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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第55話[表] 青い甲冑と召喚トラップ

「ユーコ、何か思いついた?」

「いえ、まったく……。というか『何かありそう』と感じられるようなものがなにもないんですよね……。ここ」

「そうなのよね……。せめてヒントくらいよこしなさいって感じだわっ!」

 ユーコに対してそう返しつつチャージショットを放ち、マーシャちゃんの方へ向かおうとしていた青い甲冑を吹き飛ばす。

 

 しかし、すぐに少し離れた場所に黝い渦が出現し、そこから青い甲冑が姿を現す。

 それを見ながら私は、

「……こいつら、再出現する場所がランダムすぎじゃないかしら……」

 と、そんな事を呟く。

 

「言われてみると再出現する場所が毎回かなりズレていますね。なんでこんな仕組みなんでしょう?」

 なんて言いながら魔弾を乱射して、再出現したばかりの青い甲冑を吹っ飛ばすユーコ。

 

「さあ……。って、あれ? どこにも渦がないような?」

「ん、通路! 後ろの通路に出現した!」

 首を傾げる私に対し、そう告げながらロゼが駆ける。

 

「そっちですか!?」

「リスポーン地点の幅、広すぎでしょ……」

 驚きの声を上げるユーコに続くようにして、ため息混じりに呟く私。

 そしてそのままロゼの後を追うと、たしかに通路に出現しており、ロゼがそれを一刀両断する所だった。

 

「ふぅむ……。こっちもリスポーン地点になっているって事は、この通路になにかあるかもしれんな」

 ロディがそんな風に言いながら青い甲冑1体を撃破し、私の横へとやってくる。

 

「でも、通路も召喚トラップがあったくらいで、これといって怪しいものはなかった気がするわよ?」

「たしかにそうですわね。この通路に仕掛けられていた召喚トラップの数と、あの青い甲冑の数は合いませんし……」

 私の発言に頷きつつ、そんな事を口にするリリア。

 

 うん? 数?

 

「……一番最初の召喚トラップで出てきたゴーレム飛竜って、5体だったわよね?」

「そうですね。……そして、青い甲冑も5体ですね」

「これ、偶然だと思う?」

「いえ、まったくもって偶然だとは思えないですね。というより、召喚トラップ以外に何も怪しい物が見当たらないという事は、召喚トラップに解答がある――つまり、青い甲冑の数とゴーレム飛竜の数には、なんらかの関係があると考えた方が妥当かと」

「ええそうね。私もそう思うわ」

 私とユーコがそんな風に話していると、

「ああ、たしかにそうだな。よし、とりあえずあそこまで戻ってみるとしよう」

 と、私たちの会話を聞いていたらしい蒼夜がそう言うなり、マーシャちゃんを自分のもとまで転移させ、更に抱き上げた。

 

「わわっ、驚いたっ」

 と驚きの声を上げるマーシャちゃんに、

「いきなり引っ張ってすまん。が、少し我慢してくれ」

 と謝りつつも、そのまま走り出す。

 

 それを追う形で私たちも走る。

 青い甲冑が後ろから追いかけてくるが、私たちは敢えて倒さずに走り続けて逃げる。

 なぜならば、どこに再出現するかわからない以上、この方が確実に引っ張れるし、前に回り込まれる心配もないから。

 

 ――程なくして、後ろから追ってくる青い甲冑を引き連れたまま、最初の召喚トラップのあった場所へと辿り着く。

 

「このあたりのはずだけど……」

「そうじゃな。インスペクション・アナライザーで魔力の残滓が見えたわい」

 私の呟きに対し、クレリテがそんな風に言ってくる。

 

 それを聞いた蒼夜がマーシャちゃんを床におろしつつ、

「よし、ここで倒してみるか」

 と言った。

 

「ん、そうしよう。クレリテ、撃破タイミングの合図よろしく。うん」

 頷きながらそう返事をし、迫ってくる青い甲冑を見据えるロゼ。

 

 私もチャージショットを構えつつ、迫る青い甲冑から視線を逸らさない。


 ……迫る。

 ……更に迫る。

 

「そこじゃ!」


 クレリテの発した掛け声に合わせ、一斉に攻撃を放つ私たち。

 当然と言えば当然の話だけれど、明らかに過剰火力と言えるほどの凄まじい攻撃の嵐が青い甲冑5体へと襲いかかり、一瞬にしてその全て消し飛ばした。

 

 ……さて、どうかしらね?

 

 周囲を見回しながらそのまましばらく待つと、20メートルくらい離れた場所に、黝い渦がひとつだけ出現した。

 

「……ん。違った?」

「いや、クレアボヤンスで視てみたが、門に近い所に渦がふたつ出現していた。つまり、渦の出現数が全部で3つに変わった感じだ」

 首を傾げるロゼに対し、蒼夜がそんな風に返す。

 そして、それに続くようにしてリリアが、

「3……。2回目の召喚トラップで出現したゴーレム飛竜の数と同じですわね」

 と、そう告げる。

 

「どうやら『正解』だったようじゃな。もっとも、1回で終わりではないようじゃが……」

「そうみたいね。でもまあ面倒ではあるけれど、正解が分かってしまえば後は大した事でもないというか……単なる作業と大差ないし、とっとと片付けてしまいましょ」

 やれやれと肩をすくめるクレリテに対して私はそう返し、2回目の召喚トラップがあった辺りへ向かって移動するのだった――

今回も想定よりも少し長くなりました……


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も平時通りの間隔となりまして、9月11日(月)を予定しています!

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