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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第184話[表] ガルディエナ深層到着

<Side:Akari>

「それにしても……ここから見えるだけでも、かなり広いのが分かるわね……」

「ああ。下に見える場所が、今の所一番広大な感じだが、ここから繋がっている通路の数が桁違いに多いからな……。先がどうなっているのかは未知数すぎる」

 眼下に広がる巨大な空間を見ながら呟いた私に、上からそう返してくる蒼夜。

 

 たしかに蒼夜の言う通り、目に見える範囲でも他の場所へと続いているであろう通路の数が、やたらと多かった。

 

「これを全部片っ端から調べるのはなかなか骨が折れそうねぇ……」

 そうため息混じりに私が言うと、

「……オルティリアで広捜隊と出会って、協力関係を築かなかったら、こんな広大な場所をひとりで探索する必要があったんだよねぇ……。……うぅん、なんともぞっとしないね」

 と、シズクがそんな事を言ってきた。


「……というか、うん、そもそもここに辿り着けなかったんじゃ? うん」

 ロゼがシズクの横を飛翔しながらそんな風に言うと、

「うーん……言われてみると、たしかにそうかもしれないね。ここまでの道のりを考えると、辿り着く事すら出来なかった気もしてきたよ」

 と言って肩をすくめてみせるシズク。

 

「というか、こんな場所が存在しているかもしれないという情報、貴方たちはどうやって得たんですの?」

 今度はリリアが、そうシズクに問いかける。

 

「それは君の所属する組織の人間に聞いて欲しいかな」

 なんて言って返してくるシズクに対し、首を傾げるリリア。

「……それはどうい……って、え? 『異界解放同盟』が情報の出処なんですの!?」


「そういう事さ。まあ、『異界解放同盟』も『竜の御旗』ほどひどくはないけど、組織内があれこれと入り組んでいるみたいだからね。君に伝わっていない情報や動きがあっても、別におかしくはないんじゃないかい?」

「む、むむぅ……。不本意ながら……その通りですわね……」

 リリアがシズクの説明に、苦虫を噛み潰したかのような表情でそう答える。

 

 良く分からないけど、『異界解放同盟』とやらも、一枚岩じゃないみたいね。

 というか、それなりに大きな組織であれば、大小少なからずそういう面はあるものよね。警備局もそうだし……

 ……まあ、『黄金守りの不死竜』みたいな例外もあるけれど。

 というか、『黄金守りの不死竜』が一枚岩すぎるのよね……

 

 なんて事を考えている間に、深層部の水路へとレビバイクが着水。

 そのまま近場の床へと移動してレビバイクから降りる私。

 さすがにこれに乗ったまま探索するには通路が狭すぎるから、ここからは徒歩になるわね。


「それで、どういう風に探索メンバーを分けるつもりだい?」

 そう彩香が問いかけると、

「念の為、それぞれのパーテ――チームに、空を飛べる者を入れたい所だな」

 なんて答える蒼夜。

 ……パーティと言おうとしてチームに言い直したわね……。パーティだとこの世界では通じないのかしら?

 

「ふむ……。空を飛べるのは……ロゼ、リリア、ユーコの3人で、一応水の上を走れるのが彩香……。で、合計4人じゃの。元々2チームの予定じゃったわけじゃし、それぞれのチームに2人ずつ入れればいいのではないかの?」

 そんな風に言うエステルに対して蒼夜は頷いてみせると、顎に手を当てて、

「ああそうだな。構成的には……片方が俺、ロゼ、彩香、シズク、エステルで……もう片方が、灯、ユーコ、ツキト、アリシア、クー、リリア……って所か?」

 と、各チームのメンバーについて提案する。

 

 私がそれを聞いて妥当だと思っていると、

「こう言ってはなんだけど、私たちの方は総合的に見ると戦力過多じゃないかい?」

 なんて事を彩香が言ってきた。

 

 うーん……。言われてみると、たしかにロゼとシズクって時点でおかしいのに、そこに同等に近い戦闘力を持つ彩香までいるとか強すぎる気がするわね……

 

「ん、同感」

「そうだね。こちらは4人で十分だと思うよ」

 ロゼとシズクが彩香に追従するようにそう告げると、

「ならば、妾がアカリたちの方へ回ろうかのぅ」

 と、そんな風にエステルが言った。


「うーん……。2倍近い人員が必要なのかという気もしないではないが……」

 蒼夜はそう言ってしばし考えた後、エステルの方を見て告げる。

「まあ……分岐の多そうな方を任せるとするか。そうすれば、途中で更に分かれるという事も可能だしな。――それじゃあ、エステルは灯の方で頼む」

 

「うむ、任せるのじゃ。ちなみに分岐の多そうな方というのは、どっち側なのじゃ? 左右のどっちも通路が多すぎてわからんわい」

 エステルは蒼夜に頷いてみせた後、そう問いかけながら左右をそれぞれ指さしてみせる。

 ちなみに、正面と後方は一直線にはなっているが、それは単純に左右の通路への入口でしかなく、それ以外にはどこにも繋がっていない。


「左側だな。こっち側はいくつかの通路が途中で分岐しているのがクレアボヤンスで視えた。……まあもっとも、右側もクレアボヤンスで視えていない先で分岐している可能性は十分ありえるけどな」

 そんな風に説明する蒼夜に対し、私は腕を組みながら、

「ふぅん、なるほどねぇ……。でも、クレアボヤンスで視える範囲内に分岐があるのとないのとだと、範囲内に分岐がある方のが複雑そうな感じはするわね」

 と、エステルに代わる形で返事をした。

 

「まあ、たしかにそうだねぇ」

「はいです。そちらを人数の多い私たちが探索するのが妥当な気がするのです」

 私に続く形で、同意の言葉を口にするアリシアとクーさん。

 

「さーて! それじゃあ早速探索開始と行きますわよっ!」

 何やらやたらと張り切っているリリアに対してロゼが、

「ん、相変わらず遺跡となると目の色が変わる……というか、うん、テンションが高い」

 なんて事を呆れ気味に言い、やれやれと首を横に振る。

 

 それを見ながら私は、うーん……ある意味、考古学者らしいといえる……のかしらねぇ?

 と、そんな風に思うのだった。

というわけで(?)次から本格的に探索です。


さて、次の更新ですが……平時通りの更新でいけそうですので、9月24日(土)を予定しています!

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