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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第20話[Dual Site] 魂と血 

「――ま、こんな所で問題なかろう」

 正面に展開されている八角形の魔法陣を繋げて壁状にしたものを見ながら、そんな風に言って広げてあった道具をしまい始めるクレリテ。

 

 それにしても、八角形の魔法陣なんてあるのね……

 見た目は八卦盤……だったかしら? 風水術で使う八角形の盤に似ているけど。

 

「魔煌具の方もすぐに届くと思います」

 携帯通信機を見ていたカリンカが顔を上げ、そうクレリテに告げる。

 

「ふむ。であれば、ここでそれを待つとしようかの」

「そうですね。アルケインスターの方には、様子見は必要なものの、とりあえず発生しなくはずだという旨を通信で伝えておくとしましょう」

 カリンカはクレリテに頷きつつ、そう言って再び携帯通信機を操作。

 アトラクションの管理責任者と通話を始めた。

 

「――ところで、お主たちはこの後どうするつもりなのじゃ?」

 通信クレリテがそんな風に私たちを見て問いかけてくる。

 

「午後からは大工房へ行く予定ですね」

「ああ。時間的には昼飯を食って向かえばちょうど良さそうな感じだな」

「ロゼの家に一度戻った方がいいのかしら? 土地勘がないから良く分からないわね」

 ユーコ、ロディ、私の順でそんな風に言うと、

「いや、地上に出てアルケインスターの前にあるトラムの停留所からエクスクリス学院方面行きに乗って、大工房前で降りる方が圧倒的に早いぞい。ここからだと、アーヴィングの家はグランテールに戻って、そこから更に地上のトラムに乗り換える必要があるからのぅ」

 と、そう告げてくるクレリテ。

 

「あ、そうなのね。それじゃあそれで行きましょうか」

「ええ、それで良いと思います」

 ユーコが私に対して肯定を示すと、ロディもまた肯定するように首を縦に振り、

「そうだな。乗り換えがいらないならその方が楽だしな。ロゼたちには通信で大工房の前で合流すると伝えておくか」

 と言って、携帯通信機を取り出した。

 

「それにしても、こんな場所でも携帯通信機が普通に使えるって辺りが凄いわよね。エレンディアだと、地下はノイズが入って上手く繋がらなかったりするのに」

「たしかにそうですね。……でも、どうしてあのような現象が起きるのでしょう? 通信の仕組みとしては『魔法』のはずですが……」

 私に対してそう言ってきたユーコ。

 その言葉には『携帯電話のように電波で通信しているわけではないのに』という意味合いが含まれていたりする。

 

「地中には僅かとはいえ、魔晶が含まれておるからの。それの影響で通信が阻害されてしまう事があるのじゃよ。ルクストリアはそういった魔晶の影響を防ぐ装置が都市全域に満遍なく設置されておるゆえ、問題ないがの」

「そういうものなのね……。というか、さすが世界最高の魔煌技術を有する国の首都だけあるわね……」

 クレリテの説明に対してそう返事をして肩をすくめてみせた所で、

「連絡し終わったぞ」

 と、ロディから告げられる。

 

「ありがとうございます。それでは、地上へ出てトラムに乗るとしましょうか」

 そう言ってきたユーコに頷き、私たちはクレリテ、そしてカリンカと別れ、大工房へと向かうのだった――

 

                    ◆

 

<Side:Karinka>

「――ふむ。あれがアーヴィングの娘たちの『石化』を解除する鍵を握るというアカリとユーコか。なるほど、たしかに特殊な魂を持つようじゃな。『雰囲気』が独特じゃったわい」

 アカリちゃんたちが去った所で、そんな事を私の方を見て呟くように言うクレリテさん。

 

「雰囲気が独特……と言われましても、私は残念ながらそれを認識出来るような力はないので、そうなんですか? としか言えませんね……。まあ、魂が特殊なのはその通りですが」

 と、そう返す私。なにしろ、アルチェムちゃんと冥将カローア・ヴィストリィの魂が半分ずつ混ざり合っていて、更にそれがふたりに分かれている状態なわけだしね。


「ちなみに、私のように魔王血統を持っていたりする感じですか?」

 魂が特殊ならば、もしや血の方も特殊なのではないかと考え、私はそんな風に問いかけてみる。

 

「さすがにそれは専門外ゆえ分からぬが……おぬしのような『雰囲気』は感じなかったゆえ、魔王血統やらドラグナーズブラッドやらエルダーブラッドやらといったものは有しておらんと思うぞい」

 なんて返事をしてくるクレリテさん。


 ……なるほど。そういった特殊な血を持っているわけじゃないんだね。

 あくまでも魂が特殊……と。

 でも、うーん……。ある意味、『血』に翻弄されない分、いい……のかな?


 そんな事を考える私だった。

後半のカリンカの語りは、敬語を使わない場合のカリンカの口調です。

まあ、カリンカ自体が久しぶりの登場だったので、敢えて本来の話し方を(心の中ではあるものの)するシーンを入れておこうと考えてこの様な形にしてみました。


とまあそんな所でまた次回! 次の更新は平時通りの間隔となりまして……5月6日(土)を予定しています!

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