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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第39話[裏] VSバーングラム

<Side:Souya>

「そ、そうか……なんだか知らんが凄く大事なのは理解したぜ」

「そう、凄く大事なのよ。――そして、この剣があればどうとでもなるのよっ!」

 そう言葉を返すと同時に、シャルがX字に剣を振るう。

 

「はっ! せぇいっ!」

 バカでかいX字の霊力の塊が発生し、それが衝撃波となってバーンに襲いかかった。

 

「うおっ! マジかよ!? ロゼの霊力の刃の何倍だこりゃぁ!?」

 回避しつつ驚きの言葉を発するバーン。

 それを聞いた横にいるロゼが、

「うん、シャルは刃の大きさだけは段違い……うん」

 などと呟いた。

 

「ロゼには出来ない芸当も見せてあげるわ」

 なんて事を言い、地面に剣を突き刺すシャル。

 

「てぇいやゃぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁっ!」

 シャルが裂帛の叫びと共に、突き刺した剣で地面をえぐりながら振り上げる!

 

 えぐれた地面と共に、赤黒い霊力が間欠泉のように噴出。

 そのまま一直線に霊力の噴出が、まさにライン状に並べられた噴水の如く次々に発生していく。

 

「凄まじい霊力だが、一直線ならどうにでもなるぜ」

 なんて事を言いながら横に跳躍するバーン。

 しかし、すぐに驚愕の表情で、「ちっ、マジかよ!?」と、忌々しげに吐き捨てた。

 

 なぜなら、一直線だった霊力に連続噴出が急にカーブし、バーンを追尾し始めたからだ。

 

「霊力がホーミングしてくるとか意味わからねぇぞ!?」

「ん……本当に意味がわからない……うん、こういう霊力の使い方は、さすが……」

 叫ぶバーンと呟くロゼ。

 どちらもシャルの技に対し、意味不明だというのは同じのようだ。

 

「くっ、ならこいつでっ!」

 バーンがハルバードの先端――槍の部分を地面に突き刺す。

 

 と、そのまま地面に先程の触手のようなものが潜り込んでいくのが見えた。

 

「いけっ!」

 という掛け声と共に、地面から触手のような物が噴き上がり、シャルの放った霊力と激突。

 触手のようなものがバラバラに砕け散るも、霊力の噴出もそこで止まった。

 

「霊力を破壊――いえ、スナッチした……?」

「まあ、掴めるようなレベルの霊力じゃなかったら砕けちまったがな」

 シャルに対しそう答えているそばから、砕けた触手のような部分が再生する。

 ……一体、何で出来てるんだ……? アレ。

 

「やっぱ、シャルはロゼの霊力の使い方と違って力技って感じだな」

「ロゼの霊力の使い方? ああ、こういうの?」

 シャルはバーンに対し、問いの言葉を投げかけつつ、小さいX字の霊力の塊を5つ目の前に出現させた。

 

「なっ! ロゼと同じ技だと!?」

「それはそうよ。これ、教えたの私だし」

「ん、今では私の方がいっぱい出せる……ぐぬぅ……」

 ふたりの会話に、何故かロゼが悔しそうな顔をしているが……まあ……そこは置いておこう。

 

「まあ、ロゼほど大量には出せないけど……そうね、これを飛ばすだけじゃ芸がないわよね」

 なんて事を言って、シャルはそれを衝撃波にし、地面に向けて放った。

 ……なんだ?

 

 地面に5つのX字が刻み込まれ、赤黒い光を放ち続ける。

 そしてすぐに今度は十字に剣を振るい、小さい十字の霊力の塊を5つ生成。

 これもまた衝撃波にして地面に放つ。

 これで、地面に刻まれているのは、X字と十字、合わせて10個だ。

 

「――斬影血花」


 そう言い放った瞬間、小さいX字と十字を起点に、線が伸びている方向へ赤黒い衝撃波が地面を這うように走る。

 要するに斜め4方向に走る衝撃波が20、縦横4方向に走る衝撃波が20、合計40の衝撃波だ。

 もはやそれは、衝撃波の絨毯爆撃だといっても過言ではなく、敵が密集している所に撃ち込もうものなら、確実に何十何百という単位で吹き飛ばし、シャルロッテ無双と化すであろうとんでもない技だった。

 

「おいおいおいおいおいっ!?」

 慌てながら、バーンは再び地面にハルバードを突き刺す。

 いや、石突きを下にしている……?

 

 そう思った瞬間、触手のような物が一気に放出され、まるで傘のように広がりながらバーンを覆う。

 そこへ大量の衝撃波が襲いかかった。

 

 ドカドカと凄まじい音を立てながら、衝撃波が触手のような物を砕いていく。

 しかし、ひとつ砕くごとに衝撃波の方も消え、触手と衝撃波のどちらが先に尽きるかといった状態になった。

 

 ……まあ、触手の方が多いし、衝撃波はバーンの居ない方に走っているのは無意味なので、どう考えても触手の方が勝るわけで……

 バーンはどうにかこうにか衝撃波の絨毯爆撃を凌ぐ事に成功した。

 

 が、防ぎきれたと思った事が油断だったのだろう。

 既にシャルは直前にいた場所にいなかった。

 バーンは表面上は冷静であったが、内心では焦っているのだろう。

 視線を素早く動かしてシャルの位置を探っている様を、俺のクレアボヤンスが捉えた。

 

 さて、そのシャルはというと……自身の放った衝撃波を隠れ蓑にしつつ、先程バーンによって絡め取られた刀を回収。

 大きく跳躍し、バーンの頭上にいたりする。

 

 シャルが間近まで迫った所で、どうにかその位置を把握したバーンが、

「俺の意表を突くつもりだったのかもしれねぇが、飛んだのは失敗だったな!」

 と言い放ち、迎撃の構えを取る。

 

 そう……普通は一度跳躍したら、着地するまでその軌道は変えられない。

 故に、跳躍の軌道の先で待ち構えるだけで、簡単に迎撃する事が出来る。


 まあ……『普通は』の話だけどな。

今回は全編シャルロットVSバーングラムの話となりました。

次回で決着つきます(というか決着まで次の話の半分いくかいかないかな気がします……)


といった所で、また次回! 更新は明後日、土曜日を予定しています!


3作目となる『ファンタジー世界の大魔道士、地球へ転移す ~異世界生まれの高校生?~』も、順次(毎日)更新していますので、よろしければこちらもお読みください!

(……最終調整をしながら投稿しているので、少々更新時間が不確定ではありますが……)

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