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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第23話[表] カメラ機能と端末

<Side:Akari>

 エステルが室長を務める研究室のひとつ――とりあえず、人が出払っているここを見学する事になった――に入った所で、

「ほっほぉぉぅぅっ! これが最先端の技術ッッッ!」

 なにやら見た事のないテンションでそんな事を叫ぶアリシア。

 そして、

「なるほどなるほどぉ。これをこうするといいのかぁー」

 などと、術式の表示されているホログラムモニタみたいなものを見ながら、自分の携帯通信機で写真を撮り始めた。

 

「……って、アリシア、カメラ機能付きの携帯通信機なんて持ってたのね」

「ん? あー、これ? 自分で付けたんだよぉー。あと、正確にはカメラじゃないんだよねぇ」

 私の問いかけに対し、アリシアがサラッとそう返してくる。

 

「……いやいや、自分で付けたって……」

 そんな風に私が呆れ気味に言うと、ユーコが首を傾げながら問う。

「というか、カメラじゃないというのは、どういう事です?」

 

「あー、うん。エレンディアのジャンクショップで、オートマトンのモノアイパーツを売っててねぇ。無理矢理カメラとして繋いだんだよねぇ。だからまあ、そこまでキレイには撮れないし、十数枚撮ったら容量不足になっちゃうんだよねぇ」

 などと説明して、肩をすくめてみせるアリシア。

 

「ま、まさかオートマトンのモノアイだとは思いませんでした……」

「また無茶な物を取り付けたものじゃのぅ」

 ユーコとエステルが揃ってそんな風に呆れた声を発した。

 

「でも、発想としては面白いねー」

「だよねぇー。さすがマーシャ! 良く分かってるねぇー」

 マーシャちゃんに対して、アリシアがウンウンと頷きながらそう返す。

 

 ……やっぱりこのふたり、波長が良く似ているような気がするわ……

 年齢は全然違うけど。

 

「しっかし、良い端末が多いな……。ここまでのじゃなくてもいいから、エレンディアでも売られていればいいものを……」

 ロディがそんな風に言いながら、研究員用と思しきPCもどきを眺める。

 

「そう言えば、エレンディアにはまだ一般には出回っておらなんだのぅ」

「まあ、イルシュバーンから直接取り寄せている者なら少しはいるが、輸送料が高くてなぁ……」

 エステルに対しそう言いつつ、やれやれと首を横に振るロディ。

 

「そう言えば、なんでエレンディアにはまだ出回っていないのかしら? エレンディアもこの手の物ってあちこちにあるわよね? 古いけど」

「ああそうだな、企業や組織レベルではたしかに普通に存在しているが……それは個別に魔煌波対策が施されたビルだからだな。一般の家にはそんな対策なんてされていないし出来る物でもないから、広く出回ったりしたら、魔獣の出現頻度が大幅に上がってしまう……っていうのが最たる理由だな。エレンディアの魔獣出現対策は、イルシュバーンほど優れているわけじゃないし」

 私の疑問に、ロディがそんな風に説明してくる。

 

「なるほど……。そう言われるとたしかにそうねぇ……。ちなみに私たちの住んでいる建物って、その対策されてるの?」

「バッチリ対策済みだよぉ。クーさんが」

 ロディに代わる形で、アリシアがそう返事をしてくる。

 

「さ、さすがクーさん。自分で持ち込んできただけはあるわね……」

 私が頬を掻きながらそんな風に言うと、それに続く形で、

「ま、それもあって1台くらい用意しておきたいとは思ってんだよなぁ」

 と、言いながら顎に手を当てるロディ。

 

「なあ、エステル。たしか、型落ちの奴が何台かあったよな?」

「うむ。プラネタリウム研究室の端末を新しくしたからのぅ。広捜隊に引き取って貰うのはありじゃな。広捜隊が型落ちで良いというのなら、じゃが」

 エステルは蒼夜の問いかけに対してそんな風に答えた後、ロディの方を見た。

 それに対してロディは、「それは……うーむ……」と言って考え込む。

 

「ああ、型落ちと言ってもスペック自体はそんなに悪くないぞ。フラッグシップやハイエンド程とは言えないが、ミドルレンジよりは良い――ミドルハイって所だ」

 蒼夜が、ロディが考え込んでいるのはスペックの事だと思ったのか、そんな風に告げた。

 ……正直、何言ってるのかあんまり良くわからないけど、最上級クラスの代物ではないものの、上級クラスの代物ではある……と、そう考えておけばいいのかしらね?

 

「それだけあれば十分じゃないぃ? 貰っておこうよー。ウチにハイエンド以上の物とかあっても、多分持て余すと思うよぉー?」

 アリシアが蒼夜と同じ事を思ったのか、そんな風に言う。

 

「あー、いや、そういうわけじゃなくてだな……。なんつーか……」

 どう説明するべきかと悩むロディ。

 その様子を眺めながら、個人的にもタダで手に入るなら欲しいと思った私は、ユーコと顔を見合わせ、そして頷く。

 

「――午前中も言ったけど、今更だと思うわよ」

「そうですね。今更ですね」

 と、私とユーコは後押しのために、再びその言葉を口にした。

もう少しコンパクトになる想定だったのですが、思った以上に会話が長くなってしまったので、一旦ここで区切りました……


というわけで、また次回! 次回は所用の都合で平時よりも1日空く……はずだったのですが、今回の入り切らなかった分がそれなりにある為、平時通りの間隔で更新出来そうです。

なので……次の更新は、5月16日(火)を予定しています!

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