第1話 『坂本龍馬』
江戸時代末期は幕末の頃、慶応3年11月15日に坂本龍馬は中岡慎太郎と付き人の山田藤吉と共に京都河原町近江屋井口新助邸において殺害された———。
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ーーーーーーー〝 ここは………何処ぜよ 〟
目覚めた龍馬は初めて見る天井を目にしながら辺りを見回す…そこには見慣れない家具が並んでおり、気持ちの良い微風が窓から入っていた。
〝 儂は……確か慎太郎さんと……… ハッ!! 〟
〝 ——————ッ!! かっ、身体が動かぬ… 〟
ジタバタと身体を動かそうとする龍馬であったが思うように動かず困惑ッ! 言葉も出せずに一生懸命 踠いていた。
そんな中ガチャッ…と扉が開く音が龍馬に聞こえ、ふと目をやるとそこには見慣れない男女が見下ろす様に龍馬に顔を近づけてきた。
〝 何じゃ!? 誰じゃお主らッ!!! 〟
龍馬は一生懸命に語りかけるがやはり声にならない。
「どうしたの? お腹空いたの?」
見慣れない女が優しく龍馬に語りかけてくるが言葉を返せない龍馬はもどかしい顔を女に向けた。
「あらあら どうしたのかしら?」
〝 腹など空いちょらん! 儂を自由にするがぜよ 〟
「おしめが濡れているのかしら?」
〝 なッ!! おしめ……じゃとぉぉッ!? 〟
「どれどれ?」
女の側に居た男が龍馬を軽々と持ち上げる。
〝 ————————————ッッッ!!!! 〟
この瞬間龍馬は悟った…
自分が何故か赤子になっている事に————ッ!!
〝 何故だか分からんが儂は赤子になっちょる するとこの二人が儂の親……だが儂は坂本龍馬ッ!! その記憶は確かにあるッ! 分からん…何がどうなっちょるのか サッパリ分からん 〟
「おしめは大丈夫みたいだな」
「じゃあ眠いのかしらね」
「そうかもな じゃあパパはお仕事に行って来るからねぇ〜 良い子にしてるだぞぉ〜」
「あなた いってらっしゃい」
「あぁ 行ってきます」
〝パパ…とは父という事か? あの金髪異人が父上…するとこちらの美人が……儂の母上か!?〟
「さぁ お寝んねしましょうねぇ〜」
暖かい手に抱かれ優しい声で子守唄を唄われた龍馬は、あっという間に意識が薄れていった————。
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ーーーーー〝 ん……… ここは……… 〟
「見事なまでに真っ白な所ぜよ…… ぬおッ!声が出せる それに手も… いや身体も戻っとる」
『どうも坂本龍馬さん』
「———————ッッ!!! おまん誰じゃッ」
『これはこれは失礼しました 私は神…転生神キュラソウと申します』
「かみ? かみ…っちゅうがはアレか? 西洋人が崇めちょる神様ってやつか?」
『私は貴方の世界の神ではなく異世界の神なのでその西洋人というのは存じ上げませんが…多分同じ様なものです』
「異世界? 異国の事か?」
『んーよく理解出来ていない様子なのでご説明致しましょう』
「あぁ 説明してつかぁさい神様」
『まずここは貴方が生きていた世界ではありません』
「なんとッ 日本じゃないがか!!!」
『日本でも無ければ地球でもありません 貴方が新たに産まれ落ちた世界は魔力で構築された魔法世界のキャセインと言う世界です』
「きゃ…せいん? 魔法? まるで御伽噺の世界じゃな…… で?生まれ変わるなら何故儂は前世の記憶をまだ持っちゅうままなんじゃ?」
『ふふふっ それは貴方は日本で革命を起こした人物だからですよ 坂本龍馬さん』
「革命? 神様が言っちゅうがは儂が幕府にさせた大政奉還の事か?」
『そうです 貴方の様な方に是非私の創り出したキャセインに革命をもたらして頂きたいと思いましてこちらの世界へと転生させた次第です』
「簡単に言われても儂は無我夢中で成しただけじゃし… こちらの世界でも同じ様に革命を起こせるとは限らんぜよ それに神様が嘆く程この世界は腐っちゅうがか?」
『いえ何万年単位で全体的に見れば然程変わらないのですが… いつの時代になっても人間の中には愚かな者も多く…その数だけ嘆き虐げられる者もいます』
「……………」
『まぁ放っておいてもいいのですが ある時この世界に少し刺激を加えてみるとどうなるのか?という疑問をふと持ちましてね そんな中貴方の噂を耳にした私はコレだッ!と思い貴方をお喚びしたのです』
「儂が…刺激……」
『えぇ 坂本龍馬という刺激です!』
「…………………」
『まぁそんな気負わなくていいですよ 折角ですから新たな異世界ライフを楽しまれるのも良しッ! この世界を直に見て革命を起こすも良しッ! 決めるのは貴方です』
「さっき魔力とか魔法言っとったがそれは一体何ぜよ?」
『このキャセインは土や岩、草木や水、火や光…はたまた空気すら魔粒子というもので構築されておりその魔粒子が集まったものを魔力と呼びます 魔法はその魔力を使用して具現化する方法みたいなものですね』
「……難しくて儂には理解出来んぜよ」
『まぁこれから少しづつ勉強なさって下さい それから最後にもうひとつ 貴方は転生者ですので私の加護と能力をプレゼント致します』
「能力?」
『ですが能力が発現するのは貴方が10歳を迎えた日からになりますので、それまでは体内の魔力を感じて操作出来るようにされるとスムーズに能力が使えますよ♪ まぁユニークはその限りではありませんが…ふふふっ』
「なんだか分からんが… 儂も腹をくくるぜよ」
『あっ! あと生前の剣の腕前も引き継いでおくので心配なさらないで下さいね♪ では坂本龍馬さん 新たな人生をお楽しみ下さい—————』
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ーーパッと目覚めた儂はまた声が出せぬ赤子に戻り
天井を見上げていた——————。
〝 儂は本来死んだ身… ならば折角賜わったこの命 このキャセインで精一杯楽しむぜよッ!! 〟
こうして儂の異世界人生が幕を開けたーーー
『日本の偉人の一人であり現在の日本を築くキッカケを作った男…坂本龍馬……か さぁどんな人生を送るのでしょうねぇ〜』
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名前:セントランス・リョーマ
性別:男
年齢:0歳2ヶ月
レベル:1
前世:坂本龍馬
称号:転生神の加護
能力:只今条件未達成の為使えるスキルはありません。
特殊能力:鑑定眼Lv1