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剣と魔法の世界に生まれた。ただし単行本200巻越えた辺りの世界にレベル1で
記憶を持って別の世界に行けば、小説の主人公のような活躍ができる――。そんな風に考えていた時期が、俺にもありました。
でも、それは自分の知識が役に立ったり、何か特殊な力があったり、そういう前提が必要で。
日常的に天変地異が起きて、それを抑えられる人間が沢山いる世界では、前世の記憶なんて1つも役に立たなかった。むしろ、インフレし過ぎた世界に思考が付いていけずに邪魔だったようにすら思える。
例えば、所詮スライムだと思っていた魔物が数秒で何百倍にも増殖して圧死しかけたり、子犬のような魔物に噛まれたら右足を失った上に毒で死にかけたり。
そんな強敵だと思った魔物達が、雑魚も雑魚だったり。
さすが命さえあればどんな傷でも一瞬で治療できる魔術が一般的に普及している世界は違うなぁと、子供の頃の俺は思考停止していた。
バトル漫画終盤みたいなインフレを迎えてしまった世界ウィークレス。
この世界ではなによりもまず、強さが優先される。そうじゃないと、すぐに死んでしまうのだから。