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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第84話[Dual Site] ロゼとクーの決着、そして乱入者

予定から1日近く遅くなりまして申し訳ありません……

<Side:Souya>

 これは……なんとも予想外の展開だな。

 いや……さすがにロゼでも、あのレベルの魔法を乱れ打ちされたら厳しい……か?

 

 クーの放った魔法をまともに食らったロゼをアポートで引っ張り、倒壊する遺跡を眺めながらそんな風に思う。

 

 なお、ロゼをアポートで引っ張ったのは、肉体と精神の双方に負荷がかかりすぎると判断したからだ。

 この空間でなら、倒壊する遺跡に押し潰されたとしても死にはしないが、ロゼは既に高威力の魔法をまともに食らっていた。これ以上のダメージはさすがにマズイだろう。


「――ロゼの戦闘不能により、クーの勝利だ」

 とりあえずロゼとクーのふたりに聞こえるよう、そう告げる俺。

 

「……ん。さすがに、あれは……どうにもならない……うん。疑似融合魔法……一般化されたら……うん、厄介すぎる……」

「まあ、今の一般的に普及している魔煌具の魔力だと多用は出来ないが……いずれ連発可能な魔煌具が登場する可能性はあるな。実際、最新の物は数年前の物と比べて、段違いの魔力になってるからなぁ……」

 悔しさが滲み出ているロゼの言葉に対し、俺はそう返す。

 

 ウチ――『黄金守りの不死竜』や、『竜の御旗』の連中が手広く活動しているせいってのもあるが、近年は魔煌具の世代交代が早いからな……。1年で2世代も進んでいってるし……

 

「ご、ごめんなさいです。ちょっとやり過ぎた気がしますです……!」

 そんな事を言いながら近寄ってくるクー。

 

「ん、問題ない。……でも、疑似融合魔法の乱発は……さすがにちょっとズルい。うん」

「そ、それを言われると痛いですが……疑似融合魔法なしでは、ロゼさんの足元にも及ばないのです……」

「そんな事はないと思うけど……うん。……というか、うん、なんであんなに乱発出来るの?」

 もっともな疑問を口にするロゼに、俺はクーに代わって答える。

「あー……それは俺が試作品として先日受け取ったモンを、クーに貸したからだな」

 

「……ん、ちょっと待って……。それって、うん、実質、クーとソウヤのふたりを同時に相手にしていたようなもの……?」

「……ん? そんな事はな――いや、待てよ? 俺の持ち物をクーに貸したわけだから……俺の力を貸した……という事になる……のか?」

 ロゼの言葉に首をひねって思考を巡らせつつ、そんな風に返す俺。

 

「ん、2倍ズルい……。何か、埋め合わせを要求する……うん」

 ジトッとした目で俺の方を見てくるロゼ。

 ……む、むぅ。これは何か渡さないと駄目な流れな気がする……っ!

 

 なんて思った所で、ド派手な爆音が響き渡った。……なんだ?

 

「広捜隊の面々相手に本気の全力状態になったグレンたちの所に、シャルが乱入したせいですわね」

 と、空から地面に下りて来ながらため息交じりに言うリリア。

 

 あー……なるほどそういう事か。うん……理解した。

 

                    ◆

 

 少し前――

 

<Side:Akari>

「く……ぅ……っ! 重い……のに、速……いっ!」

 唐突に謎のオーラを纏ったグレンの、怒涛の猛攻を防ぎながら、そんな声がユーコの口から漏れる。

 

「ふたりがかりで……止めるのが、やっと……とか……無茶苦茶……だわ」

 そんな風に返しつつ、グレンの攻撃を受け止め、受け流し、回避していく私。

 

 そう……ふたりで守りに集中して、どうにかこうにか凌げている……そんな状態だった。

 どうやら、これが『本気』という奴らしいけど……今までと比べて、段違いすぎる気がするわ……。一体なんなのよ、このオーラ……っ!?

 

 そんな事を思いつつ、グレンの猛攻をふたりがかりで抑え続ける。

 しかし、どれだけ時が経とうとも、勢いが弱まるどころか、逆に増していく。

 ……これは、さすがに厳しい……わね……っ!

 

 ――直後、グレンの上段からの大振りが来る。

 ……この速度……撃ち落とせる……?

 

 私は即座にそう判断し、振り下ろされる双頭の薙刀の更に上からPACブラスターを素早く、そして勢いよく振り下ろし、双頭の薙刀が私に到達するよりも前に、真上から叩きつけた。

 

 ガキィンという甲高い金属音が炸裂し、グレンの持つ双頭の薙刀が一気に真下へ押し込まれる。当然、もうその刃は私には届かない。

 相手が振り下ろしてきた得物のその上から得物を叩きつけ、相手の得物を『撃ち落とす』……どうやら上手く決まったみたいね。

 

 ここから続けて攻撃を――

 そう思考を巡らせたその刹那、グレンは柄を回転させ、反対側の刃で更に叩きつけてきた。


「くっ!?」

 予想外の動きに驚いくと同時に、PACブラスター越しに重い衝撃が手に伝わる。

 そして私の腕が勢いよく下に引っ張られた。

 ……!? 撃ち落とし……返されたっ!?

 

 違う……っ! こんなもの咄嗟にやった所でこうも上手くいくはずがない……

 ――最初から、これが狙いだったっ!?

 

 ……どうやら私は、撃ち落としを誘っておいて撃ち落とし返すという、グレンのその企みに見事に引っ掛かってしまったらしい。


「あか――」

 慌ててユーコが即時発動の魔法で妨害しようとする。

 

 しかし、即時発動の魔法といえども、発動プロセスを挟む以上、完全な0秒というわけではない。だから、コンマ数秒足りそうにない。

 そして私の方は、完全に態勢を崩されて無防備。

 

 ……あ、完璧に詰んだわね……これ……

 

 こうして私は、グレンの次の一撃をまともに食らう事が確定した。

 

 ……はずだった。

 

「ぐおあああぁあぁぁっ!?」

 まともに攻撃を食らったのはグレンの方だった。

 赤黒い衝撃波を真横から受け、グレンはピンボールの玉の如く、勢いよく弾き飛ばされる。


 ……え、何これ? もしかして、ユーコの魔法が間に合った?

何か乱入している人がいますね? といった所で、また次回!


次の更新は少し空いてしまい申し訳ないのですが、10月21日(木)を予定しています!

……今度は多分、21日中に更新出来ると思います……

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