表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
363/764

第45話[裏] 列車強盗団制圧戦・ロゼ編

<Side:Rose>

 ソウヤと別れた私は前方車両へと走る。

 

 ……ん、正面――ドアの向こう側から敵の気配、数は……4

 これなら問題なし。……うん、突入しよう。

 

 私は普段使っている円月輪の代わりに、『鉄道運行保安隊』の隊員に支給されているスタンロッド……ではなく、スタンヨーヨーを両手にそれぞれ構える。

 それは、アカツキ皇国で見た手車という名のオモチャ――ソウヤが『ヨーヨー』と言っていたので私もそう呼んでいる――が、武器としても使い勝手が良かったので、エステルに無理を言ってその形状に改造して貰った物。

 シャルのように殺す事が目的ではないので、これの方が都合が良い。

 

 そんな事を考えつつ前方車両のドアを蹴破り、そして素早く車両内へと飛び込む。

 

「なっ!?」

 驚く列車強盗たち。……そして、位置の把握を完了する。


 ……あれ? これなら、ヨーヨーいらなかったかも……うん。体術だけでもいけた気がする……うん。まあいいや……うん。

 私はそんな事を思いつつ、一番近い位置にいる列車強盗へと踏み込みながらヨーヨーを放る。

 ……ん? んん? そういえばSWゾーンブレイカーとやらの、魔法無効化範囲ってどこまであるのだろう……?

 ヨーヨーに内蔵されている霊具が影響を受けると、少し厄介……

 

 そんな事が少し心配になり、念の為体術を繰り出す構えを取ってみたものの、その心配は杞憂に終わった。

 

「ぎぃっ!?」

 まともにスタンヨーヨーを食らった列車強盗が、ヨーヨーの放つ弱い雷撃のショックにより、一瞬にして意識を刈り取られる。

 どうやら放ったヨーヨーに内蔵されている霊具までは、SWゾーンブレイカーの影響が及ばないらしい。

 

「おのれっ!」

 残る3人の列車強盗のうちのひとりが短剣を投げてくる。

 

 私は即座に跳躍。

 と、そこへ別の列車強盗が短剣を投げてくる。

 

 ……このふたりは投擲が得意っぽい……? 連携されるとちょっと面倒。

 なんて事を考えつつ、更に椅子を台座にするようにして再跳躍。

 照明魔煌具を天井から吊るしている棒を掴み、そこから一気に一番近い位置にいる列車強盗へと飛び蹴りを仕掛ける。

 

「ぐぼぉ!?」

 くぐもった悲鳴と共に身体をのけぞらせる列車強盗。


 着地……せずに、蹴りつけた瞬間に、その列車強盗を踏み台に再跳躍。

 バク転の要領で宙返りをしつつもうひとりの列車強盗の頭上を越えた所で足を伸ばし、その脳天に踵落としを叩き込む。

 ほら、やっぱりスタンヨーヨーを使うまでもない、うん。

 

「ごっ、がぁ……」

 という声と共に、列車強盗が崩れ落ちる。……あとひとり。

 

「ちっ!」

 などという舌打ちと共に背を向けて走り出す最後のひとり。

 他の車両に状況を伝えに行くつもりなのだろう。


 ……けど、うん、そういうのは、もっと早くやるべき。うん。

 もう遅い。判断が遅すぎる。うん。

 私はその背へ向かって踏み込みつつスタンヨーヨーを投擲。

 

「ぐぎゃぁぁっ!」

 命中。弱い雷撃のショックをその背にまともに喰らい、崩れ落ちる。

 

「ん、制圧完了」


 うん、弱い。弱すぎる。こんな弱いのに、うん、列車強盗だなんて、鉄道運行保安隊をナメてる? うん。

 

 そう思いながら、速やかに隊員用の拘束具で列車強盗たちを拘束。

 鉄道運行保安隊隊員である事を乗客に伝えると、私は次の車両へ向かう。

 

 ……結論から言うと、次の車両もその次の車両も大した事なかった。

 ヨーヨーの出番ほとんどなし! ほぼ、蹴って蹴って蹴って……それで終わり。

 そんなこんなで次々に車両を制圧していき、遂に最前列車両へと辿り着いた。

 そして、その最前列車両もやっぱり大した事なかった。


 ボスくらい待ち構えててもいいのに、ザコしかいないなんて、つまらない。うん。

 携帯通信機用に最近出ているゲームという物の方が、うん、何倍も良い作りをしていると思う、うん。

 

「――ん、掃討完了」

 何やら運転士を人質に取ろうという、小賢しい真似をしようとしたバカがいたので、うっかり瞬殺してしまったが、まあ……うん、ひとりくらいなら……シャルほどの殺戮をしているわけじゃないし……うん、許容範囲、許容範囲。

 

 ……ん、でも、死体が列車内に残っていると面倒かも、うん。

 というわけで、ささっと殺した奴の死体を列車の外に蹴り出して列車内から隠滅すると、私は運転士に話しかける。

 

「ん、列車内は制圧した。外は……うん、悪鬼羅刹みたいな魔法探偵騎士が、殲滅するから問題ない、うん」

 そう告げると運転士は何やら困惑した表情を浮かべる。

 ん? 魔法探偵を知らない?


 まあいいや、話を続けよう。うん。

「ん、列車強盗は後部の貨物車両を狙っている、うん。何か心当たりは、ある? うん」


「貨物車両……ですか? そういえば、ヴァロッカ駅での停車時間がいつもより長めに取られていましたね。何か大掛かりな物を積み込むとかで」

「ヴァロッカ……」

 この特別開発自治領エレンディアの領境に近い町の駅……

 

 でも……うん、あの町は宿場町――温泉街として有名な町で、そういった方面に特化しているはず、うん。

 だから……うん、工業的なものとは無縁だと思うけど……うん。

 そんな町の駅で大掛かりな積み込み……? んんん?

 

 うん、なんだか物凄い怪しい予感しかしない……うん。

書き終えるのに時間を要して、更新が遅くなりました……


第1部からの時間経過によって、技術や文化の発展が世界全体で進んでいる為、割と普通にゲームとかも存在するようになってきています(灯たちもプレイしていましたね)


といった所でまた次回! 更新は明後日、金曜日の予定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ