表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
536/764

第217話[表] 舞う炎、舞う龍

<Side:Yuko>

「ま、とりあえずこっちから行かせて貰う……よっ!」

 そんな事を言い放ちながら、シズクさんがグインデュロムへと突撃します。

 

 グインデュロムはそれに対し、

「今度は待ってやるつもりはないぞ! 我が轟炎に焼き尽くされるがいい!」

 という言葉と共に火球を放ちました。

 

「その程度なら――」

 そう口にしつつ、火球めがけて双鎌を振るい……

「叩き斬れるというものさ」

 なんて事を言いながら、火球を十文字に斬り裂きました。

 

 一般的な魔法の火球であればこれで霧散するのですが……

「炎よ舞え!」

 グインデュロムがそう声を大にして叫んだ瞬間、十文字に斬り裂かれた火球は、それぞれ小さな火球となって四方からシズクさんへと襲いかかりました。

 

「おおっと! そういう風に来るとはね!」

 などと言いつつ、サラッと4つの火球を全て回避するシズクさん。

 

 しかし火球はそのまま方向転換したかと思うと、今度はシズクさんを取り巻くように飛び回り、シズクさんの動きを封じようとします。

 

「更に動きを制限しようとしてくるなんて面白いね!」

 シズクさんは、なにやら余裕そうな雰囲気でそんな事を言い放つと、更に火球を斬り裂きました。

 

 しかし、火球はすぐに分裂。分裂。分裂。

 

 どんどん増えていく火球でしたが、どこまでも無限に増えるというような事はなく……更に6回程斬り裂いた所で、それ以上分裂する事なく霧散。

「あれ? もう終わりかい? 思ったより分裂しないんだね」

 なんて事をシズクさんが口にしました。

 

 ……いや、十分すぎるくらい分裂していると思いますが……

 なんて事を思いつつ、グインデュロムの意識がシズクさんへと向いている間に移動する私。

 

「くくくっ、その程度ではないぞ!」

 そんな事をグインデュロムが言い放った瞬間、霧散したと思った火球――いえ火球の残骸が一斉に爆発しました。


「っとと……! ふぅ……今のはちょっと想定外だったかな」

 爆発の嵐に巻き込まれたと思いきや、いつの間にかグインデュロムの懐へと移動し、回避しているシズクさん。

 

 よくまあアレを回避――って、完全には回避出来ていませんね。

 あちこちに小さな切り傷――出血や、火傷の痕、痣などが出来ており、そこそこ負傷しているようです。まあ、シズクさんならば、この程度の負傷では行動に支障は出ないでしょうけど。

 それにしても……この感じは、回避したというよりも爆発の嵐の中を強引に突っ切った……といった所でしょうか? 相変わらず無茶苦茶な動きをしていますね……と、そんな事を思っていると、

「そっちに飛ばすよ!」

 という声とともに双鎌を床に突き刺し、衝撃波を発生させるシズクさん。

 

「ぬうっ!?」

 その衝撃波によって、グインデュロムの巨体が浮き上がります。


 えっ!? あの巨体をどうやって!? 

 ……って、今は驚いている場合でもその原理を考えている場合でもないですね。

 なぜなら、『そっち』とシズクさんが言った通り、グインデュロムは私の方へ向かって飛ばされて来ている形だからです。

 さすがというべきか、私の動きが見えていたようですね。

 

「――良い位置ですね!」

 なんて言葉を返しながら、グインデュロムを真上から踏みつける私。


 うーん……。インパクトの瞬間にアストラルエッジを展開しているので、『踏み刺す』とでも言うのが正しいんでしょうかね?

 などというどうでもいい事を考えながら、アストラルエッジをその巨体に突き刺したままの状態でサマーソルトキック。

 ……まあ、私は浮いているので単に縦回転しているだけですけどね。

 

「ぐおおおおっ!?」

 巨体から血が噴き出し、さしものグインデュロムも驚きと苦悶の入り混じったような声を発します。もっとも……驚きの割合の方が大きいので、致命打には程遠かったようですが……

 ですがそれなら――

「連続でっ!」

「斬りまくるよっ!」

 私とシズクさんはそう言い放ち、グインデュロムへと猛攻を仕掛けます。

 

「ふん、小うるさい奴らだ」

 などと、鬱陶しそうな口調で告げてくるグインデュロム。

 

 ……猛攻を仕掛けているにも関わらず、先程と比べて、あまりダメージを与えられているように見えませんね……。何かの防御魔法を使っているのでしょうか……?

 と、そう思った直後、

「――眷属の幻体よ、我が敵を追い回し、その炎にて灰と化せ!」

 なんていう言葉と共に、炎の『龍』がグインデュロムの左右に1体ずつ出現。

 それが私とシズクさんへと襲いかかります。

 

「これは……斬れそうに見えるけど……斬れなさそうだなぁ……」

 そんな事を言いつつ、突進してくる炎の龍へと双鎌を振るうシズクさん。

 しかし、炎の龍は一切その形を変える事なくそのままシズクさんを喰らおうとします。

 もっとも、その事を予想していたらしく、

「うん、やっぱり無理だね……!」

 なんて事を言いながら、ギリギリの所で炎の龍を回避するシズクさん。

 無論、私も向かってきた炎の龍を回避します。

 

 ですが、炎の龍はすぐに進路を変え、再び迫ってきました。

 ……ホーミングですか。厄介ですね……

 

 シズクさんはそんなホーミングの炎の龍を上手く回避しつつ、距離を離されたグインデュロムへ向かって再び間合いを詰めるべく駆けます。

 

 グインデュロムの方もそうはさせまいと、

「ほう、なかなか粘るではないか。ならば……これを追加してやろうではないか」

 なんていう言葉を発しました。


 正直、追加しないで欲しいんですけどね……と、そんな事を心の中で呟いた直後、床にボコボコと橙色の泡のような物が幾つも出現――って、これはまさかっ!

 

 私は炎の龍を避けると同時に、その泡の無い所へと瞬時に移動。

 刹那、泡のあった場所に勢いよく螺旋状の火柱が発生しました。

 ……やっぱり火柱が発生する予兆的な物でしたか……

 

「あっつ! これはちょっと突っ込めないかな……っ!」

 好奇と忌々しさの入り混じったなんとも言えない表情と声で、そんな反応をするシズクさん。

 

 ……って、なんでそこで好奇の感情が混ざるんですかね……

 いやまあ、シズクさんらしい気はしますけど、ね。

グインデュロム戦が想定よりもかなり分量が多くなってしまっているので、少し圧縮しようと思って入るのですが、あと2~3話はどうしてもかかりそうな感じです……


とまあそんな所でまた次回! 次の更新も平時よりも1日多く間が空きまして……1月25日(水)を予定しています!

平時の間隔に戻したいのですが、1話がやや長めな為、なかなか戻せず申し訳ありません……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ