雷雨な彼女
「起きた。」
俺はモゾモゾ体を動かし背伸びをした。
「うぁーーー」「ぬぁーーーー」
と、声を荒げながらだるそうにカーテンを開いた。
外は雷雨だ。
雨降ってんなー...うぉ光った。
ぼーっと薄目でしばらく外を見た。
何故か男子というものは台風や雷となるとテンションが無性に上がってしまう。
よく中学の頃に「よっしゃぁ!皆外出るぞ!」
「ふぉぉぉ!気持ちいいぃぃい!!!」
とか言って走り回ってたなぁ。
「自然に抗う俺最強でイケメン!」
とかも思ってたしな。
今は雨の日外出る事はおろか、晴れの日も出ない。俺も弱くなったな。
勝手にテンションを下げ、椅子に座りガチャガチャとヘッドセットをつけゲーム機の電源をつけた。
おっメンバー皆集まってんじゃん。
俺の新しいコントローラーで無双するぞ〜
ワクワクしながら、元気良くメンバーに声をかけた。
「うぃーおつかれさまでーす。コントローラ壊れてたんで2日ぶりになりましたわー」
途端、ノメさん達がクスクスと笑いを立て
ユウナが声を荒らげた。
「タコもコントローラ壊れてたの!?キモイ!
何でタイミング一緒なのよ...なんか不吉な事が起きそう...」
のっけから暴言の嵐だなぁー
まぁ俺は大人な対応で、受け流そう。
「ユウナ。普通に考えてこれは偶然だろ?
そんなに突っかかられると、俺に気があるのかって疑ってしまうぞ。」
俺は満足げに「決まった」と画面越しにポーズを決めたが、次の瞬間怒号が飛んできた。
「はぁぁぁ??あんたさー勘違いにも程があるんだけど。キモイキモイ。最近ちょっと絡みが多くなったからって調子に乗ってんなよ。死ね。」
最後の死ねとか、マジトーンやんけ...
コイツの親ヤクザかなんかなの?
俺が言い返そうとしたらフニさんが「まぁまぁ」
と割って入ってきてくれた。
「タコもユウナも仲がいいのはいいけど、今日皆集まった理由シノノメに聞けないから少し我慢!」
フニさんがそー言うとユウナは
「ゴメンフニさん!エヘヘー」と言いすぐに黙った。
我慢ってなんだよ...俺達が好きで言い争ってる見たいじゃん。
まぁいいや
フニさんの言ってた理由ってなんだろ?
俺はノメさんの発言に耳を傾けた。
「えー、この度皆さんにお集まりしていただいた理由は新メンバーが加入するためここで1度顔合わせしようということでお呼びしました!」
俺呼ばれてねぇ...勝手に入って来る事を予想して呼ばなかったんだよね?そうだよねきっと...
俺は少し肩を落としつつ、低い声で質問した。
「その新メンバーって誰なんすか?さっさと呼んで自己紹介させましょーぜ。」
「OKOK。それではご登場してもらいましょう!」
手を叩きながら、ノメさんは言った。
さっきから何か喋り方気取ってね?
俺はノメさんに心でツッコミを入れて「新メンバー」が登場するのをまった。
ピロンッ♪
パーティチャットに入ってくる音がした瞬間
少しだけ幼くテンションの高い声がヘッドセットに響いた。
「どうもぉー!この度皆さんのクランに加入させていただくアユリでーす!アユって呼んでくださいね♪」
うぁーキャラ濃いー。これはまた強いな奴加入したなー。
俺は周りの反応を伺った。
ノメさんなんでずっと拍手してんだよ。
ユウナとか舌打ちしてんじゃん...
これはノメさん完全ミスチョイスか、?いや
もしかしてノメさんこーゆーのがタイプなのか?
とはいえこのまま黙っておくのもあれだ。
誰も喋らないなら俺が喋るか。
「アユリさんは歳っていくつぐらいなんですか?」
よし、このまま好きな食べ物とか何のゲームが好きなのか聞こう。俺ってコミュ力高い!
アユリは俺の質問に、待ってました!と言わんばかりに笑いながら答えた。
「アユは今年で16でーす!高校生1年生ですね...あ、ちなみに好きな食べ物とかは甘い物でーす!それと好きなゲームの系統はFPSとアクションRPGでーすっ!今質問してくれた方はなんて呼んだらいいですかね??」
1を聞いたら10で返されてしまった。
クソッなんで俺が考えてた質問全部潰してくるんだよ!もう話す話題がない...コミュ力低いな俺!
しっかし、このアユリって子すげぇな。同い歳なのになんと言うかキャピキャピしすぎっていうか
ユウナやアカリとは大違いだな。
簡単に男が好きになりそう...
俺はそんな簡単に好きにならんがな!
俺は無駄な自信を持って質問に答えた。
「あー俺の事はタコって呼んでよ。アユリちゃん?同い歳だから仲良くできそうだね。よろしく!」
「わぁ〜!タコって可愛いあだ名ですねぇ
それに声もイケボだし!こちらこそ仲良くしましょうね♪」
俺は固まった。外の雷雨が家に落ちて感電してしまったのかと思うほどに衝撃が走った。
可愛い?タコが?今まで悪口にしか使われなかったあだ名が可愛いだと...?
いやいやそんなことよりだっ!
イケボって言わなかったか今!?
俺は疑うようにしてアユリに問い詰めた。
「あ、あのさ、今イケボって聞こえたんだけど
ホントにいってんの?」
するとアユリは間髪入れずに答えた。
「はいっ!物凄く素敵な声ですね!
一番好きな声です!!!」
バリッバリバリィ!
外は激しい雷が音をあげた。
それと同時に俺はアユリに心を奪われてしまった。
読んでくださりありがとうございます!
ただ今試験で忙しく 更新頻度が落ちてます。
すいません(〃・д・) -д-))ペコリン