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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第24話[表] ゲームと新素材 

<Side:Roderick>

「思ったより必要な家具ってなかったわね……」

「よくよく考えたら、家具よりも日用品――雑貨や衣類の方が重要ですからね……。せいぜいそれを収納しておく為の物くらいですよね、必要な家具って……」

 アカリとユーコがそんな事を話しながらやってくるのが見えた。

 

 そう、アカリとユーコの会話にあったように、必要な家具はあまりなかった。

 どちらかというと日用品――特に女性用のあれこれが圧倒的に足りていなかったのだ。

 でまあ……それを買う必要があったわけだが、そこに男の俺が付いて回るのはどうかと思った――いや、正直言おう。ちょっとこう……近づくのも勘弁願いたかったので、こうして休憩コーナーで待っていたというわけだ。

 

 まあ、携帯通信機用のゲーム――といっても、地球のコンシューマゲーム機のゲームのようなド派手なグラフィックと凄まじいボリュームを誇るような代物ではなく、数世代前のゲーム機とかスマホにありそうな、1画面タイプのミニゲームタイプの代物だが――をプレイして、時間を潰していたので、特に暇とかではなかったが。

 むしろ通信機能を使ったスコアアタックで忙しかったともいう。

 

 ……つーか、この『KAZAMINE』ってプレイヤー、スコア高すぎだろ……2位と1桁違うとか、どうやったらこんなスコアになるっていうんだ……?

 名前からするとアカツキ人のようだが、まさかアカリや俺と同じ地球――日本からの転移者とかだったりするんだろうか……?

 

 ……まあいい。とりあえず一旦終了だ。

 俺は携帯通信機の停止ボタンを押してゲームを終了させると、

「それで、必要な物は全部買えたのか?」

 と言いながら、椅子から立ち上がる。

 

「ええ。服以外は、ばっちり買えたわ」

「ん? 服はいいのか?」

「服以外と言っても、服も最小限必要な物は買ったから問題ないわよ。しっかり買っていたら30分とかじゃ済まないから、今日の所はやめておいたのよ」

「なるほど……」

 俺がそう納得した所で、

「それにしても、この次元鞄という物は便利ですね……。買った物が全部入るだなんて……」

 と、ユーコがそう言って、次元鞄を見せてくる。


 さすがに次元鞄なしでは色々面倒だろうという事で、購入を勧めたのだが……どうやら、持ち手付きのショルダーバッグタイプの次元鞄を買ったようだ。

 

「でもこれ、私だと肩に掛けられないんですよね……。エステルさんのお陰で、こうして普通に手で持つ事は出来ますが……」

「この具足の肩パット版みたいなのって、ないのかしらね?」

 と、そんな事を言うふたりに、俺は腕を組みながら告げる。

「戻った時にまだ居たら聞いてみたらどうだ?」

 

「あ、そうね。じゃあそろそろ戻りましょうか」

 

 というわけで、ふたりと共に金剛魂に戻った所、丁度良い具合にエステルがエレベーターの近くに居たので、その事について聞いてみる。

 

「――ふむ。そのくらいじゃったら、先程の具足を作った時の余り素材がある故、簡単に作れるぞい。手の方を一旦貸すが良い」

 などとあっさり言ってくるエステル。

 

「え? 手?」

「肩にどうやって置くつもりなんじゃ? 手の所から特殊なサスペンダーを肩の所まで繋ぐ形にするのじゃよ」

「あ、そういう事ね。理解したわ」

 エステルの説明を聞いたアカリが、なるほどと言った表情でポンッと手を打ちながら、そんな風に言う。

 

「なら、改良を待つ間に携帯通信機を受け取って使い方の説明をしておくか」

「うむ、そうじゃな。――おーい、さっきの携帯通信機を出してくれぬかー?」

 俺の言葉に頷き、カウンターの方へそう声をかけるエステル。

 

 エステルと入れ替わるようにして、指示された店員がカウンターから携帯通信機を持ってやって来て、アカリとユーコにそれぞれ手渡した。

 ユーコはとりあえず、霊力を使って持っているようだ。

 

「使い方はまあ、携帯電話……スマホとあまり大きな違いはないな。まず――」

 そんな風に切り出し、使い方の説明を始める俺。

 

 ……

 …………

 ………………

 

 地球で日常的にスマホを使っていたから、というのもあるだろうが、アカリたちが使い方を覚えるのはあっという間だった。

 そして、今や――

「私の勝ちですね」

「ぐ、ぐぅ……。また負けたわ……。っていうか、28連鎖って何なのよっ! あんなのどうにもならないじゃないのっ!」

 なんて事を言うユーコとアカリ。

 

 ちなみに、ボムルバブラという名前の、羊のような体毛を持つ丸々とした鳥型害獣を模した――デフォルメしたものが最大3色かつ3匹まで連なって上から落ちてくるゲーム……いわゆる、色を揃えて消す落ち物パズルの対戦結果の話だ。

 なお、アカリが全敗中だったりする。


 まあ、降ってくるのが1~3匹のランダムな上、消した時に下にいるボムルバブラが数段分飛び上がるという妙なギミックがあるのが地味に厄介だったりするからな。このゲーム。

 そう……この飛び上がった時に横に同色が2匹いると連鎖するのだ。

 これを計算して配置したり消したりすると、今のユーコが叩き出したような恐ろしい連鎖数になったりする。

 ……もっとも、俺もそんなに得意な方じゃないから2桁の連鎖数は出した事もないが。

 

 なんて事を考えていると、

「終わったぞい」

 という言葉と共にエステルが戻ってきて、改良した物をユーコに手渡す。

 

「あれ……? これって、サスペンダーと肩パットがついているんです……よね? 全く見えない上に、触れる事も出来ない気がするんですが……」

「うむ。最近生み出されたばかりのエアリアルチェインとファントムスフィアを利用しておる故、見えない上に触る事も出来ないのじゃが、ちゃんとあるから安心するが良い」

 ユーコの疑問に、そんな風に説明をするエステル。

 ……って、サラッと言ったけど、開発されたばかりの最新の素材を使ってるって事だよな……それ。

 

「え? 見えない上に触れる事も出来ないなんて代物、どうやって加工するの?」

 そう頬を指で掻きながら、問いかけるアカリに対し、

「そこは大工房の生み出した最新技術故、おいそれと教える事は出来ぬのぅ」

 と、エステルが答える。

 

 それを聞いて、

「相変わらず、イルシュバーン共和国……かつ、その最先端である大工房は技術力がぶっ飛んでやがんなぁ……」

 という言葉しか出てこない俺であった。

KAZAMINE……つまり、蒼夜です。

ちなみにどんなゲームなのかというと……完全に裏設定ですが、弾幕シューティングから攻撃手段を取っ払ったような感じで、四方八方から迫る敵や攻撃をどれだけ回避し続けられるかを競う、というゲームです。


とまあそんな話はさておき、次回の更新ですが……明後日、木曜日を予定しています!

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