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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第1部 異世界グラスティアの異変 第1章 アルミナ編
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第8.5話 この世界について色々書かれている本

世界観設定についての回です。

基本的に必要に応じて解説を入れるので、ここは流し読みしてしまっても大丈夫です。

 ――俺はベッドの上に寝っ転がると、『この世界について色々書かれている本』を開く。

 

 ……しかし、この安直なネーミングの本、著者が記されていないが、まさかディアーナが書いたのだろうか?

 あとこれ、ちょっと分厚すぎるだろ。正直、並の辞典よりも分厚いぞ……? うーん、さすがにこれを今晩中に全部読むのは、無理というものだな。

 仕方がない、今日はとりあえず、アリーセたちとの会話に出てきた固有名とかを中心に、必要そうなところだけ読んでおくことにするか。幸いというか、目次と索引が充実しているので、目的のページを探すのは簡単だ。

 

 まずは、時間とか距離とかについて……と思ったのだが、どうやらこれは、本来なら地域によって呼び方が少しずつ異なっているらしいのだが、ディアーナが俺の脳に全ての言語を刷り込んだことによって、俺には地球の単位――もっというと日本で使われている単位と同じく聞こえるようだ。

 

 要するに1時間は1時間だし、1キロは1キロだということだ。単位の名称を気にしなくてもいいのは楽だな。

 

 ちなみに1日は地球と同様の24時間だが、1年は12ヶ月でピッタリ360日のようだ。要するに1ヶ月は全て30日ってわけだな。

 なお、地球のような『ズレ』は存在しないため、閏年のような概念も存在しないらしい。


 さて、次は何を調べるか。

 ……って、そういえば、今日だけでも結構な種族を見かけたな。

 この世界は結構種族が多そうだし、しっかり調べておいた方が良さそうだ。

 

 えーっと、種族のページは……っと、あったあった。

 

 ――なになに。

 俺、というかアリーセのような、見た目が人間そのものな種族が『ヒュノス』

 

 で、ロゼのように、こめかみの辺りから額あたりまである細長い曲がった角を持っており、なおかつ耳が若干長くて後ろに向かって尖っている、という特徴を持つ種族が『ディアルフ』か。

 

 んで、あの護民士のクライヴみたいな、背が少し高めで耳が横に長いエルフのような種族が『エルラン』というらしい。

 

 どちらも、ヒュノスよりも寿命が長いとか、精霊を使役出来るとか、そういった特徴はなく、容姿の違い以外は、ヒュノスと同等だそうだ。

 

 耳と言えば……だが、ファンタジーものの原典ともいえる物語では、エルフの耳は横にではなく後ろに向かって長いので、耳に関してはディアルフの方が、原典的なエルフに近いと言えるだろう。

 けどまあ、エルラン=エルフ、というわけではないのだし、どうでもいいか。よし、次。

 

 ――ウサギのような耳と尻尾を持つ種族『ルヴィーサ』か。まあ、これはロゼの治療を担当した治療士の女性がそうだったな。

 

 他にも町でみかけたキツネのような耳と尻尾を持つ種族は『テリル』、ネコのような耳と尻尾を持つ種族は『カヌーク』というらしい。

 

 そういえば、キツネ――テリルの方は、尻尾が複数ある人をさっき街中で見かけたよな……亜種とかなんだろうか?

 

 それと、この宿のフロント係をしている初老の男性は、狼や犬を思わせるフサフサの耳が、頭の上ではなく人間と同じ位置についていて、エルランのように横に伸びていたな。いわゆるケモミミとは違っていたから不思議に思っていたんだが……

 

 そう考えつつページをめくると、それらしい種族の記述があった。なになに……

 

 ――どうやらあれは『ガルフェン』という名の種族らしい。

 耳の位置が横にあり、獣人タイプの種族としては特殊だが、尻尾は普通に尻の上あたりにあるんだそうだ。……やっぱり不思議な感じだな、この種族は。

 

 他にどんな種族があるのか、ページをめくってみる。

 

 すると、この町では見かけていないが、いわゆる鳥のような翼を持つ有翼人、『セレリア』や、竜の角や翼を持つ『ドラグ』など、空を飛べる種族がいると書かれていた。

 なお、空を飛べるといっても、どちらも短時間しか飛べないみたいだが。

 

 で、それ以外にも、7~8歳程度の人間の子供と変わらない大きさまで成長したら、そこで成長が止まり、老化の影響もあまり出ない『マムート』 

 マムートとあまり変わらない背丈ながら、体格はがっしりとしており、体の一部が毛に覆われている『ドルモーム』

 そして、人魚そのものといった感じの『オルセナ』……と、結構な数の種族が存在しているようだ。

 

 うーん……ドルモームっていうのは、体の一部が毛に覆われているという点以外は、ドワーフっぽいな。鍛冶屋が多いとか、男性は長い髭を持つ者も多いとか、そんなことも書かれているし。

 

 それはそうと……わかってはいたけど、種族名が多すぎて覚えきれないな。

 まあとりあえず……人間、魔族、エルフ、ウサギ、キツネ、ネコ、狼、翼人、竜人、小人、ドワーフ、って感じで覚えておけばいいか。

 

 あとは、なんか血統遺伝とか純血化とか、各種族や種族間での遺伝ルールみたいなのが大量に書いてあるが、正直さっぱり理解出来ない。

 ただ、この辺は一般常識というわけではなさそうなので、今すぐこの知識が必要になるようなことはないように思える。……よし、とりあえず放っておくか。

 

 そんなわけで、次は……

 そうだ、アカツキ皇国について調べておいた方がいいな。一応、アカツキの人間という設定だし。

 とりあえず名前からは、日本のような雰囲気の国をイメージするんだが、実際にはどうなのだろうか。

 

 ――グラズベイル大陸内陸部 アカツキ皇国。

 想定どおりと言えば想定どおりだが、今いるこのフェルトール大陸とは別の大陸にあるみたいだな。

 グラズベイル大陸の大半を支配する国で、『巫皇』と呼ばれる者と、その一族が絶対的な権力を持っているらしい。


 数千メートル級の高い山々が連なるオウレイ山脈に囲まれており、高高度を飛行出来る飛翔船が生み出される以前は、他国との行き来は『鍾乳大河』を経由する以外になく、鎖国とほぼ変わらない状態が長い間続いていたんだとか。

 ふーむ……なるほど、日本と違って海じゃなくて山で他国と隔たれているのか。


 で、そんな感じなので、他では見ない独特の文化を持ち、魔煌技術の面でも、魔煌精錬水に限りなく近い製法でありながら、大きく性質の異なる霊薬と呼ばれる物や、それを用いて加工された霊具など、アカツキ特有の物が多いそうだ。

 あと、種族に関わらず黒髪の者が多いって書いてあるな。……ああなるほど、だから名前と合わせてアカツキ皇国の出身に違いないと思われたんだな。


 ……うーん、それにしても、この説明だと今のアカツキは、開国直後――つまり、明治維新直後の日本という感じがしなくもないけど、これだけじゃちょっと判断出来ないな。

 なにしろ、ここから北にあるこの国の首都は、もっと時代が進んでいるかのような印象を受けたからなぁ。……結局、実際に目で見てみないと駄目って事か。

 

 仕方がない、次へ行こう。

 で、ここはやっぱり、今いる国――イルシュバーン共和国について、調べてみるべきだろうな。

 

 ――フェルトール大陸中原西部 イルシュバーン共和国。

 フェルトール大陸中央部にある広大な平野地帯――中原と呼ぶらしい――の西部に存在する大国、か。

 ま、首都のあの感じからしてそうだよな。


 当然といえば当然だが、共和国なので王や皇帝のような、絶対的な権力者というのは存在していない。

 元老院議会で統治の為の意思決定がなされており、この元老院の議員になれるのは、各国家機関――省庁や国立の施設など――ごとに、議員にふさわしいと推薦された人だけらしい。

 要は、他人からの推薦でのみなれるって事か。公平なようだけど、賄賂やら脅しやらで推薦を得る事が出来るような……


 まあもっとも、現元老院議長は公明正大な人間らしく、そういった汚職の類に手を染めた者は、有力者であろうとも徹底的に追求され、排除されるそうだ。

 ふむ……。とりあえず現元老院議長、つまりアリーセの父親が凄い人物であるって事は、理解したぞ。


 で、次はこの国の主要な種族だな。

 えーっと、ヒュノス、エルラン、テリル、カヌーク、ルヴィーサ、ガルフェンの6種族が主要のようだ。まあたしかに、この6種族はこの町でも見かけたしな。

 逆にロゼのようなディアルフ族は、この国では珍しいらしい。まあ、首都ルクストリアでは、それなりに他の種族も見かけるそうだが。


 はて? ルクストリアに何か多種族が住む理由でもあるのだろうか? たしかに大きい都市ではあったけど……。と、そう思った俺は、ルクストリアのページを探してみる。

 

 ――イルシュバーン共和国首都ルクストリア。

 ……っと、これか。なになに、イルシュバーン共和国の首都にして世界最大の都市、か。

 なるほど、そりゃディアーナに人の多い所と言ったら、ここが選ばれたのも納得だ。


 また、イルシュバーン共和国の首都というだけではなく、イルシュバーンやその周辺諸国があるフェルトール大陸のほぼ全域に張り巡らされた『大陸魔煌鉄道網』の大陸南部地域におけるターミナル駅が存在している……と。

 なるほど、つまり大陸各地を行き来する多くの人々に利用されている鉄道網の中枢って事だな。そりゃ自ずと全土から様々な種族が集まってくるだろうなぁ。人口100万というのも納得だ。


 で、都市内には、トラムという小型の列車が走る線路が張り巡らされており、一般的な移動手段として利用されているんだそうだ。って、そういや、これは上から見えたな。


 ……他にも細かい事が色々書いてあるけど、こっちは追々でいいな。

 あ、ついでだし、今いるこのアルミナについても調べて見るか。

 

 ――イルシュバーン共和国アルミナの町

 ふむ……このアルミナという町は、隣接する同名の森で、様々な薬の原材料の大半を得られる事もあり、昔から薬師が多く住まう町として有名らしい。

 ちなみに、何故『大半』かと言うと、さすがにこの森では近年主流となってきた魔煌薬――正式名称は、魔煌精錬水複合反応調整型治療薬というようだ――の原材料の1つである魔石の類までは拾えないから、だそうだ。


 なお、ここから首都ルクストリアまで、鉄道を使えば1時間半程度で着く事もあり、その地理的な利点と、各種原材料を手に入れやすいという生産的な利点から、大半の薬はここで作られ、鉄道を利用してルクストリアまで運ばれていくという。

 そしてルクストリアに運ばれた後は、大陸全土に張り巡らされた鉄道網によって、各地へと流れていくんだとか。……つまり、大陸最大の薬の生産地、といった所か。


 昔はルクストリアまで冒険者や行商人が自分の足や馬車で運んでおり、それらの者たちを目当てとした宿場が街道沿いに多くあったらしいが、魔煌技術の発達によって鉄道が作られ、大陸全土に鉄道網が敷かれ始めると共に、それらは姿を消したそうだ。

 で、今では鉄道を使わずに移動する一部の旅人たちの為に、かつての宿を改装したタダで使える簡易宿泊所が数軒残っているのみだという。まあ、鉄道を使えば1時間半で首都まで着くんだから、そりゃ物流は鉄道がメインになるよな。


 それはそうと、この世界の妙な発展具合は、なるほどな……薄々そんな気はしていたが、やはりこの魔煌技術とやらの影響か。

 なら、次は魔煌技術に関して調べてみるとしよう。

 

 そう考えて、魔煌技術のページを開いてみたが……書いてある事が難しすぎないか……? これ。

 魔煌技術ってのは大雑把に言うと、魔石の持つ魔力を他の物質やエネルギーと反応させたり、魔石自体を素にして作られる様々なタイプの魔煌精錬水を機械や道具と組み合わせたりして利用する、という技術らしいが、解説ページが専門用語だらけでさっぱりわからん。

 ……ま、とりあえず、魔石が生み出すエネルギーを利用した超技術、ってことでいいか。


 なにせこの魔煌技術とやらは、地球の科学技術に匹敵するか一部では上回っているくらいだからなぁ……。もっとも科学技術と違い、技術の根底が『魔石という魔法的な力』であるためなのか、このくらい技術力があれば普通にありそうなものがなかったりもするのだが。


 ちなみに、いわゆる火の玉を敵にぶつけたり、障壁を張ったりといった戦闘用の『魔法』も、戦闘用魔煌回路――一般的には魔煌波生成回路と呼ばれているらしい――を内部に組み込んだタイプの、武器や盾を用いることで誰でも使えるそうだ。

 なんでも『クシフォス・ゼロス=ヴェルンディード』という名の魔煌博士が、特定の魔煌波で魔石の有する魔力を変化させる方法――古の魔道士たちが生み出した魔術式――を魔煌技術で再現した事で一般化されたらしい。

 

 ……他にも色々と詳細に理論やら原理やらが書かれているが、やっぱりよくわからんな……

 とりあえず、なんとなく理解した範囲で付け足すなら、この世界はよくあるファンタジー世界とは違って、人間側には、『魔力』やそれに類する概念は基本的に存在しないらしい。

 基本的に……というのは、極少数だが魔石や魔煌具を用いずとも、魔法を使う事が出来る者がおり、それらの者――『精霊使い』や『魔女』などがその最たる例――は、なんらかの方法で魔力を体内に取り込んでおり、それを必要に応じて使っているんだそうだ。

 

 ちなみに、この世界の魔法は、その多くが戦闘用の物で、直接的な攻撃のみならず、味方を支援したり、強力な防御障壁を展開したりするものなど、まさに多種多様といった感じらしい。

 そして、これらの魔法は、戦闘用魔煌回路が内包する魔力によって、変異、調律された魔煌波が引き起こす『現象』であるらしい。

 ……とまあ、この付け足しはこのくらいか。

 

 うーん……誰でも使えるっていうんなら、俺も使ってみたいぞ。魔法を!


 って、そういえば……回収したままになっているロゼの短剣があったな。

 あれも、戦闘用魔煌回路とやらが組み込まれたタイプの武器っぽいけど……何らかの魔法が使えたりするんだろうか? 

 ……なんとなく気になるな……。よし、明日の朝にでもこっそり試してみよう。

 

 ――魔法といえば、さっき宿場町がどうたらこうたらってところで、ファンタジー世界の定番ともいうべき職業である冒険者が出てきたが……もしかして、この世界にも存在するのか? 

 と、ふとそんな事を思ったので、索引でそれっぽいページを探して開いてみるも、残念なことに冒険者は過去のものであり、今では存在しなくなってしまった職業だと記されていた。


 ただ、かつて存在した冒険者の代わりとなる職業として、討獣士と傭兵という2つの職業が今は存在しているらしい。

 傭兵の方は、まあ文字通りの職業だと思うので別にいいとして……討獣士、か。クライヴに明日来てくれって言われたギルドだな。字面からすると、モンスターを狩る職業といった感じがしなくもないが……どういうものなのだろう?

 よし、ついでというわけではないが、その討獣士とやらについてちょっと詳しく調べてみるとするか。

 

 てなわけで、まずは討獣士とは何か、だが――

 ……害獣や魔獣などの人間の生活を脅かしたり、家畜や作物の生育に悪影響を与える存在を狩る事を生業とする者の総称、だそうだ。

 討獣士となるための試験などは特にないらしく、年齢が16歳以上であれば、登録するだけで誰にでもなることが出来るらしい。


 つまり討獣士ってのは、さっき推測した通り、モンスターを狩る専門職みたいなもんだってことだな。

 魔獣、および上位存在の霊獣が、消滅する際に放出、霧散する魔瘴の一部が、霧散せずに大気中の魔煌波と結合し、凝固した塊――魔石を売るだけでも結構な稼ぎになるらしいが、基本的には、多方面から来るさまざまな依頼をこなしていくようだ。

 

 って、ああ……魔獣が消滅した後に、色付きの石片が残されていたのは、そういうわけだったのか。

 まあ、魔石に関しては、魔獣が残していく物以外にも、魔煌波が宝石や鉱物などと結合して生成されるものもあるらしいけど。

 で、しかも、そういった宝石や鉱物が元となっている魔石の方が、高純度で性能に優れているようだ。


 なお、害獣と、霊獣よりも上位の存在だと云われている――というよりも、伝説上の生き物に近い扱いである幻獣は、魔石を残したりはしないらしい。うーん……害獣はともかく、幻獣なんて出会う事あるんだろうか……?

 

 それはさておき……っと。次はギルドだな。

 えーっと……討獣士ギルドというのは、各方面から来るさまざまな依頼の依頼主と、討獣士との間でトラブルが起きないよう、仲介役を担う組織らしい。


 討獣士は、ギルドに貼り出されている依頼の中から受けたいものを選び、手続きをしたら現地へと向かう。そして、依頼内容を達成したらギルドへ戻って報酬を受け取る……という流れであることを考えると、よくある冒険者ギルドの類に似ているな。

 ま、討獣士の前身は冒険者だし、似ていてもおかしくはないか。


 また、それが理由なのか、害獣や魔獣を討伐する依頼の他にも、結界線によって守護されていない農地や放牧地などを守護する、鉄道の警備や街道の保守点検をする、特定の害獣から取れる素材や、危険な害獣が多く出没する地域でしか採取出来ない素材を、必要としている者の代わりに手に入れてくる、といったような依頼もあるらしい。

 ここまで来ると、冒険者ギルドとあまり変わらないようにも感じるが、そういった依頼は、それなりに信頼のある討獣士でないと、受注出来ないようになっているそうだ。


 ちなみに、討獣士同士の集団――パーティを結成している場合は、パーティのリーダーが信頼に足る人物であれば、力不足なパーティメンバーがいても問題ないらしい。

 そのパーティだが、メンバーは多くても7~8人程度で、中にはパーティを結成せずに、1人で活動する者もいるという感じで、基本大所帯にはならないそうだ。

 まあ、例外的に他のパーティと共闘する場合なんかは、一時的に大所帯となることもあるようだけど、それほどの事態になる事は滅多にないみたいだ。


 そんなわけなので、人間同士の争いや大規模な護衛、防衛などを主に請け負う傭兵とは、ちょうど良い具合に住み分けが出来ているという。

 というのも、どうやらこの世界の傭兵は、最低でも10人以上、最大規模の物になると100人を超えるような大所帯――言ってしまえば傭兵団だな――で活動するのが当然であるらしく、単独行動、もしくは少数でチームを組む傭兵というのは存在していないそうだ。

 

 ……っと、こんなところか。

 登録すれば、誰でも討獣士になれるのであれば、明日、ギルドに行くついでに、登録だけしておいてもいいかもしれないな。


 さて……そろそろ眠くなってきたので、『この世界について色々書かれている本』を読むのは一旦ここまでにしておこう。


 しかし、今日は色々とあったもんだ。本当に日常がガラッと変わったというかなんというか……って、そういえば、それまでの日常が、ガラッと変わったという点では、あの日もそうだったな――

 

次の話は、第0話よりも前の話になります。

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