第42話[表] リリア合流
<Side:Akari>
「コロニーとコロニーとを繋ぐ……通路?」
「ルナルガントの大公宮に存在する――いや、以前存在していた冥界と繋がっている空間の亀裂みたいなもの……か?」
私と蒼夜がそれぞれそんな問いの言葉を投げかける。
「ルナルガントって?」
蒼夜の問いの中に出てきたその名称が分からず、ユーコの方を見て問いかけると、
「ローディアス大陸の北西部にあるフォーリア公国の首都ですね」
と、そんな答えが返ってきた。
「ああー、例の閉ざされた大陸の……」
私が納得顔でそう呟いた所で、
「ルナルガントの大公宮にあったアレは、無理矢理時空を歪めて繋いだ『穴』のようなものですわね。当然、無理矢理ですので、永続的に繋いでおくのは不可能ですわ」
と、問いかけに答えるリリア。
「うん、たしかにあれはもう使えない。うん」
「そうだな。いつの間にか閉じてしまっていたとリンとセルマから以前報告があったし」
頷くロゼに続く形でそんな風に言う蒼夜。
リン? セルマ? 誰だか知らないけれど、とりあえず『黄金守りの不死竜』の人間だと思っておけばよさそうね。
「――ですけれど、各コロニーからこの裏位相へ繋がるゲートを作る形にすれば、あとはそれぞれのゲート同士を通路で繋げば、行き来が簡単に出来るというものですわ」
「なるほど……たしかにそうだな」
蒼夜がリリアの説明に納得し、顎に手を当てながらそう返す。
「もしそうだとしたら、ここから冥界だとか混沌界だとか鬼哭界だとか呼ばれる異界――別のコロニーへ行けるって事……よね? もしかして『竜の御旗』は、それが目的でゲートを確保しようとしていた……とかなのかしら?」
私がそんな推測を口にすると、
「そうじゃなぁ……。リリアの言う仮説が正しいとするならば、その可能性は高いやもしれぬが……『竜の御旗』――というか、『銀の王』たちはコロニー間を行き来する術を持っておるようじゃし、そこまで必要とは思えんのぅ……」
と、クレリテが腕を組んで考え込みながら呟くように言ってきた。
「うぅん。だからこそ、うん、積極的に奪おうとして来ないのかも? うん」
「ふむ……。たしかにそうじゃな」
ロゼの発言にクレリテがそう返した所で、
「まあ、その辺りも含めて、もう少し先へ進んで見るとしますわよ。ここから急にエレストリウム製の壁になっている理由もさっぱりですもの」
と言って肩をすくめるリリア。
「エレストリウムってのは、この壁の事か?」
「ええ、その通りですわ。まあ、私も以前は『アウラセラムもどき』とか呼んでおりましたけれど、正式にはそんな名称があるそうですわよ」
ロディの問いかけにリリアがそう答える。
……アウラセラムもどきとか言われても、そもそもそのアウラセラムとやらがなんなのかさっぱりだけど。
なんて事を思っていると、
「アウラセラムというのは、アウリア文明の遺跡で良く使われている建材ですね」
などと私に対して小声で補足してくるユーコ。
う、うーん……。相変わらず、人の考えている事を読んでくるわねぇ……
と思いつつも、それは口に出さず、
「――それはそれとして、この隠し通路を進む感じでいいのかしら?」
という問いの言葉だけを口にする私。
「ええ、そうですわね。わざわざ隠されている時点で怪しさ抜群というものですし? まずはその先から行ってみるのが良いと私も思いますわね」
「それじゃあ、早速行ってみよー!」
私に対して同意の言葉を紡ぐリリアに続く形で、マーシャちゃんがそんな風に言ってくる。
隠し通路の先って、テレポーターなのよねぇ……
どんな場所に繋がっているのやら……ね。
なんて事を思いながら、私はマーシャちゃんに頷いてみせた。
リンもセルマも久しぶりすぎる登場ですね……(登場と言っても名前だけですが……)
とまあそんな所でまた次回! 次の更新は少々予定が詰まっており、再び平時よりも1日多く間が空く形となり……そうだったのですが、少しだけ出来ている為、平時通りの間隔でいけそうな感じだったりします。
というわけで、次の更新は7月26日(水)を予定しています!(……もっとも、その次は再び1日多く間が空いてしまいそうな感じだったりしますが……)




