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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第57話[裏] リリアとマーシャ

<Side:Rose>

 顔を上へ向けてみると、あの魔物が飛び出して来た穴が、黒い破片を撒き散らしながら粉々に砕け散っていくのが見えた。

 ……って、穴が……砕ける?

 リリアが何らかの方法で壊したっぽいけど……

 

 私があまり得意ではない考え事をしていると、

「グニャグニャしてて気持ち悪いのがなくなった……」

 と、マーシャがそんな風に呟くように言った。


 この辺りの空間の歪みの元凶は、あれだった?

 ん……でも、さっきまであの穴はなかった。うん。

 

 ……空間が歪んだから穴が出現した。

 穴を壊したから空間の歪みがなくなった。

 そう考えるのが妥当。うん。

 

「ん、ならもう大丈夫? うん」

「うん、大丈夫! それより、ママの方は大丈夫?」

「……うん、問題ない。うん」

「そう? ならいいけど……。って、そういえば、さっきのでママの異能が何か分かったよね」

「……うん、まあ、何だか凄く都合よく発動したのが気になるけど……うん、私の異能は『レビテーション』みたい。うん」


 んん……。そう、何かが……引っかかる。うん。

 まるで、『マーシャの力によって引き出された』かのような感覚がある……。うん。

 でも……うん、マーシャに悪意があるようには思えない。うん。

 ……ん、もしかして、ソウヤの自身と周囲の人間を急成長させる異能のような感じで、うん、周囲の人間の異能を開花させる異能……?

 うん、それをマーシャが持っているのなら……うん、説明はつく……


「……ん、私が異能を理解したのは、うん、マーシャの力のお陰?」

「んー、そうかもしれないし違うかもしれない。……ごめんね、ママ。その辺、自分でもちょっと分からない。なんだか『ママが異能を理解出来るかもしれない』という不思議な感じだけはあったけど……」

 私の問いかけに考え込みながらそんな風に言って申し訳なさそうにするマーシャ。

 

 ……うん、ごめん、マーシャ。私の聞き方が悪かったかもしれない、うん。

 もしかしたら、うん、問いただすかのように聞こえてしまったかも、うん。

 

「ん、わからないのは仕方がない。気にしちゃ駄目。うん。ソウヤみたいに、いつか分かるからいい、という考えの方が楽。うん」

 慰めるためにそう告げる私。

 

 ……ん? これは慰めになっているのだろうか。

 んん……なんか違う気がする。うん。

 ……うぐぐぅ、この口下手をなんとかしたい……うん。

 

「……そうだね。うん、そうしよう! って、そういえば、もう気持ち悪さもないし、あの人の事も気になるし、パパたちの所へ行ってみない?」

 私の言葉の意図を理解したのかなんなのか良くわからないけれど、マーシャがこの話は終わりだと言わんばかりに、話題を変えてきた。

 

 ん……。もしかして、なんだか気を使わせてしまった? うん……そんな感じがする……

 けど……うん、たしかに私も気になるのは間違いない。うん。

 それに……ここでこれ以上マーシャと話すのは、口下手な私では駄目だと思う。うん。

 

 ――そんなちょっと情けない思考と結論に至った私は、マーシャの言葉に乗る形で頷き、答える。

「うん、そうしよう。詳しい話を聞きたい。うん」

 

                    ◆


<Side:Souya>

「……まさか、空間に出現した穴を破壊するとは……」

「なんというか、無茶苦茶ねぇ……」

 俺とシャルがそんな風に呟くように口にすると、

「アレは空間上にポッカリと空いた穴ではなく、空間上に出現している人造疑似ワームホールの出口側の『ゲート』にすぎませんわ。それはつまり、言ってしまえばエネルギーの塊――壊す事くらい、たやすく出来ますわよ」

 などという事を肩をすくめながらサラッと言いながら、降りてくるリリア。

 

 ……エネルギーの塊だから壊せる……か。

 一見するととんでもない発言だが、同じく塊であれば、大体の物は押し出したり引っ張ったり出来るサイコキネシスを有する俺からすると、理解出来てしまう理屈だな。

 

 そんな思考を巡らせていると、リリアが続きの言葉を紡ぐ。

「ちなみに、先程の質問――何の用があって私が貴方たち……『黄金守りの不死竜』にこうして接触を図ったのかについてですけれど、それはあの魔物と穴――ゲートの出口の事を知らせるためですわ」

 

「あの魔物とゲートの出口……について?」

 首を傾げるシャルに、心の中で同意する俺。

 

「ええ。カザミネさんは既に理解しているでしょうけれど……」

 そう前置きするように言って俺を見た後、続けて説明してくるリリア。

「あれは『異世界』と繋がるゲートですわ。そして、あの魔物はその異世界へと現れるようになった別の異世界……いえ、主に鬼哭界や冥界、混沌界などと呼ばれる『真なる王』たちに奪われたコロニーの魔物――そして、キメラたちですわ。そうそう、このグラスティアでは『幻獣』と呼ばれている存在も混ざっていますわね」

 

 ……ふむ、なるほどな……

 灯やユーコが地球側で魔物との戦いを生業としていたという話は、エステルやクーから聞いていたが……やはり、その『魔物』というのは『キメラ』だけではなかったか……

 どうして地球に魔物が出現するようになったのか、そこが謎だったが、奴らが何らかの方法で地球側へ魔物を送り込んでいるというのなら、納得は出来る話ではあるな。

 

 もっとも、奴ら――真なる王陣営が何故そんな事をしているのか、というその理由がさっぱりわからないが……

マーシャには妙な能力が複数あるようですが……?

といった所でまた次回! 次の更新は明後日、水曜日の予定です!

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