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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第193話[表] 遺跡の話と《竜の座》の話

<Side:Akari>

「……あ、あっさりと壊れましたわね……」

「ん、思った以上に脆かった……。うん」

 ちょっと引き気味に言うリリアに対して、人差し指で頬を掻きながらそう返事をするロゼ。


「SWゾーンブレイカーなしで壊せるとは想定外すぎるわい……。それともロゼの霊力が強すぎて耐えきれなかったのじゃろうか……。いや――」

 そんな感じでブツブツと呟き始めるエステルに、

「ま、まあ、とりあえず脱出するっす」

 と、告げるツキト。

 

「そうだね。霊力――いや、魔煌波の流れが、障壁のあった場所辺りに収束し始めているから、このまま立っていたら障壁の方も復活してしまうと思うよ」

 シズクが頷いてそんな風に言ってくる。

 って……復活するのね、あれも。

 

 というわけで……復活されると面倒なので、さっさとその場から離脱する私たち。

 そして、

「さて……と。それじゃあ当初の予定通り、地上に戻るとするか。話をするにしても、ここじゃ何だしな」

 という蒼夜の言葉に同意し、そのまま一気に地上――別邸へと引き返した。

 

                    ◆

 

 別邸に戻った所で、私たちはそれぞれ改めて探索で発見したものについて詳しく語る事にした。

 蒼夜たちの方は話に聞いた『竜』の他に、天井に穴が空いている場所があったらしい。

 ロゼが飛翔して穴の先を覗いてみた所、普通に迷路が広がっていたという。

 ……つまり、私たちが見つけた隠し通路の先と同じってわけね。


「――とまあ、こんな感じですわ。やはりというべきか、あの層だけではなく、上下にまだまだ広がっていそうですわね」

 私たち側の報告を、リリアがそんな感じで締めくくった所で、

「そうだな。とりあえず多層構造の迷路になっている上に、色々と厄介な仕掛けがあちこちにあるという事は判明したな」

「うん。それと、うん、地下城塞とは違う時代の遺跡である可能性がある事も分かった。うん」

 と、蒼夜とロゼが言ってきた。

 

「そうね。私たちが今まで深層だと思っていた場所が、本当は何なのか……というのを調べないと、あの多層構造の迷路を攻略するのは厳しい気がするわ」

 私が同意しつつそう告げると、シズクが頷いて、

「そうだね。私はいつもの情報屋に、何か良い情報はないか聞いてみるよ」

 なんて事を言った。

 

「なら、妾たちは《竜の座》で、古い時代の記録を漁ってみるとしようかの」

「私たちは《竜の座》とやらに行けませんし、この街の歴史書を調べるくらいしか出来そうにありませんね」

 エステルの発言に対して、ユーコがそんな風に返すと、

「それなんだが……《竜の座》へ行く『条件』のようなものは、ちょっとばかしイレギュラーな形ではあるが、灯とユーコは満たしていたりするんだよなぁ……。で、その条件を拡張すれば、広捜隊全体を《竜の座》へ立ち入らせる事が出来るはず」

 なんて事を蒼夜が言ってきた。

 

 ……って――

「えええぇっ?」

「そ、そうなの!?」

 アリシアと私が、唐突な蒼夜の言葉に驚きの声を上げる。

 というか、上げずにはいられない。

 そして、声にこそ出していないものの、ユーコやツキトもその表情から、大いに驚いている事が見て取れた。

 

「例のノイズが正常に聞き取れるようになる……という事ですね」

「そうだな。それと同時に、この世界の■■■が■■■■である事も判明するな」

 ユーコの言葉に、頷きそう答える蒼夜。

 

「……いや、普通にノイズになっているんだけど……」

 少し呆れ気味に肩をすくめながらそんな風に返す私。

 

 でも、話の流れというか……ノイズ化した言葉の前後から察するに、《竜の座》に行くと『この世界の真の姿』が分かるって感じかしらね?

 もっとも、それがどういうものなのか……という所までは、さすがに分からないけれど。

 

「まあ……なんにしても、一旦ゼルたちと話をしないと駄目よね」

 そう言葉を続けた私にツキトが頷き、

「そうっすね。ソウヤさんに話をして貰う必要があるっすから、こっちに集まって貰うように連絡するっすね」

 と、そんな風に言いながら携帯通信機を操作し始める。

 

 その様子を眺めながら彩香が、

「それはそれとして、明日やってくる面々の方はどうするつもりだい?」

 という問いの言葉とともに、蒼夜の方を見て腕を組んだ。

 

「ああ、そっちは一旦『竜の御旗』の動向を探らせる班、深層入口の見張りを任せる班、そして遺跡に関する情報収集をする班の3つに分かれて貰うつもりだ」

 蒼夜がそう答えると、彩香は顎に手を当てながら、

「ふむ。それなら私はシズクと一緒に行動するとしようかな」

 なんて事を言った。


 ……国家元首をシズクとふたりにさせるのって危険じゃないかしらね……

 と、そんな風に思っていると、当然というべきか、

「ん、なら私もそうする。ふたりの見張り兼護衛が必要だし。うん」

 なんて事をロゼが言った。

 

「私の護衛は必要ないと思けど……?」

「ん、私もそう思うけど、名目上必要。うん。単独行動はさすがにさせられない。うん」

 そう答えたロゼに対して彩香は、

「……なるほど、たしかにそうか」

 などと顎に手を当てながら言って、納得の表情を見せた。

 

 それを見ながらシズクが肩をすくめ、

「まあ、見張るのは構わないけど、別に今は敵対するつもりはないよ? ここで敵対したら深層の探索が出来なくなるしね。あ、でも……ちょっと『しあい』はしてみたい気はするね」

 なんて事を言う。

 なんか、『しあい』が『仕合い』じゃなくて『死合い』に聞こえたような気がするんだけど……。気のせいかしら……?

 

「ん、面倒くさい」

「ふむ……まあ、折角だから少しくらいは『測って』みたい気はするね」

 そんな対象的な返事をするロゼと彩香。

 

 それを聞いた私は、えっと……彩香って国家元首……よね? と、ちょっとだけ困惑するのだった。

何やら《竜の座》についての話が出てきましたが……?


といった所でまた次回! なのですが……申し訳ありません、次の更新は諸々の都合により、平時よりも1日間隔が多く空きまして……10月25日(火)を予定しています!

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