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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第72話[裏] もう一方のターン

<Side:Souya>

「やれやれ、妙な魔法だったな」

 グレンがそんな事を言いながら、肩をすくめてみせる。

 

「動こうとしても動けず、決められたタイミングでしか行動出来ない理が展開される魔法……ねぇ。まったくもって何がしたいのか良くわからない魔法ね……。厄介である事はたしかだけど」

 と、シャル。

 

 ……強制的にターン行動をさせられる擬似的な理を生み出す魔法……か。

 クーから通信が飛んで来ていなかったら、苦戦させられる所だったな。

 

 しかし……こんな物を生み出した意図に関しては、さっぱり理解出来ないが、生み出した奴は地球から来た人間である可能性が高いな。

 一応、この世界にも最近はターン制のSLGが登場した――というか、ウチの人間が戦術訓練用にと作った物が発端となって、幾つかバリエーションの異なる物が出て来ている。

 ……だが、敵味方の陣営が交互に切り替わる『フェイズ制のターンシステム』ばかりで、この手の『カウント制のターンシステム』を持つSLGは、まだ存在していないからな。

 この同じターン制でも少し異なった仕組み――システムを理解しているのは……地球から来た人間くらいだ。

 

 となると……ゲームを作っている所が怪しいが……このエレンディアだけでもその手の企業は10社近くあるし、携帯通信機関連の技術では最先端と言っても過言ではないフェルトール大陸中原付近に至っては、既に100を軽く上回っている。

 地球ほど多いというわけではないが……それでも、これらの企業を全て調べるのは、さすがに時間がかかりすぎるよなぁ……

 そもそも、企業じゃない所も作っていたりするし……ウチとかな。

 

「最近、黄金守りの不死竜で取り入れられたタクティカルシミュレーションみたいな感じだったな」

 ケインがそう言うと、セレナがそれに頷き、

「あ、たしかにそうだね。……あれ、苦手なんだよね、私」

 なんて事を言う。

 

「セレナは序盤で苦戦していたからなぁ……。俺は得意だけどな!」

「そうだな。まあ、グレンは次期国王だから指揮能力皆無じゃ困るし、あのくらい攻略出来ないようでは、それはそれで問題だが」

 胸を張るグレンにそんな事を告げるケイン。

 

 ……うーむ、異世界でゲームの話が展開されると、なんだか妙な気分になるな……

 

 なんて事を思っていると、ロゼとガレスがやってきて、

「ん、ソウヤ、拠点の捜索が完了した。うん。七聖将の残党がいたっぽいけど、うん、逃走済み。残念」

「どうやら《銀の王》が『襲撃がある事』に勘付いて七聖将を移動させたようだね。破壊されていた大型通信装置のデータディスクを復元した所、そのような通信履歴が出て来たよ」

 と、そんな事を言ってきた。

 

「もしかして、昨日の列車強盗団の一件で遭遇した《銀の王》に予測された……?」

「あるいは、別の《銀の王》が『広捜隊』の動きを得たか……だな」

 シャルの言葉を引き継ぐ形で、そう口にする俺。

 

「あ、そうね。そっちもここを強制捜査するべく動いているんだったわね」

「たしか、未来の嫁たるクーが上手い具合に足止めしてくれてんだよな。はぁ……お陰で、すぐに会えると思ったのに居なくて残念だぜ……」

 グレンがシャルに続く形で、そんな事を言って肩を落とす。

 

「……おい、まだ未来の嫁と決まったわけではないぞ……? 主に当人の気持ち的にな」

 と、呆れるケイン。横のセレナも言葉こそ発さないものの、同意を示すように呆れた表情をしていた。


 ……表面上はアホなやり取りに見えるが、若干表情に陰りが見えるな。

 やはり、アルチェムの件がまだ尾を引いているようだ。

 

 アルチェムは『復活』させられないんだよなぁ……『転生』してしまっているから。

 どうしたものか……

 

 そんな事を思案していると、

「……まあ、グレンは放っておいて……そのデータディスクとやらで、七聖将の逃走先とかは分からなかったの?」

 と、セレナがロゼとガレスを交互に見て問いかけるのが目に入った。

 当然俺も気になったので、ふたりの方へと視線を向けてみる。

 

「七聖将ほどの存在だからね、少しは痕跡が残っていたけど……特定は無理だったよ。一応、北へ逃げた所までは掴んだけどね」

 ガレスがそう言って肩をすくめてみせる。

 

「北……か。列車強盗団の一件の時に得た情報の中に、『北』の怪しい場所に関する物があったよな」

「うん、あった。ヴァロッカ。あそこは鉄道運行保安隊の管轄だから、調べるのは容易い。うん」

 俺の言葉にそんな風に返してくるロゼ。

 

「なるほど。それなら、ロゼに調べて貰うのが妥当か……」

「ん、わか――」

「あ、ヴァロッカなら、『異界解放同盟』の拠点――無論、密かに作られた物ですけれど――もありますわ。なので、こちらでも調べますわよ」

 ロゼが俺に対して頷き、了承の意を述べようとした瞬間、リリアがそんな言葉を被せた。

 

「むぅ……」

 なにやら、ちょっと不満そうなロゼ。

 自分ひとりで調べたかったのだろうか……?


「……うーん、あの死んだと思われていたリリアが平然とここに立っていて、しかも共に行動しているというのには、やはり慣れないね……」

「それ、私も同感だわ」

 ガレスとシャルがリリアを見ながらそんな事を言う。

 まあ、その気持ちはわからんでもない。

 

 ちなみに、リリアがここにいるのは、『異界解放同盟』と暫定的ではあるが、協力関係を結んだからだったりする。

 

 ……しっかし、携帯通信機ってやっぱり便利だよなぁ……。直接向こうの本拠地に赴かなくても、盟主と話が出来て、その場で協力関係を結ぶ事が出来たし。

 もっとも、リリアがそのまま同行してくるとは思わなかったが……

というわけで、既に制圧済みのようですが……?

といった所で、また次回! 次の更新は明後日、土曜日を予定しています!

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