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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第10話[表] クレリテとの遭遇

<Side:Akari>

「それにしても、最近作られた割には随分と古っぽい壁があるわね……」

 地下トラム乗り場へとやってきた私は、周囲を見回しながらそんな風に口にすると、

「まあ、ガディ・アドの迷窟が健在だった頃に作られたと思しき遺構を一部流用していますからね」

 と、カリンカが返してきた。

 

「ガディ・アドの迷窟?」

 首を傾げながら私が問いかけると、

「かつて、ルクストリアの地下に広がっていた巨大な自然洞窟の事です。今でもある程度は残っていますが、中世時代に発生した『広域崩落』によって、その大半が埋もれてしまっていて、かつてのような広大さはありませんね。まあもっとも、その『広域崩落』で埋もれるのを免れた『どこにも繋がっていない状態になっているかつての洞窟の一部』を利用して作られている施設は多いですが」

 という説明をしてくるカリンカ。

 

 巨大な洞窟……そんなものが都市の地下にあるのね……

 まあ……ある意味、オルティリアとかも似たようなものではあるけれど……

 

「もしかして、この地下トラムもそれを利用して作られている……とかなのですか?」

「はい、その通りです。ゼロから掘削するのでは時間がかかってしまいますが、最初から存在している空洞を利用すれば、工事期間を大幅に短縮する事が可能ですからね」

 ユーコの問いかけにそうカリンカが答えた所で、

「ま、大昔の人間も同じような事を考えたようじゃのぅ。地下大聖堂の基となった大伽藍や我が監視しておる例の『門』は、そういった大昔の人間によって作られたものじゃからのぅ」

 なんていう声が聞こえてきた。

 

 ……うん? と思いつつ、声の聞こえた方へと顔を向けると、そこにはどことなくセーラー服を思わせる雰囲気を持つ和装の上に白衣風のコートを羽織ったキツネのような耳と尻尾を持つ――テリル族の女性が立っていた。

 

 ……って、尻尾が3つあるわね……。テリル・ナギ……だったかしら?

 たしかテリル族のみで構成されているコミュニティではリーダーとかそういう偉い立場になる事が多いとかなんとか、そんな事が『ワールドエンサイクロペディア』……女神自ら書いたとかいう本に記されていた記憶があるわ。

 

 などと事を考えていると、

「カリンカよ、そちらの3人は、話にあったエレンディアからの客人かの?」

 と、そんな風にカリンカに対して問いかけるテリル・ナギの女性。

 

「ええ、その通りですよ、クレリテさん。こちらはエレンディアの広捜隊という組織に所属しているロデリックさん、アカリさん、そしてユーコさんです」

 そうカリンカに紹介された私たちは、テリル・ナギの女性――クレリテに対して、軽く自己紹介をする。

 そして、こちらの自己紹介が終わった所で、

「我はクレリテ。クレリテ・ヴィ・カーネルティア・オーデデュード。アーヴィングの要請で、以前ソウヤたちが発見したという古代の門について調査しつつ、『竜の御旗』が近づかないか監視を行っている者じゃ」

 と、そんな風に自身について説明してきた。

 

「そなたらは、アルケインスターで噂になっておる幽霊について興味がある……という事かの?」

 そう問いの言葉を続けてきたクレリテに、

「あ、はい。そちらにもクレリテさん自身にも興味があったので、こうしてカリンカさんについて来た形です」

 と、答えるユーコ。

 

「ふむ……。我にも興味があるというのが、いまいち良く分からぬが、まあ……とりあえず地下トラムが着たようじゃ。こちらから振っておいてなんじゃが、話は後にして先に乗ってしまうとしよう」

 と言って、地下トラム乗り場の方を見るクレリテ。

 ――たしかに到着を示すアナウンスが聞こえてくるわね。

 

「そうですね。とりあえず乗るといたしましょうか」

 カリンカにそう促される形で、私たちは改札を通り、地下トラムへと乗り込むのだった。

『ガディ・アドの迷窟』という用語、もの凄く久しぶりに使いました……


とまあそれはそれとしてまた次回! ……なのですが、次の更新は月初の諸々の都合で平時通りの更新は難しい状況である為、平時よりも1日多く空きまして……4月3日(月)を予定しています!

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