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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第19話[Multi Site] ソウルデータ

<Side:Akari>

 中で何が起こっているのか……と思っていたら、何故か私の方にもゾワゾワと何かで全身を弄られているような感じがしてきた。

 ユーコを通じて、私の肉体に影響が出ている……のかしら? さっき、なんか肉体は繋がっている……みたいな感じの事を言っていたし。


 にしても……。こ、これは……なんだかちょっと――いえ、随分と気色の悪い感覚ね……っ。

 声を出すほどじゃないから、ユーコが感じているものよりは大分弱いのだろうけど……

 さすがにそのままにしてはおけず、

「な、なんか、私の方まで気色悪い物を感じるんだけど……っ!?」

 と、エステルに問いの言葉を投げかける私。


「ふむ……? それはまた奇妙な現象じゃのう……。おそらく、半ば融合しているがゆえに、感覚的な部分の一部が双方に伝わる状態になっておるのやもしれぬのぅ。まあ、害はないゆえ、すまぬがそのまま我慢してくれぬか?」

 ああ、やっぱりそういう可能性が高いわけね。

 ……まあ、我慢出来ない程のもの、というわけでもないからいいけど……

「しょうがないわね……。でも、なるべく早めに済ませてくれるかしら?」

「5分以内になんとかするわい」

 

 ――ユーコのためという事もあり、そのままその得体のしれない気色の悪さに耐える事、数分……多分、エステルが宣言した通り、5分はかかっていないわね。


「うむ。これで全て終わりじゃ」

 というエステルの声と共に、全身を弄られている感覚が消滅する。

 ふ、ふぅ……。やれやれだわ……

 

 ボックスのドアが開き、中からユーコが出てくる。

 ……うわぁ……。物凄い疲弊した顔をしているわね……

 

「形容し難い、正体不明の末恐ろしい責め苦と快楽を、同時に立て続けに味わわされた気分です……」

 なんて事を開口一番に告げてくるユーコ。

 よ、良く分からないけど、とんでもない状況だったのだけは理解出来たわ……

 

「それで……どんな感じなんだ?」

「うむ。これならすぐに調整出来るぞい。外の店で魔法の組み込みでもしておるが良かろう。出来上がったら持っていくでの」

 ロディの問いかけにそう返し、工具箱のようなものを棚から引っ張り出し、その中から金属製の具足を取り出すエステル。

 

「ユーコ用の物はこれに組み込んでおけば、後で妾が結合するぞい」

 そう言って、エステルが黒い宝石に金属フレームをつけた円盤のような物を手渡してくる。

 

「わかったわ」

「んじゃ、店の方へ行くか」

「魔法ってどんなのが使えるんですかね?」


 なんて事を話しながら、私たちはその場を後にした。


                    ◆


<Side:Estelle>

 3人が工房から出ていくのを確認し、妾は先程計測したばかりのユーコのデータをホログラムモニタに映し出す。

 そして、亜空間通信システムを起動。

 

「こちら、ソウヤ・カザミネ……って、エステルか。どうかしたのか?」

「うむ。実はちょっとばかし気になるソウルデータを取得したのでな。今から転送する故、我らが女神様に確認しては貰えぬかのぅ?」

「それは構わないが……気になるデータ?」

 妾の言葉にそう返してくるソウヤ。

 

「アルチェムの転生体かもしれぬ存在のデータじゃよ」

「は?」

 妾の発言があまりにも想定外だったのか、ソウヤが間の抜けた声を口から発した。

 

「そ、それはどういう……事、だ? どうしてアルチェムの転生体が……?」

 何やら困惑しているソウヤ。まあ、わからんではないがのぅ。

 

「アカリという少女にさっき出会っての。その少女に憑依、あるいは融合するようにして存在しておったユーコという名のアストラル体の事を、ちょーっとばかし調べてみたのじゃが……そうしたら、以前調べたアルチェムのソウルデータに似た部分が見つかったのじゃよ」

「ふむ……」

「ちなみに、じゃが……。どういう経緯でアカリという少女とユーコというアストラル体が、そのような状態になったのかは、妾にも良く分からぬから聞かれても答えられぬぞい」

「……そ、そうなのか……。――うーむ……。そうなると、そのアカリという少女の情報がもう少し欲しい所だな」

 落ち着きを取り戻したのか、そんな風に言ってくるソウヤ。

 まあたしかに、妾としてもあの娘の情報は欲しい所じゃな。


「警備局の者――例の広捜隊とやらと行動を共にしておるゆえ、その辺から情報を得てみるのが良いじゃろうな」

「広捜隊……。ああ、あの新設された部隊か。わかった、こちらで情報収集を試みてみる」

「うむ。なにか分かったら妾にも教えてくれい」

「ああ、そっちもわかった」


 ソウルデータの送信も完了した為、妾はそこで通信を終了する。

 あまり長い間通信しておるのは、色々と危険じゃからのぅ。

 

 ……さーて、ユーコ用の具足を仕上げてしまうとしようかのぉ。完璧なまでにのぅ。

 

                    ◆


<Side:Souya>

 俺はエステルから受け取ったソウルデータを持って、ディアーナのもとへとやって来ていた。

 

「――というわけで、エステルから届いたソウルデータなんですが……どうですかね? アルチェムのソレだったりしますかね?」

 中空にホログラムのように展開されているソウルデータを見ながら、難しい顔をしているディアーナにそう問いかけると、

「……たしかにー、アルチェムさんのものとー、大体1/3ほど合致していますー。しかしー、残りの1/3ほどがー、完全に違うんですよねー」

 なんて事を言ってきた。

 

「エステルの話だと、アカリという名の少女に憑依、あるいは融合しているかのような状態だった、との事ですが……」

「なるほどー。そうするとおそらくー、この残りの1/3はー、そのアカリさんという少女のものですねー。ですがー……このデータに似たものをー、どこかで見たようなー……?」

 俺の話を聞き、そんな風に言うディアーナ。

 

 ……うん? どこかで見た事がある?

 ……まてよ、たしかアルチェムは冥将カローア・ヴィストリィと……

 

 ――即座に俺は問いかけた!

「ディアーナ様! その残りの1/3ですが、カローア・ヴィストリィのものと合致していたりしませんかね!?」

 と。

久しぶりに蒼夜の登場となりました。

第1部(というか全体の)主人公とはいえ、展開上第2部ではあまり出張るわけにはいかないのが難点です……


とまあそんな所でまた次回! 更新は明後日、月曜日を予定しています!

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