表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
393/764

第74話[裏] 邂逅と邂逅

<Side:Glendine>

 何故、黄金守りの不死竜にいるのかと問われたガレスが、ソウヤの方へと視線を向ける。

 そして、その視線に対しソウヤは、無言で頷いてみせた。

 それはつまり、話しても問題がないという合図。

 

「――僕は、モニカを取り戻したい。だから、黄金守りの不死竜に協力……いや、属する事を決めたんだよ」

 ガレスがそんな風に広捜隊の面々を見回しながら言う。

 

「モニカ……隊長を……取り戻す?」

 このドラグ族は……昨日見たデータファイルでは……たしか、ゼルディアスという名前ったな。

 そのゼルディアスが、驚きと困惑の入り混じった表情でそんな事を口にした。

 

「どういう……事、ですか? その口ぶりだと、まるで死者を蘇生させようとしているかのように聞こえますが……」

 ソウヤと同種の力を使う――ロデリックという名前だったはずの――青年がそんな事を、ゼルディアスと同じく驚きと困惑の入り混じった表情で、ガレスに尋ねる。

 

「死者は蘇らない。それは絶対だよ。だけど……『死』をなかった事にする……それは可能なんだ。黄金守りの不死竜の目指す先にあるモノであれば、ね」

「黄金守りの不死竜が目指す先……『死』をなかった事にする……? なんともとんでもない話ね」

 ガレスの話を聞いていた黒髪の少女……アカリとか言ったか? が、腕を組みながらそんな風に言う。

 

「そうですね。ですが、もしそれが出来るのであれば……」

「ユーコ?」

 アカリという少女の横に浮いている霊体――いや、アストラル体のユーコとやらの呟きに首を傾げるアカリ。

 

「いえ、なんでもありません」

 ユーコがそう答えて首を横に振ってみせる。

 

 ……なんだ? このふたり、妙な違和感があるな……

 まるで、昔から知っているような……

 無論、出会った記憶などないので、単なる俺の勘違い、あるいは思い違いかも知れないが……

 だが……それでも……だ。

 何故だ? 何故、ふたりの仕草の一部があいつと……アルチェムと被るんだ……?

 

 そんな思考を巡らせていると、

「この辺りの魔力残滓を隠蔽したのは、貴方たちですか?」

 と、セレリア族の男性――ジャンと言ったはずだ――が、問いかけてくる。

 

「魔力残滓の隠蔽?」

 ソウヤは首を傾げてしばし考えた後、

「ああ、そういう事か。……それをしたのは俺たちじゃあない。この拠点にいた連中の協力者――『銀の王』か、妙な理を作った人物のどちらかだろう」

 なんて事を告げる。

 

「……『銀の王』?」

「この大陸で活躍していた傭兵団の……だった連中ですわね」

「ああ。今はこの世界のあらゆる場所に潜み、様々な破壊行為を行う超広域テロ組織である『竜の御旗』に与する集団と化しているな」

「鬼哭界という異界の住人だという噂があるよねぇ」

 アカリの疑問に広捜隊の面々がそう説明する。

 

「最後のは、噂ではなく事実だけどな」

 俺はそう告げてやる。

 

「なるほど……。要するに『銀の王』というのは、世界各地で暗躍する『竜の御旗』を裏から補助し、この世界を緩やかに侵略する鬼哭界の尖兵……という事ですか」

 ジャンという人物が、メガネをクイッと押し上げながらそんな風に言う。

 

「ま、簡単に言えばそういう事になるな。……これは、現時点で得られている情報からの、最も可能性の高い推測ではあるんだが……竜の御旗のトップである『真なる王』というのは、『銀の王』――つまり、鬼哭界の者たちのトップと同一……要するに『鬼哭界の王』であると俺達は考えている」

 そう説明するソウヤに、

「……その話、俺たちにしてしまって良いのか?」

 と、問いかけるロデリック。

 

「ああ。むしろ、知っておいた方が良いだろうしな」

「そうね。ここを貴方たちよりも先に制圧し、調査してしまったお詫びも込めて、ね」

 ソウヤとシャルがそんな風に言うと、

「……その言い回し、他にも――その場所で何か情報を得ている感じですわね?」

 なんて事を言うゴツい得物を持ったリリアみたいな喋り方の女――エリスとかいう名前だったはずだ――が、訝しげな目でそう言ってくる。

 

「そうですわね。たしかに得はしましたけれど……そちらがどうこう出来るような情報ではないですわよ」

 リリアがため息交じりに肩をすくめてそう言い、

「ん、だから、うん、この件に関してはこっちに任せて欲しい。うん。きっちりこっちでどうにかする。うん」

 と、ロゼが補足するように続けた。

 

「いやいや、そんな事を言われても……ねぇ?」

「ええ。はいそうですか、後はお任せします。……とは、言えませんよね」

「全くもってその通りだぜ。――俺たちにどうこう出来るような情報じゃねぇっつーのは、一体どういうこった?」

 広捜隊の面々がもっともな反応を返してくる。

 

「――ん、それは簡単に言えば……うん、私たちとそっちでは、色々な面で圧倒的な差がある為。うん」

「お前らじゃ、手出しするのが難しい上に、仮に手を出す事が出来たとしても、返り討ちに合うのが目に見えてるっつーこった」

 ロゼの言葉に続く形でそんな風に言って肩をすくめてみせる俺。

 そして、一呼吸置いてから、

「……と、口で言っても多分納得は出来ねぇだろうから、実際に試してみるか? この先に待つ『敵』の相手を出来るかどうかを……な。まあ、俺に膝をつかせる事すら出来ねぇと思うぜ?」

 なんていう挑発めいた言葉を敢えて吐き、俺は螺旋騎槍――俺命名――を構えた。

予約投稿が完全にミスって15日になっていました……

ので、変な時間ですが手動で更新いたしました……

次回の更新こそ15日の予定です……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ