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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第218話[表] 襲い来る炎と重力

<Side:Yuko>

「そもそも……火柱だけではなく、追尾してくる炎の龍が邪魔で思うように動けませんね……」

「そうだねぇ。斬れないし当たったらまずそうだし、更に火柱は邪魔するし……これはなかなか厄介だねぇ……」

 私の言葉に対し、そんな風にため息交じりに返してくるシズクさん。


 ですが、ため息をつきつつも、その声には好奇が混ざっています。

 厄介だとか言いながらも、やはり楽しいという感情もあるようですね。……困ったものです。

 なんて事を思った直後、

「まだ終わりではないぞ!」

 というグインデュロムの声と共に、グインデュロムが浮かび上がりながら、その口から炎のブレスが吐き出しました。

 

 うんまあそうですよね。竜の姿をしているのですから、炎のブレスぐらい吐けますよね。ドラグ・ケイン族でも吐けるわけですし。

 と、そんな事を思いながら私はブレスを回避。

 

「っとと!」

 回避した先で、橙色の泡が出現したのが目に入ってきた私は、即座に再度回避。

 大きくその場から離れた直後、泡の所から火柱が上がりました。

 

 う、うーん……。下も見ないと危険とか、実に厄介です……

 ……って、んん?

 

 グインデュロムが床に着地すると同時にその左右の足に発生した炎が、一直線に私と

シズクさんへ向かって床を走るように、そして炎の壁を生み出しながら襲いかかってきます。

 本当に連続攻撃――猛攻って感じですね……っ!


「ブレスの後は炎の壁とはねっ!」

 なんて事を口にしながら横に跳躍して一直線に襲ってきた炎を回避したシズクさんでしたが、

「って、危ない危ない」

 と言って再び横に跳躍して回避。

 それは先程の私と同じく、着地地点に橙色の泡があった為です。


 と、その直後、「ふんっ!」というグインデュロムの声と共に、炎の壁がUの字を描くかのように反転。再びシズクさんに襲いかかり……って、あれ?

 シズクさんのいない方へ……?

 

 私の方は、私が天井の方へと大きく浮かび上がって回避した為なのか、そのような動きはせず、壁に当たって霧さ……んせずに、爆ぜて50を超える火球となってこちらに襲いかかってきました。

 ……っと、悠長にそんな事を考えている場合じゃありませんね。回避回避!

 

 私は火球の弾幕を掻い潜りながらグインデュロムを見て、仕掛けるタイミングを探ります。

 弾幕シューティングのように、弾幕を掻い潜りつつショットが撃てればいいんですけどね……

 魔法ひとつ撃っている余裕がないんですよねぇ……


 などとぼやきながら回避を続け、全ての火球を避けきった所で、私はグインデュロムへと視線を向けます。

 すると、グインデュロムはシズクさんへの追撃を優先させたのか、私の存在がその視界から明らかに外れていました。……仕掛けるなら今ですね。

 

 そう考え、私は真正面から迫ってきた炎の龍を避けると同時に、グインデュロムへと急接近。アストラルエッジで斬りかか……

「うぁぅっ!? あつっ! あつつつつつぅぅっ!?!?」

 私の全身を急に炎が包み込み、慌ててその場から離脱する私。

 

 斬りかかった瞬間、こっちが燃えた……?

 もしや、全身に見えない炎を纏っている……?

 と、そんな風に思っていると、

「我が身を包む幻焔は我が鎧! 近づく者すべてを焼き尽くさんっ!」

 などと、グインデュロムがご丁寧に説明してきました。

 

 自分から説明する辺りは、どこどなくアホっぽいですが、性能そのものはシャレにならないというか……これでは近づけませんね……

 どうしたものかとシズクさんの方へ視線を向けると、シズクさんは炎の壁に囲まれていました。

 ……どうやら、さっきシズクさんのいない方へ突き進んでいった炎の壁は、シズクさんに襲いかかるのではなく、取り囲むのが目的だったようですね。

 

 そして、そのシズクさんはというと……

「なかなか面白い動きをする炎だけど、これで私の動きを封じるには甘いかな?」

 なんて事を言い、双鎌をデタラメに振り回し始めました。

 

 ……一体何を? と思っていると、ある程度振り回した所で、双鎌を胸の前で交差させるように構え直すシズクさん。

 

「せーのっ!」

 シズクさんはそんな掛け声を発したかと思うと、炎の壁へ目掛けて突っ込んでいきます。……えっ!?

 

 さすがにあの炎の壁に突っ込むのは……!

 と、内心で驚き、そして慌てる私。

 

 しかしその直後、シズクさんの周囲に斬撃――ディレイストロークが発生。

 その斬撃が巻き起こす風が炎の壁に『揺らぎ』を発生させ、炎の勢いが弱い箇所……穴の様なものを生み出しました。

 

 そこを勢いよく突破し、炎の壁の囲いから脱するシズクさん。

 

「くうっ……。さすがに完全に穴を開けるのは無理だったかぁ……」

 そんな風にシズクさんが口にした通り、服や皮膚のあちこちが焼けており、無傷での突破とはいきませんでした。

 

「よもや、そんな方法で突破するとはな……。だが、これは躱せまい!」

 そうグインデュロムが言い放った直後、シズクさんの足元に紫色の魔法陣が出現しました。

 

「ぐぅっ!? これ……はっ!?」

 急にシズクさんが床に手をついて呻きます。

 

「重力増加の魔法陣だ。さすがに動けなかろう」

 なんて事を言いつつ、翼を大きく広げるグインデュロム。


「仕込まれて……いた……!?」

 と、シズクさんが呻くように言った次の瞬間、その頭上に巨大な火球が出現。

 それがシズクさん目掛けて落下していきます。

 

 私は即座に魔法を放ち、火球を相殺しようとしました。

 しかし……

「消えない!? ど、どういう事です!?」

 と、追尾してくる炎の龍を避けながら、驚きのあまりついそんな声を出してしまう私。

 

 そう、どれだけ魔法を放っても、火球が消えないのです。

 普通の魔法であれば1発で相殺出来ますし、相殺への対処が施された魔法であっても、数発ぶつければいけるはずなのですが……と、そう思った直後、

「我が力は魔法にあらず! その程度で消える炎ではない!」

 なんて事を言い放つグインデュロム。

 

 ……そう言えば、シズクさんがシャルロッテさんと同じく『魔法を斬る』事が出来るような人なのに、炎の龍に対して『斬れない』と言っていましたね……

 そんな事を考えつつ、炎の龍に対して魔弾を連射してみる私。

 

 ……やはり消せませんか……。合体魔法級なのですが……

 あれが魔法ではないとするのなら相殺は不可能。

 普通に消し飛ばすにしても、合体魔法級の魔法を放っても炎の龍すら消せないのに、あの大きさの火球を消し飛ばそうとするのはなかなか厳しいような……

 

 シズクさんは魔法陣から離脱するのは厳しいと判断したのか、火球を見上げながら、

「ユーコの……魔法で……無理なら……。斬る……しかない……よねぇ」

 などと息苦しそうな様子で呟くと、両手――双鎌を上に向け……

「ぐあぅっ!?」

 ……ようとして、床に叩きつけられました。

 魔法陣の輝きが増しています。重力増加魔法が強化されたのでしょうか……?

 

 って、違います! 思考停止して状況を眺めている場合じゃないですね!

 え、えっと……で、でも……ど、どうすれば……っ!

大幅に戦闘を圧縮しているのですが、それでもやはり長いですね……

あと1話か2話でグインデュロム戦は決着がつくように調整しています。


……というか、正直物語全体が無駄に間延びしてしまっている部分が多い気がするので、グインデュロム戦に決着がついたら、全体のプロットを見直そうかと思っています。

その為、見直し中は更新間隔が空いてしまう可能性が高いです……(見直し(改修)が早く済めば空かないかもしれませんが……)


とまあそんなわけで次回の更新ですが……すいません、またもや平時よりも1日程多く間が空きまして、1月29日(日)を予定しています。

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