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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第182話[表] 遺跡と地下と集う者たち

<Side:Akari>

「――とまあそんな感じだな」

 場所を応接間に移し、彩香の自己紹介を兼ねた状況説明を終えた蒼夜がそう締めくった所で、

「なるほどです。後からロゼさんとリリアさんも来るですか。リリアさんは考古学者でもある人ですし、遺跡の探索にはうってつけな気がするのです」

 と、そんな風にクーさんが言った。

 

「ああ。それとエステルが来るぞ。他にも追加の探索要員として遺跡に詳しいメンツがそれなりの人数が来る予定だが……さすがに今日は間に合いそうにないな。まあ、一日で探索出来る広さではないと思っているし、本格的な探索は明日以降といった感じになりそうだ」

 クーさんに対し、そんな風に答える蒼夜を見ながら、

「リリアって、『黄金守りの不死竜』と戦った時に見物していた人よね? あの人って考古学者だったんだ」

 と、隣のユーコに声だけ投げかけると、

「そうですね。竜牙姫という異名を持つ高い戦闘力を有する傭兵の方ですし、雰囲気的には学者には見えませんでしたね。まあ……クーさんは研究者ですし、学者としてのリリアさんの方が馴染みがあるのかもしれませんが」

 なんて事を言って来た。

 

 そうなのよねぇ……。あの時、纏っているオーラ……みたいなものが、学者じゃなくて戦士という感じだったのよねぇ……

 というか……なんだかんだで『黄金守りの不死竜』だけでもかなりの人数になりそうな感じがするわね……これ。

 

 なんて事を思っていると、シズクが同じ事を思ったのか、

「なんというか……こうやって見ると、ウチの所だけ人員が少ないというか……私しかいないね。まあ、当然と言えば当然なんだけどさ」

 なんて事を、頬を人差し指で掻きながら言った。

 

「そりゃまあ……俺たちから見たら、一応『敵対組織』だしな」

 と、そう肩をすくめながら返す蒼夜に続く形で、同じく肩をすくめてみせるアリシア。

「私たちから見てもそうだけどねぇ」

 

「色々な意味で複雑な関係っすねぇ……。というか、聖上――彩香様がここに来て居るとは思わなかったっす」

「ま、アカツキのゴタゴタも一段落する寸前だからね。後の事はシャルに任せる事にしたよ。こっちの方が『面白そうだし』ね」

 ツキトの発言に対し、そんな風に答える彩香。いや、面白そうって……

 

「国家元首がそんな理由で国を空けるのもどうなのやら……って感じだね。まあ、思っていた以上にガルディエナの深層が広かったから、居て困るという事はないのだけれど」

「たしかに、あそこまで広いとはな。昔の人間は、よくもまああんな広大なモノを地下に築いたもんだ」

「まったくだね。というか……古代の遺跡とかって、どういうわけか妙に地下にあるように思わないかい?」

 蒼夜に同意しつつ、そんな疑問を口にしてくるシズク。

 それに対してクーさんが口元に手を当てながら、

「……言われてみると、たしかにその通りなのです」

 と、そんな風に返す。

 

「そう言えば、ヴァロッカで行った遺跡もかなり『下の方』にあったわね」

「そうですね。それと……例の悪霊ビルの一件でも遺跡に行きましたが、あれも地下にありましたね」

 私に対して頷きつつそう言ってくるユーコ。

 

「たしかにあれも、小さいけれど遺跡ではあるわね。昔の人は地上よりも地下に作りたかったのかしら?」

「それについては、ふたつの仮説がありますわね。元々この世界の大地はもっと低く、上に土砂が積もって今の高さになったという説、それから地下を流れるエネルギー……龍脈やレイラインなどと呼ばれるものを、効率的に利用する為にそうしている……という説ですわ」

 私の口にした疑問に対し、そんな声が聞こえてきた。

 

 このエリスみたいな口調の声は……聞き覚えがあるわね。リリアだわ。

 そう思いながら振り返ると、やはりと言うべきか、そこにはリリアの姿があった。 そして、その横にはロゼの姿もある。

 

「ああ来たのか。しかし、ふたりが揃って到着するとは思わなかったな」

「ん、リリスが駅で迷ってたから連れてきた。うん」

 蒼夜の言葉にそう答えるロゼ。

 

「エレンディアも大概ですけれど、ノーザンオルティリアも発着する列車が多すぎるんですわよ……。しかも、駅自体が入り組んでおりますし……。25番線とか数字だけ書かれても困りますわ……」

 頬に手を当てて嘆息しながらそんな事を言うリリアに、シズクが頷いて同意してみせる。

「あ、うん、それ良くわかるよ。私もエレンディアとこのオルティリア、両方で散々迷ったし」


「たしかにノーザンオルティリア駅って結構広かったわね。レストランとかショップとかが駅構内に幾つもあったし。さすがは都市部のターミナル駅って感じの広さって感じだったわ」

 そう私が言うと、それに続くようにして、

「エレンディアの方は広いですけど、構造的にはまだ分かりやすいですからね。複雑さではノーザンオルティリアの方が上な気がします。……まあ、まだ『ダンジョン』と呼ばれる程の複雑さではないですが」

 なんて事を言ってくるユーコ。

 

 ……そういえば前に、一度だけ『ダンジョン』と呼ばれる程複雑な駅に行った事があったわねぇ……と、私が地球にいた頃の事を思い出していると、

「――下水道とか地下水道とかがダンジョン化する事は割とあるけど、駅がダンジョン化した事はあまりないのぅ。まあ、ルクストリアの駅が最近増築を繰り返して、迷路のようになりつつあるという話は聞いたがのぅ。観光地や新たな居住地――ベッドタウンとか最近は言うんじゃったか? そういった形で人の流入が増えたからと、休息に鉄道路線を増やしすぎなんじゃよ、まったく……」

 と、そんな事を言いながらエステルが姿を見せる。

 

「ヴァルガスさんたちが色々と手広く開発したからなぁ……」

「いくらなんでも開発し過ぎというものじゃ……。よもや、アルミナの町を発着する列車の本数が2倍以上に増えるとは夢にも思っておらなんだわい」

 蒼夜の言葉に対し、そう返しつつやれやれと首を横に振るエステル。

 

 ヴァルガスっていうのはどんな人なのかしらね……? 不動産屋?

 などと思っていると、

「ちなみに……ヴァルガスという方は、リリアと同じく名のある傭兵――いえ、元傭兵ですね。以前は『緋き旋風』なんていう通り名があったそうです。最近はイルシュバーン共和国内の未開拓地域を開拓しているようですね」

 と、サラッと説明してくるユーコ。

 さ、さすがに私が考えている事が分かるとか言ってただけはあるわね……

 

「やれやれ、まさかここでその名を聞くとは思わなかったね。黄金守りの不死竜って、ちょっとばかし有名な人間が多すぎじゃないかい? 竜の御旗なんて、無名の有象無象ばっかりだよ?」

 シズクがそうため息混じりに言って肩をすくめてみせる。

 

 それに対して私は、

「たしかにねぇ……。それに関しては私も同感だわ……」

 と、そんな風に呟かずにはいられなかった。

何故か地下にある事の多い、この世界の遺跡ですが……?


といった所でまた次回! なのですが……次の更新もすいません、平時より1日遅くなりまして……9月18日(日)を予定しています。ただ、その次は平時の間隔に戻ります!

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