結月君は愛されない
今回、初めてこのような場所に投稿させていただきます。
不慣れなことが多々あり、読みにくい箇所がえるやもしれませんが、なんとしてでも完結まで続けるので、良かったら読んでいって下さい。
両親が死んだ。僕が13歳の時だ。
中学に入ったばかりで緊張しながらも授業を受けていた時、学校に連絡があった。
あの時のことは未だに鮮明に覚えている。
駆けつけた病院で、2人はただ眠っているようにみえた。2人の顔に笑みさえ浮かんでいた程に。
原因は未だに不明。
ただひっそりと、静かに死んでいた。
ここから、僕の地獄は始まった。
◆
「お父様、それでは私は下に降りますので」
「............................」
「最低限の仕事はこなしてくださいね?わかりましたか?」
今日、私はここを去る。
恐らくこれが父との最期の対話だろう。
ならば、ほんの少しでいいから返事をして欲しい。
そんな思いを込めて、私は父の目を見た。
|(ああ、だめだ、この父親は屑だ)
その目にはもはや何も見えていない。私を娘とすら認識していない。父は...彼は過去を観ているのだろう。
あの最愛の人を思い出して。
|(......ああ、腹立たしい)
周りから見れば、今の父はかわいそうな人に見えるのだろう。
けれど私は知っている。
父は被害者などでは決してなく。
ただただ、1人の人間の運命を歪めた、駄神なのだと。
◆
「おい富高、お前クビな?」
「.....は?」
何を言っているのだコイツは。この俺が?クビ?
俺はこのスーパーでのバイトで、常に完璧だったはずだ。
仕事の覚えは早く、言われたことはしゅんじにこなす。そんな非の打ち所のない働きをしてきた。なのに...
「なぜです?僕はミスもせず、仕事は完璧にこなしていたはずですが?人件費削減だとしても、僕よりクビにすべき人はいるでしょう!?」
実際、同じシフトの山代は何度もミスをしている。クビにするとしたらまずそっちだろう。
「それなんだが、お前以外のやつに聞いてみたんだ、なんでそんなにミスするんだと、そしたら...」
「そしたら?そしたらなんですか?」
「......お前が邪魔なんだと。お前みたいな奴が居ることがストレスになっているそうだ」
「...............」
ああ
「お前は確かに完璧だ。だがな、だからといって、店内の和を乱す奴は要らないんだ。分かるか?」
そうか、やっぱりそうなのか。
「だから、すまないが、お前はクビだ。今日までの給料はこの封筒に入っるから、もう来なくていいからな?」
「...........のか」
「あ?これ以上話すことはないぞ?」
「またなのかこんちくしょうがッッッ!」
給料の入った封筒を片手に、俺はやりきれない想いを叫んでいた。
「また、またなのか...また、そんな理由で...俺は排除されるのか......」
分かってはいた。
この俺にクビが言い渡された理由なんて、最初っから分かってた。
それでも!一生懸命やってきたのだから、せめて店長だけでも、感謝して欲しかった...
けど、給料を受け取った時のあの店長の目。
「なんで、そんな目で俺を見るんだ...」
汚いものを見る目、虫を見る目、そこからわかる感情はただひとつ、嫌悪。
それは、学校で、道で、店で、生きているだけで向けられる目。
「お願い、だから...」
ああ、分かってた。俺は、富高結月は
「たった1人、たった1人でいいから」
この世のありとあらゆる人間から
「僕を、愛して.....」
嫌われていた