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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第88話[Dual Site] 成長する力、そして女神と教国

<Side:Rose>

「まあ、グレンが――というか私もだけど、『黄金』を使おうと思った時点で、実力は十分だし、返り討ちに合う心配はあまりないと私も思う」

 グレンの横に立つセレナがそんな風に言うと、グレンはそれに頷き、

「……ああそうだな。1対1はさすがに厳しいだろうが、複数で連携すれば『七聖将』や『銀の王』とも渡り合えるはずだ」

 と、言った。

  

 うん、直接戦闘したわけじゃないけど、広捜隊の皆は十分強いと私も思う。うん。

 などと心の中で同意した所で、

「そうね。広捜隊の全員で相手をするのであれば、なんとかなると思うわ。それに……『私たちと――いえ、ソウヤと面識を持ち、更に味方として動くあなた達は、多分この先、もの凄い勢いで戦闘能力が向上していく』と思うわよ」

 シャルが私の心の声に反応するかのように――実際にはグレンの言葉に対してだけど――そう告げる。

 

「それは……一体どういう……?」

 正規の警備隊員のひとりであるロディが、顎に手を当てて思案しながら問いかけてくる。

 うんまあ、唐突に言われても、普通はそういう反応になると思う。うん。

 

「まあ、『黄金守りの不死竜』の秘密のひとつって所かしらね?」

 というシャルの思わせぶりな言葉に、ソウヤが小声で、

「……単に謎なだけだがな……」

 なんて事を呟いた。

 うん、実際にはたしかにその通り。うん。

 ただ……

 

「ん、もの凄い勢いで……といっても、うん、一日やそこらで『七聖将』や『銀の王』と戦える程に戦闘能力が向上するわけじゃないから、そこだけは注意。うん」

 ソウヤに近い位置にいる程、大きく成長する事を考えると、そこまで極端な成長はしないだろうと考え、私はそんな風に付け加えるように説明した。

 

 もっとも……うん、そもそもそれ以前というか……うん、良く分かっていないらしく、広捜隊の皆は、キョトンとしているかポカーンとしているかどちらかだけど……。うん。

 

                    ◆


<Side:Roderick>

「……正直良く分かりませんが……とりあえず、貴方がた『黄金守りの不死竜』の圧倒的な強さの一端を、我々も得られる……と思えば良い感じでしょうか?」

「そうですね。その解釈で間違ありません。実際私も、その力によって以前よりも戦闘技術や身体能力を大きく高める事が出来ましたし」

 ジャンさんの問いかけに、そう答えるガレスさん。

 

 それを聞いていたアカリが、

「何が何だかわからないけど、なんというか……まるで成長チートを授けられたって感じね」

 なんて事を呟くように言ってきた。ま、たしかにそうだな。

 

「ま、とりあえず……強くなれるというのなら、なんでも構いませんわ」

 エリスはそんな風に言って腕を組む。

 それもまた、たしかに……という奴だ。

 

 今のままでは、エレンディアに潜む闇に太刀打ち出来ないからな……

 だから、なんとしててでも力を付けなければならない。

 ……もう、モニカ隊長たちを失った時のような経験をするのは御免だ。

 

 そんな事を考えていると、

「そう言えば、ここって『ディアーナの領域』とか言ってた気がするけどぉ、ディアーナって、もしかして女神のぉ?」

 なんて事を問うアリシア。

 たしかにそんな事チラッと言っていたな。

 

「ああそうだ。ディアーナは『黄金守りの不死竜』の中枢のような存在だしな」

「いぃっ!?」

 ソウヤの返答にツキトがそんな素っ頓狂な声を上げた。


「そうね。ソウヤは『女神の使徒』だし」

 ソウヤとシャルがサラッとそう言って来た。


「はああああああああああ!?」

「ほええええええええええ!?」

 今度はゼル先輩とエリスだ。

 

 というか、皆がそれぞれ驚きの表情をしている。

 そしてそれは、俺も同じだ。

 謎の多い組織ではあったが、さすがにそこまで女神との繋がりが深いとは思わなかった。想定外すぎる。

 

「……という事は、アレストーラ教国に対して攻撃を仕掛けた理由は……」

「連中が『女神の考え』に反する――誤った……いや、歪んだ『教え』を広め、更にそれをもとに、外道な行いをしすぎていたから……って所だな」

 ジャンさんの問いかけにそんな風に答えるソウヤ。


 あの事件の真実が、女神による粛清のようなものだったとは……。さすがに驚くな。

 

「質問しといてなんだけどぉ、さすがにそれは想定外だよぉ……」

「まったくですわ……。ただまあ……教国の中枢では女神の名の下に、非道な人体実験の類が行われていると、まことしやかに囁かれておりましたし、それが真実であった事を考えると、女神様がお怒りになってもおかしくはないですわね」

 アリシアとエリスがそんな事を言う。

 

 たしかにあの事件があったお陰で、教国の中枢で非道な――いや、ソウヤの言ったように『外道』極まりない人体実験の類が、実際に行われていた事が判明したんだよな。

 で、それによって多くの『被験者』が、救出される事になったし。


「……そうだねぇ。たしかに私もそう思うよぉ。アレは酷すぎたしぃ……」

 そんな風にため息交じりにいって方をすくめてみせるアリシア。


 ……アレは酷すぎた? まるで見てきたかのような言い回しだな……

 だが、アリシア自身が『被験者』ではない事は分かっている。どういう事だ?

 

「ん、その言い回し、なんだか引っかかる。……うん、もしかしてあなた……」

 俺が問うよりも先に、そんな風にアリシアへと問いかけるロゼ。

 それに対して、

「あ、私が『実験』で酷い事されたってわけじゃないよぉ。『実験』で酷い事されたのは……『私の妹』だよぉ」

 などと、普段通りの言葉遣いと雰囲気で返事をするアリシア。


 もっとも、そのアリシアの表情はというと……言葉とは裏腹に、怒りと悲しみが混ざりあったかのような状態になっていたりするのだが……

というわけで(?)蒼夜の持つ、自身と周囲の人間の戦闘能力を急成長出来る状態にしてしまう謎の力が、遂に灯たちの方にも及ぶようになりました! 果たしてどうなるのやら……


……といった所でまた次回。次の更新ですが……11月2日(火)を予定しています!

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