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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第191話[表] 融合魔法と水の巨人

<Side:Akari>

「――とまあ、そんな感じじゃったわい」

「複雑すぎる上にぃ、トンデモトラップまであるとか、面倒な事この上ないよねぇ……」

「でもまあ……逆を言えば、それだけ重要な物が奥にある可能性が高いという事でもあるわよね」

 そんな感じで、降りてきた地点へと戻ってきた私たちが、同じく戻ってきた蒼夜たちへの説明をし終えた所で、

「なるほど……。水の巨人が出現するトラップに、隠された通路……か」

 と、腕を組みながら呟くように言って、なにかを考え始める蒼夜。


「そっちもそっちで妙な仕掛けがあったんだね」

 そう言って肩をすくめてみせる彩香さん。

 

「そっちも? 貴方たちの行った方も何か仕掛けがあったんですの?」

「ああ。こっちは水の巨人じゃなくて、黒い影のような竜が現れた」

 リリアの問いかけに対し、そんな風に答えるソウヤ。

 

「ん、攻撃がほとんど効かなくて厄介だった。うん」

「攻撃がほとんど効かない……ですか。私たちが遭遇した水の巨人に似ていますね……。それで、その竜はどうしたのですか?」

「うん、ソウヤが融合魔法で消し飛ばした。うん」

 ユーコの問いかけに、ある意味想定通りとも言えるような返事をするロゼ。

 

「蒼夜の融合魔法って、色々とぶっ飛びすぎじゃないかな? あんな極太の魔法なんて撃たれたら、回避出来るかどうか怪しいんだけど? 極太なだけじゃなくて、微妙に追尾してたよね?」

 シズクが呆れ気味にそんな事を言って蒼夜へと視線を向けると、蒼夜は、

「そうだな。なに、敵対しない限り撃たないから大丈夫だ」

 なんて事を言って返した。

 それに対して、

「うーん……。一度、戦ってみたい気はするけど、あの魔法相手じゃ色んな意味で『楽しくない事になる』気しかしないかな」

 という敵対するともしないとも言わない、曖昧な返事をするシズク。

 

 まあ、シズクの立ち位置を考えたら、敵対する可能性もしない可能性もあるわけだから、そう返事をするのも分かるというものよね。

 ……指で頬を掻いている仕草を見るに、敵対しないようにしようっていう雰囲気は感じるけど。

 

「――それはそれとして、蒼夜の融合魔法で、水の巨人も消し飛ばせたりするのかしら?」

「うーん……その水の巨人の大きさ次第だが、天井までの高さを考えると、多分大丈夫な気はするな。もっとも……凍らせて砕いても復活してきたのなら、消し飛ばしたとしても、平然と復活してきそうな予感がするが」

 私の問いかけに対し、そんな風に答えて肩をすくめてみせる蒼夜。

 

「ふむ。それなら折角じゃし、試してみるのはどうかのぅ? 無理でもSWゾーンブレイカーがあれば離脱は容易じゃしの」

「それはまあ……別に構わないが……」

 エステルの提案に蒼夜がそう返事をすると、それに続く形で、

「水っていうのが面白いね。私もちょっと試してみようかな」

 と、彩香がそんな事を言った。

 

「ん? 試すって何を?」

「もちろん、『踏めるかどうか』だよ」

 ロゼの問いかけにサラッとそう返し、腕を組む彩香に対して、ロゼが少し呆れ気味に、

「……うん、なるほど、理解した。うん」

 と答える。……それを試して何か意味があるのかという気はするけど、まあ敢えて言わないでおこう……


「ともあれ、その水の巨人とやらの所へ行ってみるとすっか。そこまで連れて行ってくれ」

 という蒼夜の言葉に私たちは頷き、水の巨人が出現したポイントへと再び向かった。

 

 ……

 …………

 ………………

 

「――あっさり消し飛ばしたわね……。これ、さすがに倒せたんじゃないかしら?」

 私たちの苦労はなんだったのかというくらい、本当にあっさりと水の巨人を消し飛ばす蒼夜。

 

「……いや、障壁が消えていない。どうやら倒せてはいないようだ」

 蒼夜がそんな風に返してきた。って――

「え? あ、ホントだわ」


 後ろを見ると、出入りを封じる障壁が、たしかに健在だった。

 

「……踏む事が出来なかったから、あれは水のようで水じゃないね……」

 ずぶ濡れの彩香がそんな事を言ってくる。

 何故ずぶ濡れなのかというのは、まあ……言うまでもない気はするけど、巨人の胴体に勢い良く突っ込んだ結果ね。

 

「つまり……水のように見えて水ではない魔法生命体……という事ですか?」

「もしくは、そもそも『本体』がそれではないというのも考えられるのです」

 ユーコの問いかけにそう答えるクーさん。

 

「うん? 霊力の流れが……こっちに……?」

「ん? 霊力の流れ? ……って、ああなるほど。たしかにおかしな物をこっちから感じるね」

 なんて事を言って、ロゼとシズクが水路の方へと歩み寄る。

 と、その直後、

「むむ? なんじゃ? この泡は」

 エステルが水の巨人が立っていた辺りへと視線を向けながら、そんな疑問の声を上げた。

 

 そちらへと顔を向けてみると、人ひとりがすっぽりと入りそうな大きな泡が浮かんでいるのが目に入った。

 ……もしかして……と、思っていると、案の定というべきか、そこを起点に水が周囲に放射され始め、あっという間に巨人の姿がその場に形作られていく。

 

「あの泡が核なのかなぁ?」

「いえ、それでしたら、ソウヤさんの一撃で消し飛んでいるはずですわ」

 首を傾げるアリシアに対し、そう答えるリリア。

 

「そうなると、あれは再生の為にあそこに出現しただけって事になるっすね」

「ん、クーの推測が正しいかもしれない。うん」

 ツキトの発言に続く形で、ロゼがそんな風に言ってくる。

 

「そうだね。本体は多分……こっち――というか、コレかな?」

 ロゼに同意して、水路を指差すシズク。

 

 ……水路? ……って、待って。もしかして――

「それって、水路が本体……って事?」

 私は、そう呟くように問いかけた。

蒼夜、第1部の頃に比べると大分強くなっています。

(あの頃は周囲の成長の方が激しすぎたとも言いますが)


とまあそんな所でまた次回!

次の更新は平時通りとなりまして、10月18日(火)を予定しています!

が、まだ未確定ではありますが、その次が再び1日多く間が空いてしまうかもしれません……

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