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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第82話[裏] 力量判断

相変わらず、予定よりも大きく遅れた投稿になり申し訳ありません……

<Side:Glendine>

 影分身かよ!?

 なんとも面倒な魔法を使いやがるな……っ!


 PACブラスターなる刃を生み出せる杖と短剣をそれぞれの手に持ったユーコが、文字通り三方から攻撃を仕掛けてくる。

 

 影分身は単なる分身と違い、まさに相手が3人に増えたようなもんだ。

 分身もまた実体のようなものであり、その攻撃もまた本物。

 分身を無視して本体だけを狙えば良いっつーわけにゃいかねぇ。

 エステルも、厄介な魔法を作り出したもんだぜ……

 

「くっ!」

 攻撃を受け止めても左右から更に来る以上、回避以外まともに取れる手はない。

 俺はユーコとその分身が繰り出す攻撃をひたすら回避する。

 

 影分身の根源が異能の類ではなく魔法である以上、永続的に存在しているという事はない。

 しばらくすれば必ず魔力切れ、あるいは継続時間の超過によって自然消滅する。魔法とはそういうものだ。

 だから、それまで回避するのが一番だろう。

 

 そう判断したが故の守りに徹した行動。

 しかし――

 

 分身の攻撃を回避しようとしたその瞬間、分身が弾け飛んだ。

「……はぁ!?」 

 意味が分からず、そんな言葉が口から出る。

 それと同時に、第六感とでも言うべきだろうか? 自身に迫る圧倒的なまでの危機を認識した俺は、即座に防御の構えを取った。

 ――刹那、強烈な衝撃が光と共に真正面から俺に激突してくる。

 

 ぬぐおぁあぁぁああぁあぁぁっ!?!?

 

 防御の構えを取ったにも関わらず、その防御ごと、光の奔流と衝撃に押し出される形で後方へとふっ飛ばされる俺。

 どうにか、攻撃の正体を掴もうと視線を動かすと、アカリが弓を構えているのが見えた。

 

 こいつは……この一撃は、チャージショットか……っ!

 よもや、分身をぶち抜く形で射ち込んでくるとは……っ!

 

                    ◆

 

<Side:Lilia>

「なかなかやりますわね」

 アカリの放ったチャージショットを食らい、勢いよく弾き飛ばされるグレンを見ながらそんな事を呟く私。

 言葉にするつもりはなかったのですけど、驚きのあまり、口をついて出てしまいましたわ。

 

 ユーコの生み出した影分身を隠れ蓑にチャージし、更に影分身を貫く形で発射……さすがにグレンもアレは予想していなかったようですわね。

 

 でもまあ……影分身とはいえ味方。よもや、それをフレンドリーファイア――いえ、フラッギングするかの如き方法を用い、攻撃を仕掛けてくるだなんて、普通は考えませんわよねぇ。

 

 などと考えている間に、ふっ飛ばされたグレンは遺構の壁に激突。

 地面に落下し、膝をつきましたわ。

 ……残念ながら、壁に激突する寸前に魔法で防御障壁を展開したので、ダメージは大した事なさそうですけれど……

 

「ぐっ、こいつは想定外だぜ……。侮ったつもりはねぇんだがな……」

 なんて事をグレンが呟くように言いましたわ。

 

「他の面々も案外粘るし、やれやれ……膝をつかされちまった以上、俺の発言は撤回するしかねぇな。……あいつらと、それなりにやり合えるだけの力はありそうだ。そいつは認めるぜ。だから――」

 そこまで言った所で言葉を切り、強烈な闘気を解き放つグレン。

 刹那、闘気が目に見える形に――金色のオーラとなってグレンの周囲に出現。

 その状態でアカリとユーコを見据え、

「――ここからは、それ以上の相手と遭遇してしまった時を想定させてもらう」

 と、そう言い放ちましたわ。

 

 ……ちょっと何を言っているのか分かりませんわねぇ……

 まあ、実力を認めはしたけれど、そのまま自身の負けまで認めるのは嫌だという事は良く理解しましたわ。

 

                    ◆

 

<Side:Kane>

 斧を振り回す女性――エリスとか言っていた気がするな――の攻撃を受け止め、そして弾き返した直後、強烈な闘気を感じ取る。

 

「な、なんですの!?」

 攻撃を弾き返され、距離を取ったエリスが、驚きの声を上げて動きを止めた。

 

 闘気を認識し、それに気を取られて動きが止まるのはどうかと思うが……

 などと呆れながら追撃する。

 

「っ!」

 しかし、さすがに完全に無防備なまま攻撃を食らう程の駄目さではなく、しっかりとこちらの追撃に反応し回避してみせた。

 

 さて……この闘気の出処だが……まあ、間違いなくグレンだな。

 全力になる程の相手だったというわけか。

 

 エリスに絶え間なく連続攻撃を仕掛けつつそんな事を思っていると、横から魔法の槍が飛んでくる。

 攻撃を中断してバックステップ。その槍を回避。

 

 その直後、エリスがブラスターによる攻撃を放ってきた。

 良い判断、良い連携、そしてと良い反撃手段だ。

 これならば、あの連中が相手でもそれなりにやれるであろう。

 

 ……ま、そう考えを改めたからこそ、グレンの奴が本気を出したんだろうが。

 

「――で、こっちはどうする?」

 攻撃を回避しつつ、そんな問いを投げかけてくるセレナに対し、

「……グレンが本気を出したのなら、こちらも本気を出しておかねばなるまい。本気を出すまでもない、などとは思わぬしな」

 と、答えつつ横目で広捜隊の中心となるふたりと対峙するガレス、そしてクーと対峙するロゼを見る。

 

 ガレスもまた俺と同じような結論に至ったのか、本気を出そうとしているのが分かった。

 対して、最初っから全力で交戦し続けているロゼとクーはそのままだ。


 わかってはいたが……なんというか、あそこだけ次元の違う戦闘をしているよなぁ、本当に……

勝負には負けたが、戦いに負ける気はない、という奴ですかね。

さて、次回の更新ですが……諸々ありまして、来週は執筆時間があまり取れない状況の為、やや間が空いてしまいますが、10月13日(水)を予定しています。

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