第3話[Dual Site] クルマとロゼの家
<Side:Souya>
「すげぇクルマの数だな……。エレンディアですら、まだそんなに走っていないってのに……。さすがは最先端の魔煌技術を誇る国だけはあるって所か」
ルクストリア中央駅から外に出た所で、ロディがそんな風に言う。
「まあ、ここ1~2年だけどな。ここまでクルマが一般的に普及したのは。――レビバイク専用道路を、都市間高速道路や都市内車両道として、クルマも通れる用に整備しなおしたのが、一番大きいな」
「待て待て。そんなもん1~2年で整備しなおせるような代物じゃない気がするんだが……?」
というもっともな疑問を口にするロディに、
「イチからやるとしたら無理に近いだろうが、そもそもレビバイク専用道路を作る際に、いずれもっと大型の物も通れるように……という考えで設計されていたから、割と簡単に出来た感じだな」
と返す俺。
「なるほど……。それはまた良い先見の明を持っているな」
「そりゃまあ……道路を設計したのは、レビバイクを生み出した人間だしな」
「ふーむ。つまり最初から全て織り込み済みってわけか。それはすげぇな」
そう感嘆の声を口にしたロディだったが、すぐに顎に手を当て、
「……いや、レビバイクの発明者はニホ……アカツキ皇国の人間みたいな名前だったな。もしかして?」
と、思考しながら問いかけてきた。
「ああ、『そういう事』だ」
「まさにチートという奴だな……」
頷く俺にそんな風にロディが返してきた所で、
「ところで、そろそろ日が沈みそうですけど、私たちの泊まる宿はどこにあるんですか?」
という疑問を、夕日を見ながら投げかけてくるユーコ。
「ん、ウチ」
「え? ロゼさんのお家なんですか?」
サラッと返事をしたロゼの方を見て驚くユーコに、
「うん。ウチ、広い。10人くらいまでなら余裕で1人部屋を用意出来る。うん」
と、告げるロゼ。
「それ、広すぎでしょ……。さすが、元国家元首の家ね……」
「最近、大浴場も増設したってアルヴィンスさんが言ってたし、ちょうどいいと思ってな」
ちょっとだけ呆れ気味に言う灯に対し、俺がそんな風に言うと、
「ん、内装もリフォームした。うん、アカツキ皇国から畳を取り寄せて、部屋の壁や床も色々変えた。うん。今はもうほぼ外も中もアカツキ風の屋敷になってる。うん」
なんて事を俺に続いて告げるロゼ。
……いつの間に……。というか、そこまでガッツリとリフォームしていたとはな……
さすがというべきかなんというべきか……
とりあえず、アリーセが戻ってきたら驚くのは間違いないな。
◆
<Side:Akari>
「ん、ここがウチ」
ロゼがそう言って、和風感漂う立派すぎる木製の門を開けつつ、その先――途轍もなく広い庭園の中に建つ、巨大な屋敷……武家屋敷を指さす。
と同時に、「広すぎぃぃぃ!」と、アリシアがある意味予想通りな驚きの声を上げた。
……うんまあ、たしかに広いわね。
でもそれ以上に気になるのが――
「……周囲の建物との差が激しいわね……」
という点だった。
周囲は洋風なのに、ここだけ和風ってのがなんともまあ……
もっとも……隣の家すらもの凄い離れているから、そこまでインパクトが強いわけじゃないけど……
「ある意味私たちには馴染み深い家ですけどね」
私の呟きにそう返してくるユーコ。
たしかにここまで日本風というのもあまり見ないわね。
ヴァロッカの温泉街もだいぶ和風な感じだったけど、これはそれ以上な気がするわ。
なんて事を思う私だった。
前話は説明が長すぎたと感じたので、今話のクルマと道路の説明は抑えました。
展開的にはあまり関わって来ませんし……
といった所でまた次回! 次の更新も平時通りとなりまして、3月11日(土)を予定しています!




