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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第209話[表] ナルグ=アムルト

<Side:Akari>

 コンテナが吹き飛んだと思ったら、倉庫の半分を埋め尽くすような機械のドラゴンが飛び出してきた! ……だなんて、ちょっと理解不能すぎないかしらねぇ……

 いやまあ……次元鞄っていう便利な代物がある事を考えると、それを応用したようなコンテナがあってもおかしくはないのかもしれないけど……

 でも、今まで見た事ないのよねぇ……そんなコンテナ。もしかして、『竜の御旗』の特注品とかなのかしら?

 

 なんて事を考えていると、その飛び出してきた巨大な機械のドラゴンから、唐突に声が響く。

『これぞ、大いなる鋼の玉座にして、全てを制する力! 聖機竜ナルグ=アムルトなり! 不死なる竜よ! 聖なる竜の前に浄化されよ!』

 

「……え? あれって搭乗型の機械――ロボット兵器なの?」

「厳密には違うんだが、まあ……似たようなものだと思っておいていいだろう。これと同じタイプと前に交戦した事があるが、どうやら中に特殊な空間があって、そこで動きを制御するっていう仕組みみたいだからな」

 私の口から出た疑問に対し、そう説明してくる蒼夜。

 

「とんでもない代物があるのねぇ……」

 やれやれと首を横に振りながら言うと、それに続くようにして、

「にしても、なんとも仰々しい前口上だねぇ。不死の竜だから聖なる竜が浄化するって辺りは、妙にハマってるけど」

 なんて事を呆れ気味に言うシズク。

 

「ん、たしかに。でも、実際にはそうならない。うん」

「そうだねぇ。倒れるのはあっちだしね。でも、ここまで相手にしてきたザコよりは楽しめそうな感じではあるけど……ね?」

 シズクがロゼの言葉に対してそんな風に返しつつ、ドラゴン――ナルグ=アムルトを見据える。

 

 ……あ、これ『そっち』のスイッチが入っちゃった感じがするわ。

 

「見掛け倒しじゃない事を願っている……よっ!」

 という言葉を残してシズクの姿が消える。

 

 あれ? どこへ? 

 と思った直後、ガキィンという金属音が響く。

 

 そちらへと顔を向けると、そこには、ナルグ=アムルトの頭――首長竜みたいに胴体からニョキッと突き出している頭に対し、一撃を加えたシズクの姿があった。

 ほとんど効いている様子はないものの、一瞬であそこまで跳躍して攻撃を仕掛けるとか、さすがよねぇ……。ホント、アレの相手はしたくないわ。

 

 と、そう考えた所で、

「こっちもやる。うん」

 という声と共に、ロゼが一瞬にして、ナルグ=アムルトの背にある、ステゴサウルスの背中にある骨板みたいな形状の物へと接近。円月輪を叩き込んだ。

 

 こっちもこっちで、相変わらず無茶苦茶な機動力ね……

 っていうか、あの骨板みたいなのって……何なのかしら?

 

「――んんっ!?」

 ロゼがその骨板に何かを感じ取ったのか、その場からバク転をしながら離脱。

 

 刹那、骨板みたいな形状の物を中心に青い電撃が円形に放射された。

 ……ああ、攻撃用の兵装なのね。

 まあでも、たしかにそうよねぇ……と思った直後、今度は骨板の上部分がパカッと開き、そこから円筒状の物が多数、真上に向かって放出される。

 それも、ロゼが攻撃をしかけた骨板だけではなく、背中に並んでいる全ての骨板から。


「って……! あれ、ミサイルじゃねぇか!?」

 ロディのその叫びに、私はハッとなり、魔煌弓を構え……引いた。

 私の持つ弓から大量の魔法の矢が放たれ、ミサイルと思しき円筒状の物へと突き刺さっていき……そして爆発した。

 

 それを見ていたユーコが、

「たしかにミサイルのようですね……!」

 と、少し驚愕が混じった声で告げる。正直、違っていて欲しかったわ……


「多すぎて、一気に吹き飛ばさないと無理ね……これ!」

 私はそう口にしつつ、チャージショット――もちろん、強化された方――を放つ。

 特大のビームが弓から発射され、ミサイルを強引にその光の中へと引き摺り込んでいく。

 

 相変わらず、この吸引攻撃便利よねぇ……。勝手に吸い寄せて吹き飛ばしてくれるし。

 なんて事を考えている間にも、次々に光の中に引き摺り込まれたミサイルが消し飛んでいく。

 しかし、数が多くさすがに消しきれない。

 

 そこへ、蒼夜のスフィアから放射された扇状に広がる赤い波のようなものが続けざまに襲いかかり、残るミサイルを飲み込み、そして消し去った。

 

 へぇ、こんな融合魔法もあるのね……と、そう思った直後、

『さすがにこの程度では駄目か。ならば……!』

 という声が響き、頭部の口がある部分が開いた。

 

「ブレス!?」

 そう声を発しつつ、急いで防御魔法を展開する私。

 ……だが、何も来ない。


 あ、あれ? 違った……のかしら?

 魔力消費を抑える為に障壁を解除した瞬間、私の周囲に、ナルグ=アムルトを小さくしたような黒い影が3体生み出される。

 

「分身体? そんなものでどうにか出来――」

 そう口にしながら黒い影を斬り裂いたシズクだったが、

「がっ!? げほっ!?」

 という苦悶の声と共に、その身体から血が噴き出した。

 

 刹那、

「ぐぅぅっ!?」

 黒い影に短剣を投げつけたロゼの身体からも、同じように血が噴き出す。

 

「こ、攻撃が反射された……!?」

「いや、違うな……。ふたりの攻撃で黒い影は消えているから反射はされていない。おそらく、『攻撃を受けると、攻撃した相手にも反撃のような感じでダメージを与える』んだ。たとえ自身が消し飛ばされたとしても……な」

 驚きの声を上げた私に、ロディが状況を分析して、そう言ってくる。

 

「そ、それって……攻撃したら、必ずダメージを受けるって事よね? わけがわからないんだけど……!?」

「原理は理解不能だが厄介なのは間違いないな……。下手に攻撃出来ん……」

 私の問いかけに対し、ロディがそう返してくる。

 

 と、そこで黒い影が動き出し、それぞれ近くの相手に襲いかかった。

 無論、私の周囲に現れた3体も。

 

「っ!?」

 再展開した防御魔法で、3体の攻撃を防ぐ。

 と、次の瞬間、飛びかかってきた黒い影が防御魔法の障壁に激突し、消滅。

 しかし、それだけではなかった。

 

「ぎっ!?」

 私の身体に、唐突に痛みが走る。

 そして血が噴き出す。


 って……。え……? な、なん……で?

何やら厄介そうな相手ですが……?


といった所でまた次回! そして次の更新ですが、すいません……今回も平時より1日多く間が空きまして、12月22日(木)を予定しています……

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