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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第208話[裏] アレストーラの残党

<Side:Souya>

「やはり、今回の各所での動きは『黄金守りの不死竜』の主導だったか……!」

「これ以上、我らが聖なる道を閉ざさせはせんぞ!」

「聖将様が『駆動』させるまで足止めするんだ!」

 突入するなりそんな事を口々に叫んでくる『竜の御旗』の構成員。


 別に俺らの主導ではないのだが……まあいいか。

 それにしても、なるほど……こいつらはアレストーラ教国の聖騎士どもの残党か。まだ残っていたんだな。

 というか、相変わらず『竜の御旗』は多種多様だな。まあ、ウチも似たようなものだが。

 

「ん、聖将とか言ってる。うん」

「ああ。どうやら七聖将の最後のひとりがここにいるようだな。……クレアボヤンスで捉えられなかった事を考えると、あのコンテナの中か……」

 ロゼに対して頷きながらそう返し、コンテナへと視線を向ける。


 しかし、駆動……と言っていたな。

 前に同じく七聖将が搭乗型の機巧竜を繰り出してきた事があったが……まさか、あれと同じような搭乗型の兵器――ロボット兵器のような代物……という事か?

 

「なんにせよ、とっとと蹴散らさないと駄目そうだね」

 シズクがそんな事を言いながら得物を構える。

 俺はそれに対し、

「そうだな。聖騎士と七聖将の残党なら遠慮する必要はないし、速やかに片付けてしまうとしよう」

 と告げて、スフィアを周囲に展開する。

 

「舐めるな! この我らがそう簡単に――ぐあっ!?」

「遅いよ?」

 シズクが一瞬にして間合いを詰め、聖騎士を葬り去りながらそんな風に言う。

 

「なっ!? が……っ!?」

「うん、遅い」

 ロゼもまた聖騎士を一瞬で仕留めつつ、そう口にする。

 

 聖騎士たちが慌てて動き出すも、既にシズクとロゼによって数人倒されていた。

 

「くっ!」

「残念、こっちですよ?」

 聖騎士の魔法攻撃を回避しつつ、そう言って聖騎士を斬り裂くユーコ。

 

 ユーコは妙に接近戦で敵を直接倒すような戦い方を好むが……カローア・ヴィストリィもアルチェムも接近戦を好むタイプではなかったような……

 まあ、魂がそれらだからといって、性格まで同じようになるわけではないし、戦い方のスタイルが全然違っていてもおかしくはないか。

 なんて事を考えながら、俺は魔法で聖騎士を打ち倒す。

 融合魔法はうっかり貫通しすぎてしまった時に、市街地に被害を出しかねないので、普通の魔法だ。

 というより、普通の人間相手ならこれで十分過ぎる。スフィアの魔力消費も少ないしな。

 

「思ったよりも弱い?」

「むしろ、こっちが強くなっているからじゃないか?」

 灯とロディがそんな事を言いながら、ふたりとも遠隔攻撃――灯は魔煌弓、ロディはサイコキネシスで飛ばした剣――で、聖騎士をひとりずつ葬り去った。

 

「やれやれ……今更驚きもしねぇが、ホントにつえぇ連中だな……」

 などと言って呆れた表情を見せるウル隊長だが、言っている自分自身も既に聖騎士2人を打ち倒しており、十分強いというものである。

 

「ま、こんな所で足止めされているつもりはないし……ねっ!」

 そんな事を言いながら、床を滑るようにして聖騎士たちの合間を駆け抜けるシズク。

 

 と、その直後、

「がっ!?」「ぐっ!?」「がはぁっ!?」

 聖騎士たちがズタズタに斬り裂かれて倒れていく。

 斬撃の遅延……シャルが言っていたが、たしかに『アレ』と同じだな。

 

「よもや、我らが聖騎士が足止めすら出来な――」

「聖将様、申し訳ござ――」

 最後に残ったふたりがそんな事を口にするが、即座にロゼとユーコの攻撃を受けて沈黙した。

 

 ま、ここまではこの程度だろう。

 こちらの戦力を考えたら、こいつら程度では前座にもなりはしないというものだ。

 ……本命にして問題はコンテナの方だ。

 

 全員で戦闘中に何度か攻撃を仕掛けてみたものの、ほとんど傷がついていなかった。

 というのも、コンテナの周囲に障壁が展開されているらしく、コンテナを攻撃しても、障壁に弾かれてしまうからだ。

 

「……ん、『竜の御旗』が良く使う障壁を展開する霊具に似ている……。けど、うん、それにしては硬い……」

 と、コンテナを見ながら言うロゼ。

 

 たしかにディンベルでの一件から今に至るまで、何度も見てきた奴らの良く使う障壁に似ているが、攻撃を加えた時に発生する『壁』の色が異なっていた。

 

「紫色……か。改良型の障壁といった所か……?」

「うーん……。あの霊具の強化版まで完成していたなんて想定外だね……。『銀の王』の誰かが、どこかの異界で何かの技術なり情報なりを得たのかな?」

 俺の呟きに続くようにして、シズクがそんな事を言ってくる。

 

 異界の技術、情報……。要するに他のコロニーの技術、情報か……

 たしかに各コロニーは、ベースになっている惑星――もっと言えば、文明がそれぞれ異なっている。

 だから今の時代――俺たちが『霊具』と呼んでいる物と同じ類の物がかつて存在し、更にそれらを強化するような技術を有していた文明があったとしても……そしてそれを継承しているコロニーがあったとしても、別段おかしな話ではない。

 

「なかなか厄介そうだけど、あのコンテナの大きさを考えたら、中から出てくるのもそんなに大きくないんじゃ……?」

 灯がコンテナに視線を向けながら、そんな風に言う。

 たしかにコンテナの大きさ自体は大した事はない。だが……

「あれが見た目どおりの収納空間なら、だけどな……」

 と、告げる俺。

 

 この世界には『次元鞄』という実に便利な収納空間――ストレージがある。

 その『原理』を、もしコンテナに応用していたとしたら……?

 

 そんな風に思った直後、激しい破砕音と共にコンテナが吹き飛んだ。

 

「んなぁっ!?」

「いやいや、さすがにデカすぎでしょ!?」

「中型の飛行戦艦並の大きさですね……」

 ウル隊長、灯、ユーコの3人が口々に目の前の光景に対する驚愕の言葉を発する。

 

 そう……コンテナが吹き飛ぶと同時に、中型の飛行戦艦――昔、ディンベルへ向かう際に使った『蒼穹』よりも一回り小さい程度の巨大な機械の怪獣――いや、恐竜か? が、俺たちの目の前にその姿を現したのだ……

本当はもう少し長かったのですが、さすがに前座相手に数話も使う必要はないなぁと思ったので1話で片付ける形にしました。その為、結構なハイスピード展開に……


とまあそんな所でまた次回! ……なのですが、申し訳ありません、再び平時よりも1日間隔が空きまして、12月18日(日)の更新を予定しています。

また、その先も色々詰まっており、1話の文字数が(他の2作に比べて)多い本作は、どうしても1話分を書く時間が足りず、その次の更新も現時点では同じ間隔が空きそうな感じです……


※追記

次回更新の日にちが間違っていたので修正しました。

次の更新は、12月18日(日)です!

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