表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
544/764

第225話[表] 広捜隊と竜の座

<Side:Akari>

「ここが『竜の座』?」

「なんつーか、最新鋭の飛行艇の中って感じだな」

 テレポーターで辿り着いた場所で、アリシアとゼルがそんな事を口にする。

 

 うーん……。私としては、宇宙船……もっと言うなら、宇宙戦艦って感じがするわね……

 なんて思いながら、自動ドアをくぐった瞬間、全面ガラス張りの広間へと出た。

 そのガラス張りの窓――と言っていいのかしら――からは、オレンジ色の靄のようなものが、ものすごい速度で渦巻いているのが見えた。

 

「……ん? あのオレンジ色の……光だか靄だかの先に、薄っすらと星空が見えるな……」

 そうロディが呟くようにそんな事を言う。

 

 どれどれ……?

 と、よーく目を凝らしてみると、たしかにオレンジ色の靄のようなものの先に星空が見えた。

  

「ここって……宇宙と異次元空間、どっちなのかしら……」

「宇宙空間上にある異空間とかかもしれませんよ」

 私の呟きに対して、真横からそう返してくるユーコ。

 なるほど……そういう可能性もあるわね。

 

 そんな事を私たちが口々に呟いていると、目の前にホログラム文字が表示される。

 ホログラム文字自体は、こっちの世界ではそこまで珍しくもないけど……ちょっと雰囲気が違うわね……と、そんな事を思いながら、その文字を見る。

 すると――

 

『大型移民船 CH-D7:GLASS―TEAR CENTRAL ZONE 《竜の座》へようこそ』


 と、そんな事が書かれていた。

 

 ……はい? 大型移民船?

 

「……え? 本当に宇宙船の中なの? ここ」

 私が呆けながらそう呟いた直後、

「コロニー型多次元航行移民船団・コードハイドラ……識別番号D7……と、こっちのパネルに書いてあるっすよ」

 なんて事を告げてくるツキト。

 

「あ、ホントだぁ。グラスティアって『船』の名前だったって事ぉ?」

「船というか……コロニーだな」

 アリシアに対して蓮司がそんな風に返した所で、今度は、

「こちらには、世界地図が立体的に映し出されていますわね」

「……我々の世界は、筒の形をしていた……?」

「というか、これって……シリンダー型スペースコロニーそのものだな……」

 と、エリス、ジャンさん、ロディがそれぞれそう口にする。


「……この世界は『スペースコロニー』だった……という事ですか」

「まあ、自由移動が可能なレアすぎる代物だけどな」

 ユーコの呟きに対し、そんな風に返事をして肩をすくめてみせる蒼夜。


「まさか、こんなとんでもない場所だったなんてね……。という事は……異界っていうのは、この『移民船団』の別の『船』あるいは『コロニー』って事?」

「はい、そういう事なのです」

 私の問いかけに答えてきたのはクーさん。

 そんなクーさんに対し、

「……ここって地球からどのくらい離れてるの?」

 と、小声で問うと、

「不明なのです。そもそも『私たちの知る地球の存在する宇宙』なのかも不明なのです。もしかしたら、『全く別の世界の宇宙』かもしれないのです」

 なんて答えが返ってきた。

 

 ……なるほど。単純に地球から途轍もなく離れた所にあるどこかの銀河という可能性以外にも、異世界の宇宙という可能性もあるわけね……


「ついでに言うと……ここは宇宙空間ではなく、ハイパースペースのような場所なのです。どうやら、遥か昔に別の宇宙へのワープ中に何かが起きて、この空間から離脱出来ない状態になってしまったようなのです」

「あー……。それであんなオレンジ色の靄みたいなのが見えるわけね。……というか、別の宇宙へのワープって……随分とまあ無茶苦茶な事してるわね……」

 クーさんの説明に納得しつつも、ちょっと呆れて肩をすくめる私に、

「それに関しては同感なのです」

 と苦笑しながら、頷いてくるクーさん。

 

「ここってぇ、いろいろな情報を収めている所とかぁ、研究や開発が出来る所とかがあるんだねぇ。これって自由に見たり使ったりしていいのぉ?」

 なんて事をパネルを操作しながら口にするアリシア。


 アリシアらしいというかなんというか……順応が早いわねぇ……

 と思っていると、

「構わないぞ。ここにある情報や技術、各種装置や施設は、ここへ辿り着いたものが自由にしていいという『権利』があるからな」

 と、そう告げてくる蒼夜。

 

「わーお、太っ腹ぁー」

「……『権利』という事は『義務』もあるという事ですよね?」

 喜ぶアリシアに対し、ジャンさんはメガネをクイッと押し上げながら、冷静に問いの言葉を投げかける。

 

「ああ、もちろんある。だが、義務はいたって簡単だ。この『止まってしまっている船団』を再び動かす為に努力する事。それだけだ」

 蒼夜がそんな風にジャンさんに返事をする。

 

「……要するに、このハイパースペースみたいな空間から、通常空間へ戻す為にあれこれ考えろって事か。随分とゆるい義務だな」

 肩をすくめながら言うロディに、

「ま、そんくらい難しい話だっつーわけだ。なんせ今まで誰一人として、そんな事成し遂げられちゃいねぇわけだしな」

 と、返す蓮司。

 

「そりゃまあそうか。簡単に出来るようなら、あんなノイズを用いて隠蔽する必要なんざねぇだろうしな」

 ゼルが腕を組みながらそう言った後、

「しかし……こうやって見ると、この世界は広いな。行った事のねぇ場所が多すぎる」

 なんて事を呟きつつ、ホログラムの世界地図を眺め始める。

 

「たしかにそうね。というか、前にロゼから話を聞いたイルシュバーン共和国ですら、どういう所なのかこの目で見た事ないし」

 私がゼルの言葉に頷いて、そう口にすると、

「ふむ……。どうせだから、このままイルシュバーン共和国……と言っても広いからな……。うーん、とりあえず首都のルクストリアにでも行ってみるか? どの道、ガルディエナ深層――いや、深奥の迷宮遺跡――の方は、一朝一夕にどうにかなるものでもないし、エレンディアの首都側も、今の所大きな動きはない感じだしな」

 などと蒼夜が告げてきた。

 

 ……え? 簡単に行けるの?

サラッとイルシュバーンの話が出てきた所で、第1章エレンディア編は終わりです。

次の話からは第2章『遙かなる古の遺産編』となります。

2章序盤はイルシュバーンが舞台になりますが、今まで行っていない所にも行きますよ!

(無論、オルティリアの迷宮遺跡の方も、いずれちゃんと最深部まで行きます)


といった所でまた次回!

次の章からは、1話を他の2作と同じ程度の文字量にする事で更新頻度を上げる予定です。

(これだけ1話あたりの文字量が多くなっていたのが頻度が落ちる大きな原因でしたので……)

その為、次の更新は平時通りの間隔となりまして、3月2日(木)を予定しています!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ