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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第73話[Dual Site] 表裏の邂逅

<Side:Coolentilna>

 本来の目的を優先するという事になった為、これ以上の足止めは難しく、私――私たちは後の事を『仲間』に任せ、『目的地』へ向かって移動を開始したのですが……


 ……? 反応が消えた……です?

 

 唐突に追跡していた反応がロスト――まるで、そこで急に経ち消えたかのような状態になってしまったのです。

 おかしいのです。蒼夜さんたちが既にこの『目的地』へ向かっている以上、こんな状態になっているわけがないはずなのです……

 

 とはいえ、実際問題としてそうなっているので、仕方なく、

「この先に向かって反応が続いていたですが……ここで急に反応を感じなくなったのです」

 と、私は道の先を指さしながら、そう皆さんに告げたのです。

 

「バレないように隠蔽した……のか?」

「ここに来て隠蔽っておかしくなぁい?」

 そんな事を、それぞれ口にするゼルディアスさんとアリシアさん。

 

 ――そう、とても不自然なのです。

 ……あのターン制を生み出す魔法が破壊された『残滓反応』があるという事は、ウチ――黄金守りの不死竜が既に制圧済みだという事だと思うですが、こんな意味不明な隠蔽はしないはずなのです。

 つまり、可能性があるとすれば……蒼夜さんたちの動きに気づいた何者か――目的地を拠点としていた集団の協力者が実行した……といった所なのです。

 

「――俺たちが探している『何者か』には、協力者が存在するのかもしれないな」

 ロディさんは私と同じような結論に至ったらしく、そんな風に言ったのです。

 その推測を聞き、

「……なるほど。その協力者が隠蔽した……と。たしかにその可能性は十分にありえますね」

 という同意の言葉を口にするジャンさん。

 

「だとすると……私たちがドンパチしていた事で接近に気づき、逃走してしまっている可能性がありえますわね」

「あの連中が、その『何者か』に関係しているか、あるいはその『何者か』そのものであれば、たしかにそうっすね」

 エリスさんの言葉に頷き、ツキトさんがそう返したのです。

 

 全然関係ないですが、ドンパチって言葉、この世界にもあったとは思わなかったのです……

 

「灯のカンの通り、ちょっとまずいかもしれないですね……」

「うん、たしかに……。でも、なにかしらね……? 『強力な存在』を感じるのよね。この先から」

 ユーコさんと灯さんがそんな事を口にしたのです。

 

 ……えっと、それは……もしかして……

 そーっと携帯通信機を開き、蒼夜さんたちの位置情報を確認する私。

 

 ……えっ!?!?

 ……お、思いっきりこの先なのです……っ!

 拠点制圧の連絡は、結構前に来ていたですが……もしかして、何かあって想定よりも撤収するのに時間がかかっていた……です?


 あわわっ! な、なんとかしないと、鉢合わせになってしまうのです!


                    ◆


<Side:Souya>

「この拠点には、もう目ぼしい情報は残されていなさそうだな……」

「そうですわね。これ以上調べても何も出てきそうにありませんわね。ヴァロッカを調査した方が何か出てくる気がしますわ」

 俺の言葉にそう返してくるリリア。

 

「ん、それじゃあ撤収しよう。うん」

「広捜隊が到着する前に離脱しておいた方が良いのはたしかよね」

 というロゼとシャルの言葉に俺は同意し、俺たちは速やかに制圧し終えた――というか、既に何もない『敵の拠点だった場所』から撤収を開始する。

 

 三番隊の3/4がクーの要請に従い、変装して『人狼』とやらの回収に向かっているので、ここにいる人数はそう多くはない。撤収に大した時間はかからないはずだ。

 広捜隊が来る前に離脱出来るだろう。

 

 ……と思ったのだが、そうは問屋が卸さない……とばかりに、拠点の外に出た所で、

「――どうやら、一歩遅かったみてぇだぞ」

 と、グレンが言ってくる。

 

 クレアボヤンスを使うと、クーと広捜隊の面々が視界に入った。

 ……クーのあの要請は、『そろそろ限界』だという合図だったか……。もう少し早く撤収しておくべきだったな……

 

「こちらが認識したという事は、向こうも認識しているよね? 当然」

「ま、そうだろうな……」

 セレナとケインがそんな風に言う通り、間違いなくこちらの存在に気づいているだろう。

 

「無視して離脱するというのも手ではあるけど……」

「まあ、こうなったら折角だから少し話をしておくとしよう」

 シャルの言葉にそう返した所で、

「僕もその意見に賛成するよ。……どこかのタイミングであのふたりには話をしないといけないと思っていたからね」

 なんて事を言ってくるガレス。

 

 ……ああ、たしかに向こうに親しい者がいるな……

 

 というわけで、敢えて広捜隊が近づいてくるのをその場で待つ俺たち。

 

「――久しぶり、とでも言えばいいんだろうか?」

 肩をすくめてそんな風に告げる俺に、

「黄金守りの不死竜……。まさか、あんたらがここに来ているとはな……」

 と、ゼルが返してくる。

 

「それに……」

 ゼルがそう言いながらガレスの方を見る。

 そして、ロディがゼルの言葉を引き継ぐように、

「どうして貴方が……ガレスさんが、黄金守りの不死竜に……」

 と言って、同じくガレスの方へと顔を向けた。

なんというか、実にそのままなタイトルになりました……

まあ、それはそれとして……蒼夜たちと灯たちとの直接接触です!


さて、その次回の更新ですが……明後日、月曜日の予定です!

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