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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第85話[表] 剣聖の技

どうにか予定日内に更新出来ました……

<Side:Akari>

 ユーコの魔法が発動したのかと思ったが、そうではなかった。

 何故なら、私の目の前――ワンテンポ遅れてグレンのいた場所に魔法が着弾したから。

 えっと……それなら飛んできたあの衝撃波は……?

 

 理解が追いつかずにその場で立ち尽くしていると、

「それを使うのは、さすがにどうかと思うわよ」

 なんていう声と共に、刀と剣の二刀流という独特なスタイルのエルラン族の女性――たしか、剣聖という通り名を持つシャルと呼ばれている人だったはず――が歩み寄ってきた。

 

 もしかして……この人が……?

 

 そんな事を考えていると、

「――というわけで、バトンタッチよ」

 などと言ってくるシャル。

 

「へ?」

 一瞬、意味がわからず、そんな素っ頓狂な声が口を衝いて出てしまった。

 

「ふたりの実力は十分わかったわ。グレンをとっちめるのは私に任せておきなさい」

 ……どうして私とユーコの実力がわかったからと、この人がグレンをとっちめる事に繋がるのかさっぱりだけど、まあ代わりに相手をしてくれるというのなら、ここは任せてしまおう。剣聖と呼ばれるその力も見てみたいし。

 

「え、えーっと……。そ、それじゃあお願いします?」

「ええ」

 私の疑問符のついた言葉に対して短くそう返すなり、シャルの姿が消えた。

 

 ……ではなく、もの凄い速度で吹っ飛んでいったグレンの追撃に向かっていた。

 はやっ!

 

「な、なんでシャルが乱入してくるんだ!?」

「それを軽々しく使おうとするからよっ!」

 慌てるグレンにそう言い放ちつつ、手に持った刀と剣を交差させた状態で振るうシャル。

 

 と、次の瞬間先程見た赤黒い衝撃波がX字の状態で生み出された。

 しかも1回振るっただけなのに、なぜか6つも。どうなってるのよ……

 

 グレンがそれを迎撃しようとするが、シャルは自分の生み出した衝撃波よりも早くグレンに接近し、目で負いきれない程の速さで刀と剣を振るう。

 な、なんか剣閃まで赤黒く光って見えるわね……

 まあ、お陰でどう動いているのかが、かろうじて分かるのだけれど。

 

 逆にそれ故というべきか、グレンはそれの防御に全力を傾け、全てを防ぐ。

 ……普通に考えて、わざわざ相手に見えるような攻撃をするわけないわよね……?

 一体何が狙いなのかしら……?

 

 と、そんな思考を巡らせている内に、赤黒い衝撃波が追いついてきてふたりを飲み込――いえ、グレンだけを飲み込み、シャルはその場から離脱した。


 っ!?

 ……シャルは離脱したが、剣閃だけがその場に残っていた。


 ……な、何なのよあれ……

 なんで剣閃だけが残って跳ね回るようにグレンに襲いかかってるの……?

 ホント、衝撃波といいコレといい、どうやってるのか全然わからない理解不能な技ばかりだわ……

 

 さすがのグレンもそんな物をどうにか出来るわけもなく……

 赤黒い衝撃波を纏めて一気に食らい、更に跳ね回る剣閃に追撃され、あっさりと地に伏した。

 

 ……も、もうなんというか……強いとかいう次元じゃないわね……この人……

 一言で言うと『おかしい』だわ。色々とありえなさすぎでしょ……

 

 あまりの光景にポカーンとしていると、

「はい、終わったわ。それじゃ私は他の所に行くわね」

 なんて事を言って、あっという間に去っていった。

 

 ……え、ええ……?

 

「まるで、嵐ですね……」

 そう言いながらユーコが私に近づいてくる。

 それに対して私は、PACブラスターをしまいながら、

「そうね……。でも、強さはさすがに剣聖と呼ばれるだけあったわ……」

 と、返して肩をすくめてみせた。

 

「わたしたちがあれだけ激戦を繰り広げた相手を――しかも奥の手らしきものを使った状態のそれを、一瞬で倒しましたからね……」

「一振りでX字の衝撃波が6つも出てきたり、既にその場にいないのに、剣閃だけ残って勝手に攻撃していたり、意味不明すぎたわ……」

「ですね。まるで、見えない分身がいるかのような感じでした」

「見えない分身……。言い得て妙ね。たしかにどっちも、見えない分身がいれば可能な感じではあるし」

「……まあ、もしそれが本当だったとしたら、今度はそんな分身をどうやって生み出しているのか、という話になりますけどね……」

 ユーコが、そう言ってやれやれと首を横に振った所で、唐突に凄まじい爆音が響き渡った――

 

「な、何!?」

「わかりません。……が、シャルロッテさんが去っていった方からですね……」

「……今度は爆発でも起こしたのかしらね……」

「それはさ……いえ、あの方なら出来そうですね」

 さすがに出来ないと言おうとして思い直したらしい。

 そんな風に言ってくるユーコ。

 

「えーっと……。とりあえず、様子を見に行ってみましょうか……」

「……そうですね」

 

 ――結論から言うと、その爆発は予想通りと言うべきか、シャルが起こしたものだった。

 しかも剣技で。

 

 いやまあ……爆発が発生する剣技って、ゲームとかではそれなりに見かけるけど、現実で実際にそれをやってのけるとか、最早、凄いを通り越して『何が何だか分からない』という奴だわ……

 シャル――いえ、『剣聖シャルロッテ』……。色々な意味で末恐ろしい存在ね……

まあ……列車強盗団の時点で、蒼夜が『どこを斬っているのか分からない』と言っていましたからね……

といった所でまた次回! 次の更新は……10月24日(日)の予定です!

……多分、24日中に更新出来ると思います……

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