第9話 『革命の始まり』
12歳となったリョーマは今や年間売上高白金貨3万枚の大商業組合レボリューションの代表としてザベート王に謁見の申し出に来ていた。「すぐに会う!」と言った王は大広間の煌びやかな玉座に太々しく腰を掛けていた。分厚い扉が開かれ大広間に通されるリョーマ!果たして何を語るのか!?
「余が第19代 ザベート・リ・クラックスである!」
「私は男爵位のセントランス・リョーマで御座います! 此度は私の願いをお聞き下さり謁見ありがとうございます」
「……何用じゃ? セントランスよ」
「本日私がお伺いしましたのは…」
「……………」
「陛下が今のこの国をどうお思いか? お聞きしたく参上致しました」
「何ィ!?」
「陛下… 私はこの国を… この国に住まう国民を憂いているのです! どうにかしたい!! このままではこの国は滅ぶか、近い将来クロノスト帝国に飲み込まれてしまうのではないかと心配なのです」
「……………」
「どうかお考えをお聞かせくださいませ」
「ふんッ 我が国は強い!!帝国との戦争にも耐え民の頑張りで復興もしておる…この国は大丈夫だ!」
「……………そう思いますか?」
「子供の貴様が心配するな————ッ!」
「そうですか……強いですか………」
「貴様ぁ〜 何が言いたい?」
「私は正直! もうダメだと思いますッ!!!」
「何をぉぉ!?」
「陛下は我が国の貴族の暮らしぶりを知っていますか? また平民の現状を知っておられますか!?」
「知らんッ!! 知る必要は無いッ」
「なんとッ!? ではお教えしましょう… 貴族は戦時中も戦後も戦前と変わらぬ贅沢で優雅な暮らしをしております! 変わって平民はその日の食事にも困り果て…子供ですら飢えたり不衛生な暮らしをしておりました!まさに奴隷のそれと同じ暮らしぶりです… お分かりですか!? 陛下の民は強くありません! 満足な稼ぎも出来ず戦争の傷が今でも癒えずむしろ死にかけているッ!! この状況で復興など出来ているはずもない…」
「貴様ぁぁぁ………」
「陛下… 私を子供だと甘く見ていませんか?」
「無礼者めッ!! バハムよ玄竜隊を呼べッ!!!」
「ハァ………こんな子供に国王直属最強兵をお出しになられますか」
「黙れ無礼者ッ!! 貴様は今すぐ処刑じゃ!!」
「残念です…… いいでしょう! 陛下のとっておきの玄竜隊とお相手致しましょう!!」
コンコンッ……「陛下! 玄竜隊全6名参上致しました」
「入れッ!!」
全く話にならんかった…儂の講話交渉術もまだまだぜよ。しかしコイツらが噂の最強兵様達か…… どれどれ?〝鑑定眼ッ〟
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名前:シュナイツ・ブロッサム
性別:男
年齢:35歳
レベル:53
二つ名:爆炎
称号:焔神の加護
職業:玄竜隊隊長
能力:火魔法Lv58 剣術Lv34
特殊能力:炎魔法耐性Lv45
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名前:サンペール・ナルトゥーン
性別:男
年齢:31歳
レベル:48
二つ名:豪水
称号:水神の加護
職業:玄竜隊隊員
能力:水魔法Lv50 剣術Lv29
特殊能力:水魔法耐性Lv43
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名前:リリー・ニ・クール
性別:男
年齢:29歳
レベル:49
二つ名:土拳
称号:土神の加護
職業:玄竜隊隊員
能力:土魔法Lv56 体術Lv50
特殊能力:土魔法耐性Lv49
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ってオイオイッ…どいつもコイツも弱過ぎじゃ! これでよく最強を名乗れるもんぜよ。まぁ…二つ名だけは立派じゃが……。
「処刑じゃッ!! そこのガキを今すぐ殺せッ」
「仕方ない…… 悪いがあまり戦闘は得意じゃないんで手加減出来ません! ですので…死にたい奴だけかかって来い!」
「ふんッ! 馬鹿なガキだ」
「隊長! 俺にやらせて下さい」
「リリー 身の程知らずの子供に我々の力を思い知らせてやれッ」
儂はこの2年新スキル取得やレベルアップを毎日行ってきた…今では人間ではそこそこの達人レベルじゃ! まぁ実践は初めてじゃが……
「土の精よ 我が拳となり 正義の巨拳にて悪を滅せよ」
「……土魔法耐性発動 ……身体強化 ……速度上昇」
「死ねガキィッ!!〝土巨大拳ッ!〟」
壁から現れた土の巨大な拳が二つ!リョーマに襲い掛かりドスンッと大広間に反響する様に響き渡りリョーマを潰してしまった!
「ハァーハッハッハッ!! どうだ我が最強の玄竜隊の力を思い知ったかぁぁぁッ!!!」
ミシッ…
「—————ッ!! 何だッ?」
ミシミシッ…… ズドォォォォンッッ!!!
「なッッッ!!! 馬鹿なッ!」
「やっぱり……この程度ですよねぇ〜」
「なんなんだこのガキッ!!?」
「面倒なんで… 少し本気でいきます!!」
丸腰の儂は身体強化を最大限まで引き上げ只の拳をオリハルコン級の強度にし、拳速を上げる為速度上昇スキルでスピードを高め…ぶん殴った! それはまさに鬼神の如き威力ッ!! 玄竜隊の装備していたミスリル製の防具は煎餅の様に簡単に粉砕しリリーはそのまま壁へ激突。何が起こったのか理解出来ないでいる残りの玄竜隊の元へ高速で移動した儂は其奴らも思いっ切り殴り倒した!
「これは…一体どうなっとるんじゃ…… 余は悪い夢でも見ておるのか?」
「陛下…」
ビクッとする国王に儂は威圧をかけた口調で退位を進言!するとアッサリこれを受け入れた。最強と自負していた玄竜隊を子供が瞬殺した事実を受け止めきれなかったのか… あるいは日に日に疲弊する国を立て直せなかった自分を責めてなのかは分からないがザベート・リ・クラックス国王の精神は壊れた。
こうして儂は王族を更迭し王位継承権並びに王族廃止の制約を認めさせ、その旨を国民に報せた。まずは予定通り第一段階を成功させた儂は、すぐに第二段階へと移りトライズンのクライシス殿下の方法を真似して国民の中から能力のある者達を集めた。
そしてこの国を救いたいと集まってくれた者達と共に憲法を立案し制定ッ!この国は生まれ変わり、新たな国づくりの歩みを踏み出したのだったーー