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くらいくらい  作者: 本間えるは
8/11

 七時半になると、花火が上がる。見やすい場所には人が集まっているけど、僕らはそこには行かない。いつも遊んでいる公園。そこは花火がよく見えるのに、人の来ない、僕らだけの特等席だった。

 早く行かないと、花火が始まっちゃう!

 屋台ではしゃぎ過ぎて、花火の時間に遅れそうになる。駆け足になる。それも毎年のこと。

 だけど、その年は違った。

 ぷつん、と音を立てて僕のサンダルの紐が切れた。このまま走ったら、脱げてしまいそう。

「ユリちゃん、これ持って先に行ってて」

「うん。分かった」

 金魚の入った袋を受け取って、ユリちゃんは駆けていく。僕はその場にしゃがみ込んだ。紐はあろうことか真ん中で千切れてしまっている。結ぼうとしてみるが、届かない。僕はしばらく苦戦した挙句、諦めることにした。紐の切れたサンダルともう片方を脱いで、それぞれ手に持つ。

 どん、どん、という凄まじい音がする。花火が始まったみたいだ。ユリちゃんの待つ公園に向かって、僕は走り出した。

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