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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第62話[表] 仕掛けし者たち

<Side:Akari>

「警備隊だ! お前ら! 今すぐ戦闘行為を停止しろ!」

 そうゼルが声を上げると、

「警備隊!? た、助かった! 俺たちは攻撃を停止する! だからあいつらを何とかしてくれ!」

 などという声が返ってきた。

 ……あら? なんだか想像していたのと違うセリフね。

 

「くはははははっ、警備隊だぁ? それがどうしたぁぁぁっ! 纏めてぶっ潰してやらぁぁぁっ!」

 うん、こっちの反応が想像通りというものだわ。

 などと思っていると、私めがけてバチバチと放電する魔法弾が飛んでくる。

 ちょっ、いきなり!?


「こっちの反応が想像通りとか思っている暇があったら、迎撃してください!」

 と、ユーコがいいながら、飛んできた魔法弾を切断し、無に返す。


 むぅ、口に出していないのに、思っている事がバレてるわ……

 って、そんな事を考えている場合じゃないわね。

 

「《玄宵の護法衣》っ!」

 地面を這うように迫ってくる氷の波を、赤黒いドーム状の防御障壁で防ぐ私。

 

「一体なんなのですか? あの輩は……」

「知らねぇよっ! いきなり仕掛けて来やがったんだよ、あいつらっ! んで、アニキが俺らを庇って負傷しちまって仕方なく応戦してたんだよっ」

 ジャンの問いかけに、攻撃を停止すると宣言した側の人間が、半ば喚くようにしてそう返す。

 

 負傷? と思いつつ周囲に視線を巡らせると、壁にもたれかかっている白スーツ姿のセレリア族の男性の姿があった。

 翼のあちこちが破損しており、ひと目で結構な怪我である事が見て取れる。

 

「ツキト、治療を頼む」

「了解っす。任せるっす」

 ロディに頼まれたツキトがそう答え、その白スーツの男性に駆け寄っていく。

 

「そいつを仕留めるのは、この俺様だぁぁぁぁぁっ!」

「いいや、俺様だっ! すっこんでやがれぇっ!」

「させねぇよ! 俺が仕留めてやるぜぇぇぇっ!

 闇組織の構成員――というかゴロツキ数人が、そんな事を叫びながらこちらへと突っ込んでくる。

 ……こいつら、仲悪いのかしら?

 

「鬱陶しいザコどもですわねっ! スタンバスターァァァァァッ! ですわ!」

 なんて事を言い放ちつつ、自身の得物を迫ってくるゴロツキへと向け、扇状に広がる青白い雷撃を放射するエリス。

 

「ぐげえぇっ!」

「ぎひぃぃっ!」

「がぎゃあっ!」

 雷撃を浴びたゴロツキたちがバタバタとその場に倒れていく。

 

「フフン、楽勝ですわ。あ、もちろん、殺してはいないから安心なさいな」

「当たり前だ。片っ端から殺してたら警備隊じゃなくなるだろ」

 得意げに勝ち誇るエリスに突っ込むゼル。

 

「そうそう、上からにも注意しようねぇ」

 なんて事を言いながら、エリスの頭上で魔法発動の構えを取っていたセレリア族の女をチェーンのついたマジックハンドのようなもので掴み、地面に叩き落とすアリシア。

 

 ……あっちの方が殺しかねないんじゃないかしら……

 と思ったものの、どうやらマジックハンドのようなもの自体がクッション性があるらしく、叩き落としたセレリア族のゴロツキに大きな怪我は見られなかった。

 が、それが災いしたのか、

「あまいわねぇぇぇぇぇっ!」

 という咆哮めいた叫びと共に、マジックハンドもどきを破砕して拘束を解く女。

 筋肉がありそうには見えないような長身痩躯の容姿に反して、とんでもないパワーね……。魔法かなにかを使っているのかしら……?

 

「う、うそっ!?」

 女のその動きを想定していなかったのか、驚きで硬直するアリシア。

 そのアリシアに女が何処からともなく短剣を取り出すと、アリシアへと間合いを詰め――させるわけがないでしょうに。

 

 私は、PACブラスターに切れない程度の弱い刃を発生させると、アリシアへと迫る女の方へと真横から踏み込みながら、姿勢を低くしてその足元を薙ぎ払う。

 

「くあっ!?」

 バランスを崩しつつも、飛翔して態勢を立て直そうとするその女目掛けて、ブラスターをクルッと回転させながら、石突きの部分で胸部を打ち据える。

 そこから更に一歩踏み出し、女とちょうどすれ違う形になりながら、その首筋にブラスターの柄の部分を叩きつけた。

 

「あ……がぁ……っ」

 なんていうくぐもった声の悲鳴と共に崩れ落ちる女。

 ……ま、こんなものかしら。グラップルドラゴンとかの魔物と比べたら、圧倒的にザコよね。


「グラップルドラゴン級の魔物と比べるのは、さすがに酷というものではないかと……」

「……どうしてそんなに、私の思考を呼んだかの如き、ピンポイントな発言をしてくるのよ……」

「それなのですが……うーん……どうしてでしょう? 昔から、灯の考えている事は読みやすかったですが、ここ最近は更に読みやすくなっているんですよね……」

 ため息交じりの私の言葉に、そう返してくるユーコ。

 

「……それって、私がアホになっているって事? それとも、ユーコの察する力みたいなのが上がっているって事?」

 などとジト目で言いつつ、出来れば後者であって欲しいなんて事を思ってしまう私だった。

何かが起きているようですが……?

といった所で、また次回! 更新は明後日の日曜日を予定しています!

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