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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
377/764

第58話[裏] 異界解放同盟

更新が遅くなりました……

<Side:Souya>

「――リリアは、奴らが魔物を異世界へ送っている理由についても知っているのか?」

 もしかしたらリリアは、それについても何らかの情報を持っているのではないかと思い、俺はそんな風に問いかける。

 しかし、そのリリアの反応はというと、

「知っていますわ……と答えたい所ですけれど、残念ながらそこは分かりませんわ」

 という、ため息まじりに首を横に振ってみせるものだった。


「肝心な所で役に立たないわね……」

「貴方に言われたくはありませんわよ……。魔法探偵シャルロットみたいな事をしていた時も、結局あの愚か者の愚かな行為の証拠を掴んだのは、私でしたわよね……? まあ……ハイテンションな事を口走りながら、拠点を単独制圧したのは貴方でしたけど」

 互いにため息をついてみせるシャルとリリア。

 

「……ん、そこは今も変わってない。うん。現にさっきも列車強盗団相手にハイテンションだった。うん」

 なんて事をこちらに歩み寄りながら言ってくるロゼ。

 

「そして……うん、『銀の王』との交戦をソウヤひとりに任せる形になった。うん」

「……ほらやっぱり、貴方も肝心な所で役に立っていないじゃありませんの」

 ロゼの言葉を聞いたリリアが、ジトッとした目をシャルに向ける。

 

「……う、うぐ……っ! ……えっと……ま、まあ……その事は置いておきましょ……。そ、それより……どうして貴方が生きているのよ? 貴方は死んだって聞いたわよ?」

 などと、思いっきり話題を変えようとするシャル。

 だがまあ、たしかに気になる所ではあるので、俺はシャルに乗っかってやる。

「たしかにそうだな。死んだリリアの身体を使って、俺の昔の仲間――珠鈴は九死に一生を得て……ハーフドラグのような存在と化したんだぞ?」


 ――そういえば、ついハーフって言ったけど、この世界って、種族が多数存在する割には『ハーフ』という概念が基本的にはないんだよな。異なる種族の間に生まれた子は、血統ランクとやらの強い方の種族になるし。

 まあもっとも、その法則にも例外がいくつかあったり、害獣や魔獣には『混ざった』ものが多く存在したりするから、『ハーフ』という言葉自体はあるんだけど。

 

「ハーフドラグとは言い得て妙、ですわね。たしかに今のミスズは、オリジナルの私――ドラグ族とヒュノス族のキメラめいた存在ですものね」

 そう告げてきたリリアの言葉がピンと来なかったのか、

「オリジナル……?」

 と言って首を傾げるシャル。

 そしてその横では、言葉は発さないものの、ロゼも同じように首を傾げていた。

 

「つまり、その肉体は……クローンかなにか……なのか?」

「ええ、そう考えて貰っても相違ありませんわ。正確に言うのなら、古の錬金術を用いて生み出された私と同じ姿形を持つ肉体――『ホムンクルス』に、死して肉体から離れつつあった私の魂を強引に引き寄せる事で、人工的に転生を果たした……という感じですわね」

 俺の問いに、そう答えてくるリリア。

 古の錬金術……か。たしかにあの技術であれば、そういう事も可能そうではあるな。

 

「魂を強引に引き寄せて人工的に転生……? 一体どうやって……」

「ん、それが簡単に出来るなら……うん、アリーセやアキハラ先生を助ける事が出来る。うん」

 俺に続く形でロゼがそんな風に言う。

 

 ふむ……たしかにその通りだな。

 ホムンクルスを用意しておいて、石化したふたりの肉体を破壊しつつ、魂を強引にホムンクルスへ移すという方法で助ける事が出来る。

 ただまあ、その方法が最良の方法なのかと問われたら、最良だとは答えられないが。

 

「多分、難しいと思いますわよ。私を蘇らせた人物――竜の血盟に属する『異界解放同盟』のレヴィン博士は、私の持つ『魔王血統』、『ドラグナーズブラッド』といった複数の『異界の住人の血』や、様々な要因が重なった結果、偶然上手くいった……と仰っていましたし、実際、私以外にその方法が成功したケースは全くありませんもの」

「……え? 『魔王血統』とか『ドラグナーズブラッド』って、異界の人間の血の事だったの?」

 告げられた内容に驚きつつ、そう俺に問いかけてくるシャル。


「いや、俺もそういう可能性はあるんじゃないかって推測はしていたが、それが事実かどうかの確信が持てる要素は見つけられていなかったな」

「異界の人間であるレヴィン博士がそう言っていたし、実際に血液サンプルも揃っているので、そこに間違いはありませんわよ」

「なるほど……。まあ血液サンプルがある上に、実際の所、異界――別のコロニーに住まう……いや、住んでいた者の血であるという方が、色々と納得出来る部分があるのはたしかだし、そこを疑う理由はないな」

 そんな風に答えて思案を巡らせていると、ロゼが、

「ん、その『異界解放同盟』っていうのは何? うん」

 という疑問の言葉をリリアに投げかけた。


「文字通り、鬼哭界に奪われた異界――コロニー奪還のための活動を行っている組織……ですわね。鬼哭界の侵略よりも前にこちらの世界に渡ってきた者や、侵略の際に逃げ出す事に成功した者たちが大半ですけれど、私のようなこの世界の人間もそれなりに所属していますわよ」

「異界……コロニー……うーん、どこかで聞いた事があるかも……」

 リリアの話を聞いていたマーシャが、人さし指で顎をツンツンしながらそんな事を言った。

 

 ……って、待て!!

「――マーシャ、今の会話普通に全部聞こえていたのか?」

 驚きを心の中に押し留め、冷静に問う俺。

 

「ん? 普通にってどういう事? ちゃんと分かる言葉だったけど……。もしかして、普通じゃ分からない言葉だったとか?」

 不思議そうな顔で小首を傾げて問いかけてくるマーシャに、

「……いや、普通じゃ分からないというか……」

「ん、ノイズになっていない……?」

「これ、どういう事なのかしら……」

 と、俺たちはそんな言葉を紡ぐしかなかった。

投稿の設定が明日の12時になっていました……

気付いて手動で更新しましたが、遅くなりまして申し訳ありません orz


次の更新は明後日、金曜日の予定です!

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