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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第69話[表] 融合魔法もどきの魔法

<Side:Akari>

「それで……どうにか出来そうな感じなのかしら? このバカみたいに大掛かりな代物は」

 なんだかちょっと頭を抱えているクーさんにそう問いかける私。

 

「うぅ、まあ……その、可能か不可能かで言えば可能なのです。……ただ、これは――この魔法陣の仕掛けは、ここひとつだけではないと思われるのです。なぜなら……少なくとも他に最低3つ、この付近に同じ物がなければ、今のこの状況を作り出す事など到底無理だからなのです」

 と、そんな風に言ってくるクーさん。

 

 うーん……探すにしても、屋内だとちょっと厄介よね。

 でも、屋外にあるとは思えないし……

 

「あと3つ、ねぇ……。ここはもう、ユーコに頑張って片っ端からすり抜けて探して貰うしかないかしらね?」

「それは構いませんが、私ひとりでは時間がかかりすぎますよ? 狭い範囲に集まって設置されているとは思えませんし……。せめて、私と同じ様な存在の方が、他にもう数人いれば……」

「そんな簡単にユーコと同じ状況の人――アストラル体の人なんて見つかるわけがないし、ユーコが分身でもするしか――」

 そこまで言った所で、私はふと気づき、PACブラスターを取り出すと、そこへ視線を向ける。

 そして、

「って、そうよ! 分身よ! これに組み込まれている《玄キ影身ノ幻舞闘》を使えばっ!」

 と、告げる。

 

「たしかに分身体を生み出せますが、それって、『自動的に分身が攻撃する魔法』ではなかったでしったっけ?」

「あ……。あー、そういえばそうだったわね……。分身体を自由には動かせないわね……」

 ユーコの言葉にそう返し、肩を落とす私。


 良い方法だと思ったのだけど、微妙に欲している所まで性能が届かなかったわ。どうにかして改良出来たりしないかしら……


 などと心の中で考えていると、クーさんが思案顔で、

「いえ……その方法、良い気がするのです。その魔法、分身が攻撃出来る対象が本体によって撃破された際、『同種の敵対する対象』が魔法の効果範囲内に存在する場合は、そちらに狙いを変える……という特性があったはずなのです」

 と、そんな風に言ってきた。

 

 なるほど……。ゲーム――特にRPGとかだと、既に倒された敵をターゲットしていたキャラは、自動でターゲットを切り替えて攻撃してくれるけど、あれと同じ感じなのかしら?

 

「ん? という事は、ユーコがその魔法を使い、敵意を持ってこの魔法陣を破壊すれば……」

「分身体は『同種』である他の魔法陣を、破壊しようとして動く……という事ですか?」

 ジャンさんが、ロディの言葉を引き継ぐようにそう言って、クーさんを見る。


「――はいです。私はそうなるのではないかと考えているです。……ただまあ、さすがに試した事がないので、そこまで上手く分身体が動いてくれるのか……とか、魔法の効果範囲内に果たして魔法陣が存在しているのか……といった疑念は払拭出来ないのです。なので、机上の空論に終わってしまう可能性も、十分ありえるのです」

「うーん……でも、試してみる価値は十分にある手段よね。魔力残量的には問題なさそうだし、もし上手くいかなくかったとしても、それはそれという事で」

 私はPACブラスターの、エステルによって追加された部分――最新式の魔力計を見ながら、クーさんに対してそんな風に答える。

 メーターが残り9割強あるから、全然余裕ね。


「でしたら、とりあえずやってみましょうか?」

 そう問いかけてきたユーコに、私は「そうね」と返しながら、PACブラスターを手渡す。

 

「幻影って何体まで出せるんですか? 限界数が書いてあった気がするのですが、よく思い出せず……」

「えーっと……たしか、2体までって書いてあった気がするわ」

「という事は1ヶ所分足りない感じですね。でもまあ……1ヶ所くらいなら、探して壊せばいいですね」

「そうね。3ヶ所それで破壊出来れば、あとはどうとでもなるわ」

 

 私とユーコがそんな事を話していると、

「ところでぇ、この魔法陣ってどうやって壊すのぉ? それとぉ、一発で強度壊せるものなのぉ?」

 と、アリシア。そう言われると、たしかに一発で壊せないと分身がその魔法陣に追撃してしまうから駄目ね。

 

「んなら、まずこいつを壊してみてから、他の魔法陣を探してから幻影を使えばいいんじゃねぇか?」

「そうですね、そうしてみましょう。クーさん、どうやれば壊せるんでしょう?」

 ゼルの言葉に頷き、そう口にしつつ、クーさんの方を見るユーコ。

 

「魔法には魔法をぶつけるのが一番手っ取り早いのです。ただまあ、さすがに魔法一発で相殺――消滅とはいかないと思うのです」

「なるほど……。でしたら、アレを撃ってみましょうか」

 クーさんの回答に納得したような表情でそんな風に返し、魔法陣全体を見下ろせる位置へと移動するユーコ。

 

 浮遊出来るって便利ねぇ……

 なんて事を思っていると、

「――《玄キ徹甲ノ連魔弾》っ!」

 という声と共に、ユーコの小手からガトリングかなにかかと思うほどの速度と密度で、黒い楕円形の魔法弾が連射された。

 

 最早、私には『ズドドドドドン!』という擬音でしか表現のしようがない、そんな勢いで床に穴が空き、粉塵が舞う。

 幾つもの紋様によって構成された複雑怪奇な大型魔法陣であっても、そんな攻撃には耐えきれなかったようで、あっさりと、そして次々に紋様が粉々になり、消え去っていった。

 

「……一撃で破壊したよぉ……?」

 目を瞬かせながら、呆れ気味の声でそう呟くように言うアリシア。

 それに対し、横にいたクーさんが、

「……さ、さすがは融合魔法もどきなのです。恐ろしい威力なのです……」

 なんて言葉を紡ぐ。ほ、ホント、凄い威力ね……

 

「やはり、この一件が片付いたらエステルの所へ行ってみるか……」

 と、ロディが穴だらけになった床を見ながら言った。

 

 う、うーん、私も攻撃魔法にしておけば良かったかしら……

まあ、本家(の融合魔法)は魔獣を一撃で消し飛ばすような威力ですからね。

人狼戦、おそらく次の話でラストになる……はずです。

この意味不明なターン制を生み出している魔法がなければ、大して強い相手ではないですし。


といった所でまた次回! 更新は明後日、日曜日の予定です!

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