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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第107話[Dual Site] 夕食と炭酸とエリス

<Side:Akari>

「さすがはツキトぉ! そのくらいなら待てそうだよぉ」

 ツキトの言葉を聞いたアリシアが、満面の笑みでそう答えた。

 私も自然と笑顔になるのを感じるわね。 

 というか、待てそうになかったらどうするつもりだったのかしら……アリシア。

 

「あ、カエデさんも一緒にティアさんとクーさんの歓迎会を兼ねた夕ご飯食べていかないっすか? 食材も料理も十分な量があるっすから、ひとりやふたり増えた所で問題ないっすし、今回は色々助かったっすからね。そのお礼っす」

 ツキトがカエデの方へと向きなおりながら、そんな風に誘いかける。

 

「うん、ありがとう! せっかくだからご同伴に預からせて貰うよ! 報酬代わりにね!」

「いえ、ツキトさんの言う通り、今回は結局色々と助けていただいたので、報酬は別途お支払いいたしますよ」

 頷くカエデに対し、ジャンさんが横からそう告げる。 

 ま、たしかにそうよね。

 

「あ、ホント? それは大助かりだよ。近い内に遠出する予定だったし」

「そうなのですか?」

「うん、ちょっと古い友人に頼まれてね。一応、連絡はつくようにしておくから、何かあったらいつもの方法で連絡してくれれば大丈夫だよ。……対応出来るかはわからないけどね」

「なるほど。まあ、ティアさんが加わっていますし、遠出している貴方に対して、わざわざ依頼の連絡をする事はないと思いますが……今回の件の情報共有で連絡するかもしれません」

「あ、それはむしろ欲しいかも」


 そんな会話をするカエデとジャンさんを見ながら、私は思った。

 

 うーん……このふたりって、どういう風に知り合ったのかしらね?

 なんだか、随分前から知り合いみたいな感じだけど……

 ……後で聞いてみようかしら。


 と。

 

                    ◆

 

<Side:Coolentilna>

「うーん、本当にどれもこれも美味しいね!」

 ツキトさんの料理を口に運びながら、満面の笑みを浮かべるカエデさん。

 たしかにとてもおいしいのです。個人的にも大満足なのです。


「ええ、まったくもってその通りですわ。ま、さ、に、これも完璧ですわっ! あははははっ」

 ……な、なんだか凄くエリスさんがハイテンションなのです。


「あー……また、炭酸を飲んだのか……」

 グラスに入った炭酸水を見ながら額を抑えながらそう告げるゼルディアスさん。


「んん? 飲ませたら駄目だったでやがりますかねぇ?」

 私の横の席に座るティアさんが、首を傾げながらそう問いかけると、

「そう言えば、説明する機会が今までありませんでしたね……。エリスさんは炭酸水で『酔う』んですよ」

 と、ジャンさんが答えたのです。


 ティアさんも、まさかエリスさんが炭酸水で酔うというのは、さすがに想定外だったのか、

「アルコール皆無のただの炭酸で酔うんですかねぇ!?」

 なんて事を言って、珍しく驚きの顔をしたのです。


「良くわからないけど、何かの呪印の影響でそういう風になっちゃうらしいよぉ」

「しかも呪印の影響とか、さすがに想定外すぎやがりますねぇ!?」

 アリシアさんの説明に更に驚くティアさん。


 ……まあ、たしかに『呪印の影響』というのは、理由が斜め上すぎて私も驚きなのです。

 炭酸が呪印――呪いの術式によってアルコール的な何かに変換されるですかね……?

 ちょっと詳しく調べてみたい気がするのです……

 

 なんて事を思っている間にも、更にテンションが上がりすぎたエリスさんが唐突に服を脱――ごうとした瞬間、「――《玄霧の微睡》っ!」という声と共に、ユーコさんがトンファーを構えながら、睡眠魔法を発動させたのです。


「ふぅ……。何かに使えるかもしれないと思って、この魔法を追加で設定しておいて正解でした……」

 パタンと床に突っ伏す形で寝ているエリスさんを見下ろしながら、そんな風に言葉を続けるユーコさん。


「いつの間にそんな魔法……。ってか、何そのトンファー」

「壁抜けを使って不意を突いてこれで殴れば、気絶させられるかな、と思いまして。スタンのエンチャント――帯電魔法も組み込んであるので、必要に応じてブーツを帯電させて蹴れば、トンファーキックも出来ますよ。まあ、ドゴォォォじゃなくてバチィィィになりますが」

 何故か胸を張って――ドヤ顔で、とも言うですが――そんな風に告げるユーコさんに、灯さんがやれやれと言わんばかりの表情で首を横に振って、

「……わざわざブーツに帯電させてまで、トンファーキックする意味ってなんなのよ……」

 なんて事をため息混じりに返したのです。


 ……トンファーキックとか、ちょっと懐かしいのです。 

 まあ、なんだか一歩先へ行っているというか……おかしな方向に進化しているというか……ともかく、そんな感じではあるですが。


「まあ……とりあえず、エリスはそっちのソファーにでも寝かせておくか……」

 と、肩をすくめて言った後、エリスさんを抱きかかえてソファーへと運んで行くロディさん。


 ……部屋じゃなくて、ソファーでいいのですかね……?

 などと思っていると、ティアさんがこちらを見ながら、

「……エリスには、炭酸水を飲ませないようにしねぇとですねぇ……」

 と、ボソッと呟いてきたのです。


 たしかに……なのです。


 同意するように首を縦に振った所で、今度はアリシアさんが、

「じゃあ問題も解決した事だしぃ、ご飯の続きぃ!」

 なんて言って、料理に手を伸ばし始めたのです。

 そして、広捜隊の皆さんも何事もなかったかのようにそれに続いたのです。


 ……エ、エリスさんの扱いが雑なのです……

 と思っていると、

「……エリスさんは炭酸を飲むと必ずこうなるのにも関わらず、すぐ飲もうとしますし、実際に飲んでこうなってしまうので始末に負えないんですよ……。だから、皆慣れてしまったというか、呆れきってしまったというか……まあそんな感じですので、あまり気になさらずとも大丈夫ですよ。今回、仮に飲ませなかったとしても、勝手にどこかで調達してきて飲んでしまっていたでしょうし」

 なんていう説明をしてくるジャンさん。


 そ、それはまた、なんと返せば良いのか困るですね……

 そして、エリスさんの扱いが雑な理由が良くわかったのです……

夕食のシーンにエリスに関する伏線を混ぜ込んだら、これだけでかなりの長さになってしまいました……まさに想定外という奴です(何)


とまあ、そんなこんなでまた次回! 

次の更新は、正月の都合で少し空いてしまいますが……1月4日(火)を予定しています。

……が、もしかしたら1月5日(水)にずれ込んでしまう可能性もあります……

なんとか、1月4日(火)に更新したいとは思いっていますが……

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