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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第201話[Dual Site] 拠点同時攻略作戦 Phase6

<Side:Yuko>

「グルアアアアアアッ!」

 ツインヘッドサラマンダーが咆哮と共に、勢い良く床を蹴ってこちらへと踏み込んできます。速いですが回避出来ないものではありませんね。

 

 私は、前足の爪を振り下ろそうとしてくるツインヘッドサラマンダーのその下を潜り抜けつつ、くるっと宙返りをしながら勢い良くを蹴り飛ばし、更に斬り裂く。

 

「ギイィイィィイイィイィィッ!」

 という苦悶の叫びと共に、空中で跳ね上がり、天井に張り付くツインヘッドサラマンダー。

 と、そこから下に顔を向け、ふたつの口から火を放ってきました。

 

 わわっ! そこからそう来ますか!

 私は即座に床に潜り込んでそれを回避。少し離れた所から顔を出します。

 

 すると、そこへ目掛けて「グルゥァアァ!」という咆哮を発しつつ、炎を纏って飛びかかってくるツインヘッドサラマンダー。

 そんな事も出来るんですね……と思いつつ、床に身体の半分を埋めたまま、横にスライドし、それを回避。

 着地したツインヘッドサラマンダーの横腹を斬り上げながら浮上し、そのまま蹴り飛ばします。

 

「――《蒼氷の穿騎槍》!」

 更にそこへ魔法で追撃。

 宙空に生み出された氷の槍が、ツインヘッドサラマンダーの背中めがけ、勢い良く落下。

 

「ギュギィィイイイィィィイィィィイイィッ!!」

 という苦悶の叫びを再び上げたツインヘッドサラマンダーの、その背中に刺さった氷の槍を真上から踏みつけ、完全に串刺し状態にする私。

 そのまま背中へと降り立ち、刃を突き立てる。突き立てる。突き立てるっ!

 

 身動きの取れない所に連続で突き刺される形となったツインヘッドサラマンダーが、断末魔の悲鳴と共に、以前交戦した機幻獣と同じく緑色の粒子を撒き散らしながら、あっさりと霧散していった。

 

「ふぅ……。まずは1体目……ですね」

 そう呟きながら、通路の先を見る私。

 

 やはり、思ったよりも弱いですね……

 というか、やはりターン制の術式がしっかり効果を発揮しているのでしょうか?

 2体目が踏み込んできても良さそうな状況でも踏み込んで来ませんでしたし。

 

 これなら残りの2体は通路ではなく部屋で戦闘しても大丈夫な気がしますね……。ちょっとやってみましょうか。

 

 ……

 …………

 ………………


 ――残りの2体を同時に相手取ってみた所、あっさりと倒す事が出来ました。

 しかし、肝心の肝心の術式の破壊は上手くいった感じがしなかった為、私は皆さんのもとに戻り、その事を告げます。

「――というわけで、ターン制を逆に利用する形で機幻獣を退けて《玄キ影身ノ幻舞闘》を使いつつ、術式を破壊してみたのですが……どうも上手くいかなかった感じです」

 

「ふむ……。ウルからも継続状態だという通信連絡が来たし、幻影体の攻撃は、術式を守る機幻獣に阻止されてしまったと考えるのが妥当そうだな」

 携帯通信機を見ながら、そんな風に言ってきた蒼夜さんに対し、

「となると……他の術式も直接踏み込んで、機幻獣を倒さないと破壊出来そうにないわね……」

 と、灯が返す。

 

「一応、クレアボヤンスでずっと視ていて、幻影体の向かった方向は分かっているから、そっちへ行ってみるとするか。ここにいる『竜の御旗』が何かをしていた場所も、そっちの方にあるようだしな」

 蒼夜さんがそんな風に言ってきました。視ていたんですね……

 

「なるほど……。ちなみにその『何かをしていた場所』には、まだ『竜の御旗』がいる感じなのか?」

「ああ。報告では、こっちの方はその『何かをしていた場所』で行き止まりになっていて、他のどこにも繋がっていないそうだ。だから、俺たちの侵入に気づいて逃げた……という可能性はまずない。もしそうであるのなら、既にどこかで遭遇しているだろうからな」

 ロディの問いかけに対して、そう答える蒼夜さん。


「なるほどね。それじゃあとっとと行くとしようか」

 そう告げてくるシズクに同意し、私たちは更に奥へ向かって歩を進めます。

 一応利点もあるとはいえ、全体で見たら厄介な術式なので、なるべく早く解除したい所ですね……

 

                    ◆


<Side:Coolentilna>

「くっ、貴様らは一体……!」

 踏み込んできた私たちに狼狽しつつ、そんな風に問いかけてくる『竜の御旗』の構成員であるディアルフ族の男性。

 

 うーん……この人、雰囲気からして、ここのリーダー的な存在といった感じがするですね。

 と思いつつ、今は『黄金守りの不死竜』としてではなく『広捜隊』として来ている私は、

「私たちは超広域特殊事件捜査遊撃隊の者なのです」

 と、あえて律儀にそう名乗ってみたのです。

 

「超広域とくし……? ……ああ、そうか。警備隊内の同志からの情報にあった、警備隊という組織から半ば独立した形で動く者たちか。なるほど……これはたしかに厄介な存在だな……」

「そうそう、私たちは厄介なんですよねぇ。それで? どうしやがりますかねぇ? おとなしく降参して縛に付きやがりますかねぇ?」

 リーダー的な存在と思しき人物の発言に対して、なにやら悪そうな顔でそんな風に問いかけるティアさん。


 これで降参してくれるのなら楽ではあるですが……と思っていると、 

「降参? ふん、ここで降参するのはまだ早いというものだ」

 リーダー的な存在と思しき人物が、ニヤリと笑って急にそんな強気な発言をし、それと同時に小さなケースに入った錠剤を口に放り込んだのです。

 

「……っ!? それは……っ!」

「クククククッ! 良い、良いぞ。気分が高揚してくルルルゥゥ!!」

 驚く私の視線の先で、リーダー的な存在と思しき人物が両手を広げてそんな事を口にした直後、その身体が膨れ上がり、鋭い爪と黒い翼を持つ鬼……と、そう表現するしかないような異形へと、瞬く間に変容したのです。

 

「はぁ、やれやれ……例の薬を持っていやがったとは想定外ですねぇ……っ!」

 そう吐き捨てるように言いつつ、得物を構えるティアさん。

 

 まさか、ここであの薬が出てくるとは思っていなかったのです……

 たしかにティアさんの言う通り、想定外かつ厄介な事この上ないのです……

ユーコ、灯が言っていた通り、何気に荒っぽい戦闘方法ですね……(何)


とまあ、それはそれとして次の更新ですが……申し訳ありません、次も所々諸々の都合により、平時よりも1日多く間隔が空きまして……11月23日(水)を予定しています。


なお、その次の更新に関しては、今の所は元の更新間隔に戻せる想定です。……まあ、あくまでも想定ですが……

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