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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第25話[表] ファクトリーショップ

<Side:Akari>

「アリシアのように構造がどうとかってのはさっぱりだったけど、なかなか興味深い魔煌具の数々を見られたわね。って、あ、これは欲しいかも」

 大工房の中にある『魔煌具の直売所』的なお店『ファクトリーショップ』で、あれこれと物色しながら、そんな言葉を隣にいるユーコへと投げかける私。

 

「そうですね。……って、灯、なんですかそのゴーグル」

「周囲の各種情報を自分だけが見える幻影として表示する魔煌具だって。相手の戦闘力が見え……たりはさすがにしないけどね」

「……なるほど。要するに、マーカーレスタイプのARみたいなものですか」

 私の説明に対し、そう返してくるユーコ。

 

 ……まーかーれすたいぷのえーあーる?

 正直、何を言っているのかさっぱり分からないけど、

「うんまあそういう感じの代物ね。気になるなら付けてみたら?」

 と、とりあえずそんな風に返事をしておく私。

 

「そうですね。……うーん、私はゴーグルよりもこっちの方が好みですね」

 ユーコがそう口にしながら、アイガードタイプの物を手にとって装着する。

 そして、

「なるほど……視界がゲーム画面みたいな感じになりますね」

 なんて感想を言ってきた。

 

「あー、そうね。パラメータとかゲージとかアイコンとかが配置されている感じになるから、たしかに似ているわね」

「でも……風向きや物の大きさといった色々な情報が分かるのはいいですが、この情報、そこまで必要となるような情報ではないような……」

 周囲を見回しながらそんな風に言ってくるユーコに対し、

「うーん……。私は魔煌弓を使うから、特定の場所までの距離とか障害物の大きさや風の強さ、魔煌波の状態とかが分かるっていうのは結構便利だったりするのよね」

 と、答える私。

 すると、

「魔煌弓って風や重力の影響を受けるものなんですか? 魔法の矢ですよね?」

 なんていう、ある意味もっともな疑問を首を傾げながら投げかけてくるユーコ。

 

「そうね。自然の風や重力の影響はたしかに受けないわ。でも、風属性や重力属性といった、『属性』の力が生み出す歪み……みたいなものの影響は受けるのよ」

「そうなんですか……。それはまたなんとも不思議な感じですね」

「そうなのよねぇ……。自然現象じゃなくて、魔法によって擬似的に生み出されたものだから……とかなのかしら? ほら、RPGとかでもファイアボールみたいな魔法で生み出された炎は反射出来ても、武器や道具などで生み出された炎や、ドラゴンが吐く炎なんかは反射出来ない……とかあるじゃない?」

 私はユーコに対して、そんな風に推測を述べて肩をすくめてみせる。

 

 なんというか、ある意味ファンタジーらしいと言えばファンタジーらしいけど……本当に不思議だわ。

 

「ああなるほど、たしかに言われてみるとそうですね。炎属性の魔法攻撃と炎属性の物理攻撃は、同じ炎属性でも別物……という奴ですね」

「そうそう、そんな感じ。――でまあ、そういうわけで私としてはあると便利な代物なのよ」

 私がユーコに対して首を縦に振りながらそう言うと、ユーコは納得顔で、

「納得です。でしたら、私はこっち――インスペクション・アナライザーでも買っておきましょうかね。広捜隊共用の物はありますが、個人用の物は持っていませんし」

 などと言いながら、インスペクション・アナライザーへと手を伸ばす。

 

「そうねぇ……。広捜隊共用のって一昔前のヤツだから、上手く看破出来ないケースもあるのよね……。最新のヤツを買っておくのはありだと思うわ」

 なんて返事をしつつ、ふと周囲へ視線を向ける私。

 

 ……? エステルの姿が見当たらないわね……

 『ファクトリーショップ』へ来た時にはいたのに、どこへ行ったのかしら?

 と、そんな風に思っていると、今度はエステルがカリンカと一緒に戻ってくる姿が視界に入った。


 そう言えば、例の装置を運び込むとかなんとか言っていたわね……

 ちょうど今、運び込まれた所って感じなのかしらね?

今回は予定通りに更新出来ました……

今回、アルミューズ城まで一気に飛ばすか迷ったのですが、この辺りを描写しておかないと話が唐突に飛びかねない部分があるので、テンポが落ちるものの描写する形にしました。


とまあそんなこんなでまた次回! 次の更新ですが……少々予定が詰まっております関係で、申し訳あしませんが、平時よりも1日多く間が空きまして……5月27日(土)を予定しています。

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