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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第1章 エレンディア編
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第7話[裏] 機巧竜・絶牙とサイコキネシス

<Side:Charlotte>

 尻尾から胴体へ向かって駆け上がる私に対し、翼のビームファンから即座に羽根のような魔法の矢――フォトンフェザーがバラ撒かれ、弧を描くような起動で私に襲いかかってきた。


「はあぁぁっ! どっせぇぇいっ!」

 霊力を込めた刀と剣を、掛け声と共に振るい、自身に当たる軌道のフォトンフェザーのみを全て薙ぎ払う。

 

 横から迫ってきたビームブレード――翼を分離して飛ばしてきた――を霊力の刃で受け止め、そのまま切断。

 

 真っ二つになった翼のブレードがない金属フレームの部分を足場にして跳躍。

 装甲の隙間からコアが見える部分へと辿り着いた。

 

 ゴルドールの驚愕と憤怒の入り混じった声が響き渡ると共に、再びフォトンフェザーが襲いかかってくるが、私はそれを無視して刀と剣をコアに向かって突き刺す。

 

 直後、激しい音が鳴り響く。

 それは、先程私が真っ二つにした翼の片割れにフォトンフェザーが大量に突き刺さり、爆散した音。

 ちょうど、翼の片割れが盾となり、私に殺到したフォトンフェザーを防いだ形だった。

 どうして都合よく、私の盾となるかのように翼の片割れがそこにあるのか、というのは考えるまでもないわね。

 そう、ソウヤのアポートとアスポートによって、そこへ移動したから。


 さすがはソウヤね! 私の行動を良く分かっているわ!

 

 なんて事を思っている間にも、コアがバチバチとスパークし始め、ウナギ――じゃなくて、サーペントのような姿に変形した機巧竜のその動きが、急激に鈍り出す。

 どうやら、動力が停止寸前みたいね。

 

「バ、バカな……。まさか……これほど……とは……」

 竜頭からゴルドールの、信じられないと言わんばかりのそんな声が降ってくる。

 

「『黄金守りの不死竜』の――ドラグーンの力を、甘く見すぎなのよ」

「くっ……! か、かくなる上は……」

 私の言葉に反応するかの如く、ゴルドールが勢いよく竜頭から飛び出してくる。

 

 振るわれた槍を回避し、霊力を纏った刃で横から迫る見えない刃を受け流す。

 だが、次々に見えない刃が迫り、反撃する隙がない。

 

 と、そこへ想定外の所からの攻撃があった。

 

 モニカの部下のひとりと思われるヒュノス族の青年が、両手持ちの大剣を一直線に投擲。

 それがゴルドールへと迫る。

 

 さすがにあっさりと躱されるも、ゴルドールの意識が両手剣、そして投擲されてきた方へと向き、私から逸れた。

 それはつまり、反撃のチャンス!

 私は一気に踏み込んで刀を振るう。

 

 私の動きに気づき、再び槍で攻撃を防ごうとして――

「ぐふっ!?」

 という声と共に、口から血を噴き出すゴルドール。

 ……いえ、口からだけじゃないわね。腹からも血が噴き出しているわね。

 なぜなら、躱したはずの大剣が、真ん中からふたつに分かたれた状態で、左右の脇腹にそれぞれ突き刺さっていたから。

 

 ……ソウヤがサイコキネシスで操った?

 と思ってソウヤの方を見ると、ソウヤもまたその光景に驚いており、

「まさか、以前ティアが話していた……?」

 なんて事を呟いた。……ソウヤではない? それじゃあ誰が……


「意識が完全に逸れていたお陰で、なんとか決まった……か」

 そんな声が、モニカの部下のひとり――ヒュノス族の青年から聞こえてきた。

 

 あの青年が……?

 でもまあ、考えるのは後にして……

 

 私はゴルドール目掛けて右手の刀を突き刺し、斬り上げる。

 同時に逆手に持ち替えた左手の剣でも斬り上げる。

 

「が……はっ!」

 大きく仰け反ったゴルドールがバランスを崩し、そのまま機体上から落下。

 地面に激突して動かなくなった。

 

 ……これで、モニカの仇は討てたわ。

 そして七聖将の残党も、あとふたり……。大将軍と呼ばれる人物と、クライヴの後釜に座った人物だけ……ね。

 

                    ◆


<Side:Souya>

「――とまあ、そういうわけだ」

「……それは、本当なのかい?」

 俺の説明を聞き終えたドラグ・ケイン族の男性――ガレスが、訝しげな表情で疑問の言葉を投げかけてくる。

 

 うんまあ……普通に考えたら俺の語った内容なんて、荒唐無稽すぎて、到底信じられるような話じゃないしなぁ……

 なんて事を思っていると、シャルが腕を組みながら自信に満ちた表情と口調で、

「無論よ、ガレス。この私が……そしてヴァルガス元団長やハイジもいるのよ? 嘘ではない事は保証するわ」

 と、そうガレスに告げた。

 

「――うん……たしかにそうだね。シャルだけじゃなくて、団長やハイジ……そして、秘密裏に深月までもが所属しているのなら、本気で『ソレ』を成し遂げようとしているというのは、凄く納得出来る話だし、不可能ではないと言えなくもないね。まあ……凄く険しい上に茨に覆われているような、そんな道ではあるけれど……」

 ガレスはそう呟くように言い、しばしの間考え込む。

 

 そして……

「……わかった。僕は君たちに協力しよう。――いや、是非とも協力させて欲しい。モニカを取り戻すためにも……ね」

 俺たちに対し、そんな風に言ってきたのだった。

戦闘シーン、実はもうちょっと長かったんですが……パワーインフレ同士の戦闘なので、一撃必殺級の撃ち合いになってしまい、なんだかなーと思いまして……削ってアッサリめにしてみました。


という所で次回の更新ですが……明後日、木曜日を予定しています!

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