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結月君は愛されたい  作者: 劇団ゆかり
1/1

結月君は愛されない

今回、初めてこのような場所に投稿させていただきます。

不慣れなことが多々あり、読みにくい箇所がえるやもしれませんが、なんとしてでも完結まで続けるので、良かったら読んでいって下さい。

両親が死んだ。僕が13歳の時だ。

中学に入ったばかりで緊張しながらも授業を受けていた時、学校に連絡があった。

あの時のことは未だに鮮明に覚えている。

駆けつけた病院で、2人はただ眠っているようにみえた。2人の顔に笑みさえ浮かんでいた程に。

原因は未だに不明。

ただひっそりと、静かに死んでいた。



ここから、僕の地獄は始まった。



「お父様、それでは私は下に降りますので」

「............................」

「最低限の仕事はこなしてくださいね?わかりましたか?」


今日、私はここを去る。

恐らくこれが父との最期の対話だろう。

ならば、ほんの少しでいいから返事をして欲しい。

そんな思いを込めて、私は父の目を見た。


|(ああ、だめだ、この父親は屑だ)


その目にはもはや何も見えていない。私を娘とすら認識していない。父は...彼は過去を観ているのだろう。


あの最愛の人を思い出して。


|(......ああ、腹立たしい)


周りから見れば、今の父はかわいそうな人に見えるのだろう。

けれど私は知っている。

父は被害者などでは決してなく。


ただただ、1人の人間の運命を歪めた、駄神(かみ)なのだと。



「おい富高(とみたか)、お前クビな?」

「.....は?」


何を言っているのだコイツは。この俺が?クビ?

俺はこのスーパーでのバイトで、常に完璧だったはずだ。

仕事の覚えは早く、言われたことはしゅんじにこなす。そんな非の打ち所のない働きをしてきた。なのに...


「なぜです?僕はミスもせず、仕事は完璧にこなしていたはずですが?人件費削減だとしても、僕よりクビにすべき人はいるでしょう!?」


実際、同じシフトの山代は何度もミスをしている。クビにするとしたらまずそっちだろう。


「それなんだが、お前以外のやつに聞いてみたんだ、なんでそんなにミスするんだと、そしたら...」

「そしたら?そしたらなんですか?」

「......お前が邪魔なんだと。お前みたいな奴が居ることがストレスになっているそうだ」

「...............」


ああ


「お前は確かに完璧だ。だがな、だからといって、店内の和を乱す奴は要らないんだ。分かるか?」


そうか、やっぱりそうなのか。


「だから、すまないが、お前はクビだ。今日までの給料はこの封筒に入っるから、もう来なくていいからな?」

「...........のか」

「あ?これ以上話すことはないぞ?」


「またなのかこんちくしょうがッッッ!」


給料の入った封筒を片手に、俺はやりきれない想いを叫んでいた。


「また、またなのか...また、そんな理由で...俺は排除されるのか......」


分かってはいた。

この俺にクビが言い渡された理由なんて、最初っから分かってた。

それでも!一生懸命やってきたのだから、せめて店長だけでも、感謝して欲しかった...

けど、給料を受け取った時のあの店長の目。


「なんで、そんな目で俺を見るんだ...」


汚いものを見る目、虫を見る目、そこからわかる感情はただひとつ、嫌悪。

それは、学校で、道で、店で、生きているだけで向けられる目。


「お願い、だから...」


ああ、分かってた。俺は、富高結月(とみたかゆづき)


「たった1人、たった1人でいいから」


この世のありとあらゆる人間から


「僕を、愛して.....」


嫌われていた

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