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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第51話[表] 冥界への門

<Side:Akari>

「ふぅむなるほどのぅ。たしかにこれは、妾たちがこの異空間へ来る際に使ったモノと全く同じ代物じゃな」

 冥界へ続くと思われる門――裏位相コネクトゲート――の前までやって来た所で、クレリテがそんな事を呟くように言った。

 

「おそらく、共通の規格で作られた代物なんだと思いますわよ。――さて、70%のエネルギーでこれを再起動させる事が出来るかどうか……ですわね」

 リリアが門を見ながらそんな風に言い、ユーコの方へと顔を向ける。

 それに対して、ユーコは頷いてみせた後、

「はい。早速リブートしてみますね」

 と返事をして、門へと近づく。

 

 するとその直後、『コネクトゲート・リンク……ハイバネーション』という文字と、『リブート』と『キャンセル』という文字が表示された。

 

 ユーコは「今度はどうでしょうか」と呟きながら『リブート』へと手を伸ばす。

 表示されている文字が『要求を確認。……実行』と変化し、そのまま待つ事しばし……

『リブート……コンプリート』

 と、そう表示された。


 コンプリート! どうやら上手くいったっぽいわね!

 

「お! コンプリートになったぞ!」

「成功したみたいだねー」

 蒼夜とマーシャちゃんがそんな風に言った直後、門がギギッという重たい音を立てて開き始める。

 

 それは、まさに私たちがアルミューズ城の地下にあった門を開いた時と同じような感じだった。まあ、今回は私も蒼夜も手を触れていないけど。

 なんて事を考えている間に、途中で止まるような事もなく門が完全に開ききり、黄昏色の光が窓から射し込んでいる広間がその姿を見せた。

 

「これが……冥界?」

「あそこの窓辺まで行けば確実にわかりますわ」

 私の呟いた疑問に対し、リリアがそう言いながら門をくぐる。

 

 窓辺まで行けばわかる? どういう事なのかしら? と思いながら、リリアの後を追うように私もまた門をくぐる。

 そしてそのまま窓辺へと歩み寄り……理解した。

 

「な、なるほど、これはたしかにグラスティアとは違う世界――コロニーだというのが良く分かるわね……」

 そんな風に呟いた私の視線の先には、空に向かって伸びる大地があった。

 

「うーむ……。地平線が存在せず、代わりに大地が上に向かって伸びているのが見える……か。グラスティア以上にコロニー感が強いな、これは」

 横にやって来たロディが、外を眺めながらそう口にする。

 

「そうね。まったくもってその通りだわ。……というか、何故か懐かしい感じがするわね。この光景」

「ええ。まさに魂が震えると表現するのがしっくりくるような、そんな景色ですね」

 私に続くようにして、そんな事を言いながら外を見るユーコ。

 

「だが、ここは俺が以前訪れた冥界――どこかの城とその周辺とは大分違うな。あっちは赤茶けた地面に奇妙な形の岩が立ち並ぶ荒野しか城からは見えなかったからな」

 窓から外を見ながら蒼夜がそう言うと、それに続くようにして、

「ん、地面自体は赤茶けているけど、うん、黒ずんだ水に満ちた湖と、奇妙な形の木? 草? よくわからないけど、うん、植物が見える」

 と、そんな風にロゼが言う。

 

「あの黒ずんだ水、どういうわけか毒っぽい感じしかしないわね」

「私のような存在にとっては、逆に力が増幅される効果があるような、そんな気が何故かしますね」

 私とユーコが黒ずんだ水をたたえた湖を眺めながらそう呟くと、

「うん? それも魂の記憶とやら?」

 と言いながら首を傾げるロゼ。

 

「う、うーん……。なんとも言い難い所だけど、そう……かもしれないわね」

 あまり自信がないので、そんな感じで曖昧に告げると、

「ふーむ。もしそうだとしたら、あれには生命力を奪う代わりにアストラルを増幅する……といったような性質があるのやもしれぬのぅ」

 なんて事を口にしつつ、腕を組んで考え込むクレリテ。

 

 ああなるほど……。言われてみるとそんな気もしてきたわね。

 もっとも、あくまでも『なんとなく』でしかないのだけれど……ね。

久しぶりに冥界(と呼ばれているコロニー)の登場です。

もっとも、特に大きな事件が起きたりはしませんが(今の所は)


といった所でまた次回! 

次の更新も平時通りの間隔となりまして、8月28日(月)を予定しています!

ただ、その次は月末月初の諸々の都合で1日多く間が空くかもしれません……

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