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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第57話[表] 鬼哭界・閉ざされた通路

<Side:Yuko>

 巨大な機械の中――そうロデリックさんが表現した、SFに出てくる基地の如き通路をしばらく進んで行くと、巨大なシャッターが見えてきました。

 

「あのシャッターを開けないと、他に行けそうな場所がないですわね」

「そうだな。しかし、どこでどう開閉するんだ……?」

 蒼夜さんがリリアさんの言葉に同意しつつ、周囲を見回しながらそう言います。

 

 それに続くようにしてロデリックさんと灯もまた周囲を見回し、

「ここまで何も現れなかったが……この辺りは放置されている感じなんだろうか?」

「かもしれないわね。まあ、敵がワラワラと出てくるよりは断然楽だからいいけれど」

 と、そんな風に言いました。

 

「しかし、これといって操作出来そうなものは何もないのぅ。外――この向こう側からしか開閉出来ないとかなんじゃろうか?」

 クレリテさんがそう口にした通り、たしかにシャッターを開閉する為のものは何も見当たりませんね……

 

「ん、ここに来るまでの通路にも、うん、それっぽいものはなかった」

「――んー。シャッターの向こう側にも部屋があるが、暗すぎて視づらいな……。一応、何か操作盤みたいなのがあるっぽいのは視えているが……」

 ロゼさんの言葉に続くようにして、そんな風に言ってくる蒼夜さん。

 どうやらクレアボヤンスを使ったようですね。

 

 向こう側に部屋と操作盤があるのであれば、やる事はひとつです。

「うーん……なるほど。でしたら、ちょっと外を見てきますね」

 私はそう告げてシャッターの方へと近づきます。

 

「待ち伏せている……って事はないようだが、なんらかのセキュリティシステムやトラップが存在する可能性もある。一応慎重にな」

「たしかにそうですね。一旦、すり抜けるだけすり抜けてみます」

 蒼夜さんの言う通り、セキュリティシステムやトラップがあるとピンチな事になりかねないので、そう返事をして慎重にシャッターをすり抜けてみます。

 

 ……特に何もなさそうですね。

 というか、操作盤のモニタにも何も映っていませんし、蒼夜さんが『暗すぎ』と言っていた通り、常夜灯レベルの薄暗い照明しか点いていません。

 うーん……。ロデリックさんが言ったように、放置されている感じがしますね。


「特に問題はなさそうなので、このまま操作盤を調べてみますね」

 灯たちにそう伝えると、私は改めて操作盤へと近づいてみます。

 

 えーっと……?

 色々とレバーやスイッチが並んでいますが、どれをどうすればいいのかさっぱりですね……

 何を動作させるものなのかは書いてありますが、これだけではさすがに……

 どこかに操作方法を記した物とかはないのでしょうか?

 なんて事を思いながら周囲を見回してみると、なにやらシャッター横の壁にホワイトボードのようなものが設置されており、そこに何かが長々と記されているのを見つけました。


 あー……。この位置だと、蒼夜さんのクレアボヤンスでは視えませんね。

 そう思いながら早速そちらへと移動し、記されている物を読んでみます。

 

『SE12180 ゲートの封鎖に伴い、当施設も閉鎖』

『再開放の可能性を考え、最小限の保全機能を維持――』

 

 そんな感じの内容が延々と続いています。

 それにしても、施設の閉鎖……ですか。放置どころか放棄されているようですね、ここ。

 SE12180というのが何年前なのかさっぱりですが、ゲートの事を考えると、かなり大昔に放棄されたと考えて良い気がします。


 ただ、再開放の可能性を考えて最小限動かしているという事であれば、シャッターの開放も出来そうな感じがしますが……

 と、そんな事を思いながら更に読んでいくと、

『部屋中央の昇降機の再起動には――』

 という一文が出てきました。

 

 なるほど、この部屋の中央付近に昇降機があるようですね。

 たしかに良く見てみると、床の色が違う所があります。おそらく、あそこが上下するのでしょう。

 これはこれで重要な情報ではありますが、今はまずシャッターです。

 

 そのまましばらく読み進めると、

『シャッターの開放は、まずエネルギー供給弁を開け――』

 という一文が遂に出てきました。これですこれです!

 

 早速、書かれている手順を覚えて操作盤へと戻ります。

 まずはエネルギー供給弁の操作して、次に――

 

 ……

 …………

 ………………

 

「――これで、最後にこのレバーを引けば……」

 そんな事を誰にともなく呟きながら、レバーを引く私。

 と、次の瞬間、シャッターが重い音を立てながら開き始めました。

 ふぅ……。上手くいったようですね。

 

 私は開いたシャッターからやってきた灯たちと合流し、ホワイトボードのようなものに書かれていた事を説明します。

 

「なるほど……閉鎖された施設か」

「何も起きず何も出てこないのも納得というものですわね」

 蒼夜さんとリリアさんがそんな風に言い、

「それなら、このまま昇降機で上に行っちゃっても大丈夫そうだねー」

 と、マーシャちゃんが続きます。

 

 それに対して特に異論もなかったので、私は先程見た手順通りに操作し、昇降機を再起動します。

 そしてそのまま昇降機に乗って上へと移動する私たち。

 

「うん? 光が見えてきた。うん、地上に出る?」

「……。いや、これは地上……なのか? とてもそんな感じには見えないが……。というか、コロニーとはいえ、これはなかなかの構造だな……」

 ロゼさんの言葉に続くようにして、蒼夜さんが困惑と驚愕の入り混じった表情をしながら、そんな風に言ってきます。

 

 う、うーん……。一体、何が視えたのでしょう……?

久しぶりに『・』の付くサブタイトルな事からも分かると思いますが、次回も鬼哭界です。


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も平時通りの間隔となりまして、9月17日(日)を予定しています!

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