所なのかの調査も兼ねて、行ってみるのも良いんじゃないか?」

「そうですわね。もう少しこの世界について調べて起きたい所ですし?」

 ロディとリリアがそう言って、蒼夜の方へと顔を向ける。

 

「……まあ、そうだな。とりあえず行ってみるか」

 蒼夜はそんな風に答えた後、ギルの方へと向き直り、

「というわけで、手間をかけさせて申し訳ないが、偽造パスとやらを作ってはくれないだろうか」

 と、そう言葉を続けた。

 

「何、そんなに手間のかかるものではないさ」

「し、照会用データベースに、い、偽りのパーソナルデータを登録するのが、す、少し面倒なだけ。ぎ、偽造RASEDは山程あるから問題ない……わ」

 ギルに続くようにしてそう告げてくるシア。

 

「偽造RASED? RASEDが必要なんですか?」

「ああ。偽造パスは、重力反転エレベーターの入り口で、RASEDのアプリケーションを介して認証させる仕組みだからな。RASEDがなければそもそもどうにもならないんだ」

「なるほど……そういう仕組みですか」

 そんなユーコとレンの会話を聞きながら私は、地球――日本のモバイルなんちゃらの事をふと思い出した。

 

 まあ……携帯端末が発達している時点で、そういうのがあるのは当然と言えば当然なのかもしれないけれど……

微妙に区切りが悪いのですが、この先は重力反転エレベーターに突入してしまうので、区切れそうな場所がいまいちなく、ここで区切る事にしました。

というわけで(?)次回は重力反転エレベーターです。鬼哭界編の一旦の(エピソード1的な部分の)区切りまでもう少しといった所ですね(まあ、すんなり終わりはしませんが)


とまあそんなこんなでまた次回! 次の更新も、予定通りとなりまして……11月24日(金)を想定しています!

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