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Execute.120:STRIKE ENFORCER./不夜の街、駆ける深紅

 ――――数日後。

 夜更けのロス・アンジェルス市。夜の(とばり)が降りた街中を強烈なヘッドライトの閃光で切り裂いて、流線形を描く一台のスポーツカーが爆音とともに突っ走っていた。

 2014年式ダッジ・ヴァイパーGTS。真っ赤なボディの中央に黒い二本のレーシング・ストライプを走らせるそのハイパワー・マシーンのコクピット・シートに収まっているのは、やはり戒斗だった。

 このマシーンが、クララが移動用にと用意した代物だったのだ。SRTブランドを頭に冠されていた時代のモノらしく、スマートキーにもダッジの名でなくSRTのロゴが記されていたのを覚えている。六五〇馬力近いパワーを弾き出す、八・四リッターのOHV形式・V型十気筒の大排気量エンジン。そして六速マニュアル・ギアボックスが組み合わされたコイツは、まさにアメリカらしい趣の一台だ。

 そんな化け物じみたマシーンを駆り、戒斗が向かう先。そんなものはたった一つしかなく、やはりというべきか目的地はクララのリストにあった内の一つ、クリムゾン・クロウの残党が拠点としている場所だった。

 L.A近郊にある拠点はクララ曰く、幾つかあるらしいが。ひとまず今日のところの戒斗が向かうことにしたのは、L.Aの南東部にある街、アナハイムの一角にあるという大きな倉庫だ。

 ちょっとした事務所もあるらしいその倉庫が、どうやら浅倉率いるクリムゾン・クロウ残党の……謂わば、武器庫のような場所らしい。といっても販売用の武器を保管しておく場所で、要は売り物の倉庫というワケだ。

 他にも適当な事務所やらが、もっと近いL.A市内に色々とあったのだが。しかし戒斗が敢えて、少しばかり遠いアナハイムの倉庫に眼を付けた理由があった。

(顧客情報。それを知ることが出来れば、奴らへ近づく手掛かりになる。それに、追い詰める一手にも……)

 ――――顧客情報。

 或いは、武器弾薬や兵員の取引、その詳細。とにかくそれらの情報を手に入れることが出来れば、浅倉や暁斗へ近づく足掛かりにすることが出来る。その上、冴子を通じてインターポールにでも情報をタレ込めば、確実に浅倉たちの勢いを削ぐ致命的な一手となり得るのだ。

 だから、戒斗は他の小規模な事務所には目もくれず、敢えてそちらを最初のターゲットとした。とにかく、一撃で可能な限り浅倉たちクリムゾン・クロウ残党にダメージを与える必要があったのだ。

「武器も、情報も。後ろ盾も豊富。戦う上で、これ程やりやすいことはない」

 今の戒斗の格好は、ジーンズにスニーカー風なタクティカル・ブーツと、そして上は黒いポロシャツに袖を折ったジャケットといった具合だった。軽装だが、街中でコトを構えるにはこれで十分だ。手には滑り止め用途で、親指・人差し指・中指のみを指ぬきにした黒いグローブを嵌めている。

 武器の方も色々と持ってきていて、右腰には定番のグロック19自動拳銃、そして後ろ腰には予備として、小柄な.357マグナム・リヴォルヴァーのキンバー・K6S拳銃を携行している。ステンレスの小柄なボディだが、このサイズで.357マグナム弾を六発収められるのは脅威だ。

 どちらも腰回りにホルスターを付けて携行しているが、後者のキンバー・K6Sに関しては左手で抜けるような方向に調整してある。元来左利きだということもあってか、戒斗は左手で拳銃を扱う場合に限っては、リヴォルヴァー拳銃を好むのだ。グロック19と弾倉を共有できるサブ・コンパクトサイズの自動拳銃、グロック26を敢えてチョイスしなかった辺りは、この辺りの理由が大きい。

 後は格闘戦用のナイフとして、SOGのM37Nコンバット・ナイフを左腰に吊るし。加えてヴァイパーのトランクには、メインで使う獲物としてFNハースタル社製の大口径自動ライフル・SCAR-Hを放り込んであった。

 NATO規格7.62mm×51の大口径ライフル弾を使う自動ライフルだが、CQC仕様の為に一三インチ寸法の短い銃身だから、閉所でも取り回しが比較的楽だ。砂色をしたライフルにはEOTechのEXPS-3ホロサイト照準器と、後はハンドガードにマグプル製のアングル・フォアグリップを取り付けてある。銃身にもサイレンサーを噛ませてあるが、減音効果は映画のイメージほどは得られないだろう。だが大口径ライフル弾のやかましい発砲音をある程度静かに出来るのならば、価値はある。

「……時間との勝負だ、とにかく早めにケリを付けて引き上げる」

 そうして戒斗が独り言を呟いている間にも、既に彼の駆る真っ赤なヴァイパーGTSはアナハイム市内に到達していて。目的の倉庫まで、あと十数分少々といった距離にまで迫っていた…………。

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