ソロユウナ2
ユウナは内心とは真逆の笑顔で迷子の子に優しくこう言った。
「ねぇね、僕の名前おしえてくれるか?」
完璧な笑顔、声のトーンで喋りかけたつもりだが
一向に泣き止む気配がない。
何で私がこんな事しないといけないのよ!
周りの大人は無視してスタスタ歩いてるくせに。
それでも大人なのかよ、なっさけねぇ大人だなぁぁ!
ダメだ、こんな事を心の中で思い続けたら
いずれ顔に出てしまう。笑顔だ。スマイルを作るんだ...
だが迷子になっているためかパニックを起こしていてこちらも見てくれない。
ユウナは何かないかとバックの中をワサワサと漁った。
飴玉しかない...こんなもので今どきの小学生は泣き止むのか?
悩みながらも、他に術が無いので飴玉を上げてみた。
すると子供は、
「お姉ちゃんありがとーー!優しい!
飴美味しいよー」
こんな事で泣き止むのかよ...案外ちょろいもんだな。タコとかも飴玉で泣き止むのかな...?
そんな事よりも早く両親探さないと!
ユウナはブルブルと頭をふり訪ねた。
「ねっ君の名前は?何歳なの?両親は?」
怒涛の質問攻めに驚いてるのか、キョトンとした表情で答えた。
「僕の名前は、とみのすけ。歳は7歳!
お母さんは...いなくなっちゃった。」
先程まで泣いていたのに、テンション高くなってんな。飴玉強い...
ユウナは子供の手を取り歩き出した。
「そっか。とみのすけ君ね。言いにくいからトミスケ君でいいかな?」
「うん!」
トミスケ君は小さな両手で私の手をギュッと握ってきた。
よしっ!懐いたぞ。私にかかればこんな餓鬼イチコロよ!!さっさと親の元に帰さなければ。
ユウナはゆっくりと歩きトミスケに話しかける。
「今からお母さんを探すけどどんな人か分かる?服の色とか髪型教えてもらえると嬉しいなっ」
するとトミスケは口を伸ばし「うーん」と呟き
こう答えた。
「髪型はお姉ちゃんと一緒で長いよ〜。服の色は白かなぁ...身長もお姉ちゃんと同じくらい!他は分かんない!」
トミスケは「テへっ」という感じで笑っている。
テへっ、じゃねぇよ。もっと思い出せやぁあ。
クソガキがぁぁぁあ。
ダメよ!相手は小学生よユウナ!怒っちゃダメッ!
修羅の顔をした自分と仏の顔したユウナが脳内で争っている。
そんな事よりも早く探さないと。
急ぎ足で辺りを見回すがその様な母親らしき姿はない。迷子センターに連れていこうかな...。
と、その瞬間
「うわっっ!」
ストーンと音をあげユウナは足を突っかえ手を地面に着いて四つん這いの状態になってしまった。
「痛っつ〜〜」
何でこんな目に合うのよ…
そう思い立ち上がろうとした時、
バサッッッ!
何がめくり上がる音がした。
太股の間に風が入り込む。
「お姉ちゃんのパンツ水色だぁぁぁぁあ!!
キャハハハハッ」
一瞬何が起こったか分からなかった。
が。股がスースーするのを感じ理解した。
この糞ガキ...私のスカートをめくった...?
僅かな硬直の後、周りの視線が集まっている事を察知し急いで立ち上がりスカートを戻した。
周りを見ると、男子やオッサン共が私を見るのをやめて、そそくさとその場を去っていく。
「おい...」
押し殺す声でトミスケに喋りかけた。
するとトミスケは、
「お姉ちゃん、パンツ派手だね〜!初めてあんなパンツ見たよ〜!」
大きく無邪気な声で笑いながら見てきた。
しかしユウナは完全に修羅と化し、髪を押さえつけトミスケの顔をこちらへ向けた。
「ねぇ?トミスケ君?女の子にあんな事したらダメだってしつけられて無いのかなぁぁ?
今回は多めに見てあげるけど次は...2度と笑えないようにするからねぇ?」
ユウナはうっすらと笑みを浮かべトミスケの顔を見た。
すると、トミスケは強ばっていた。
いけないっ!また泣いてしまう。お願い仏の私に戻って!
頭を離し、優しい表情に戻した。
トミスケは小声でこう言った。
「お姉ちゃん...鬼見たい顔だね...怖いっ」
......誰が鬼だとぉぉぉぉぉぉおお!?
ユウナは心の中で発狂したが、何も無かったように手を取り迷子センターへと歩き始めた。
自然と手を握る力は強くなっていた。
ーーーーーー「ホントに息子が迷惑かけてスイマセンっ!」
トミスケ君の、母親はそういい深々と頭を下げた。
えぇ。この子は大変迷惑かけましたよ...
などと言えるはずもなく「大丈夫ですよ、」
と笑顔で答えた。
流石よユウナ!貴方はまさしく仏だわ!
けっ、そんなガキほっといてさっさと帰りゃー良かったのによっ。
修羅と仏がまた脳内でいい争ってるが、ひとまず
はこれでいい。
トミスケの母親は
「コラっあなたも謝りなさい!」と、トミスケをはたいてる。
「ありがとう。お姉ちゃん!」
トミスケ君はスカートをめくった時と同じく
無邪気な顔でそう言った。
まぁいいっか。無事送れたし...
ユウナはしゃがんでトミスケと目線を合わせた。
「それじゃ、バイバイ。」
私はそっと手を振り、トミスケ君の母親に軽く会釈をしてその場をさった。
「疲れたーーー」
ユウナは自転車を漕ぎながら、時計見た。
もう夕方の5時だ。
辺りは沢山の帰宅中の学生がいる。
ユウナはその学生を横目に自転車を少し早く漕いだ。
「ホントだったら、私も今頃...」
少しだけ、ほんの少しだけ、下校している自分の姿を想像したが、スグに考えるのをやめ
顔をうつむきがちにし人通りの少ない道を通った。
家に到着したユウナは顔をあげ自転車を止め家に入った。
まだ家には誰もいないな。
両親が帰宅してない事を確認し自分の部屋に戻った。
買い物に行っただけなのに凄く疲れたなぁ。
あの糞ガキのせいだ...
あの時スカートを、見てきた男共の表情を思い出すと無性に腹が立ってきた。
アイツら皆キモイからタコだ!気持ち悪すぎてホントに無理
タコ死ねっ!
そう思い携帯を取り出しタコに暴言メールを送った。
よしっ!これでスッキリした!
ユウナはベットに倒れ込み先程買った漫画を
読み始めた。
その時の彼女の表情はとても充実しキラキラしていた。
読んでくださりありがとうございます。
ユウナ可愛すぎてやばいです
パンツ水色って...
俺も小学生ならわざと迷子になってパンツ見たいわ。