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くらいくらい  作者: 本間えるは
10/11

10

 花火の合間。乾いた音が響いた。

 足元を見る。小枝を踏んでいた。

 視線を感じて顔を上げると、ユリちゃんが僕をじっと見つめていた。

「見ないでって言ったのに」

 決して届かないはずなのに、はっきりと声が聞こえた。ユリちゃんは悲しそうな目で。

 一筋、涙を溢した。瞬間、花火がその姿を赤く染め上げる。

 僕は何かを言いかけて。言葉が口から出る前に、景色がぐにゃり、と歪み始めた。

 鮮やかな色彩の中。

 ユリちゃんはとろり、溶けて、消えた。

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