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呼出

弦を揺らし、音を繰り出す



僕は昔、バンドをやっていた。昔といっても高校生の時だから1年前なんだけど。



組んでたのは3Pバンドで僕の担当はギターボーカルでアルペジオという奏法を得手としていた。



曲はメンバーがそれぞれ自分の好みにあわせて曲を作ってきていたため、ジャンルはポップ、ロック、パンク、メタル、等々なんでもやっていて、ここらへんで少しだけど名を知られていた。




僕はプロになりたかったのだ。でも、ある事件があって僕はバンドをやめた。



バンドをやめたっていっても僕は音楽が大好きだけどね。




どうすればもっと楽しく良い曲が作れるか。



高校生の時、そうやってずっと自問自答しながら練習していた為、今でも悩んだ時にはすぐギターを手にとって、ひたすらお気に入りのAとEのコードを交互に弾き続けながら物事を考えるのが癖になっていた。



積山書店に行って2日経った。



ジンさんの提案とは、積山書店ゴーストバスターズの2人組が解決できない問題を僕にやってほしい、とのことだった。どうやらこの問題を解決すれば答えがわかる、もしくはジンさんが教えてくれるらしい。



「女の子を成仏させてほしいんだ」



それこそジンさんの分野じゃないかと思ったが、ジンさん曰く、



「わたしのやり方はね。霊がしてほしいこと、成し遂げたいことなどを代わりに僕がやってあげるという方法なんだ。まぁこれが大体普通だよね」



ということらしい。



思ってたより普通の成仏のさせ方だったので少し残念だった。もっと札とかバッて出したり呪文を唱えたりしてかっこいい感じで成仏させると思ったのに正直ジンさんにはとてもがっかりだ。





「一茶〜、お客さんみたいだよ〜」



となぜか少し上機嫌の日傘に両手ほっぺたをパチンと叩かれ現実に引き戻され、ギターの手を止める。




「ぶっちゃけお前幽霊感なさすぎだろ...で?どちらさま?」

「黒スーツのBBA」



日傘が答えた瞬間僕の家のドアが吹っ飛んできた。

なにこれ、どっかの戦闘アニメの世界に迷いこんじゃった?




ドアが吹っ飛ぶことによって舞い散った埃が落ち着き、影が見えてきた。



積山書店ゴーストバスターズの退治担当、千里ちゃんこと歩道千里さんだ。



「...私はBBAではない。」

「ゴラァ!!ウチの家のドアどうしてくれんだよ!!B・B・A!!!」



日傘が千里さんの目の前に仁王立ちして火に油を注ぎこんでいた。


注ぎまくっている。



2人は龍虎の如くオーラを放ち、それはもう激しい戦いを繰り広げているのだった。

恐い...とても恐いがこれではいかんと僕は仲介に入った。



「いや、日傘の家じゃなくて僕の家だからな?ところで千里さん、どうしたんですか」

「ジンが女の子のこと言ってたでしょ?その子に合わせに来たのよ。」



千里さんは日傘を睨みつけながら答えてくれた。積山書店での千里さんはクールで無口そうな印象だったのだけれどそうでもなさそうだ。



そういえば電話は千里さんだったらしいけど普通にというか、営業風な感じだったな。




そんな僕の考えを見透かしたような眼で「仕事とプライベートは分けてるの」と言ってきた。



なにかが違うような気がしたが、よーするにツンデレらしい。萌え。



何かを察したようにバッと体をドアがあった方に向けて「行きましょう」とつぶやいて外に出て行った。




僕は慌てて50枚セットのマスクの箱から一枚取り出し耳に掛け、いまだガルルと唸る日傘とともに追いかけた。




まだ午後1時くらいで、蝉の鳴き声が響きわたりジメジメとしたすごく暑い時間、千里さんはなぜか

スーツで上着までビッシリとキメており、全身真っ黒だ。





「あの...なぜ上着まで着てるんですか?暑くないんですか?」

「暑いわよ?でも仕事といえばスーツで全身黒できちんとするでしょ?当然よ。あなた、常識ないのね」



ツンデレだからこの後デレが来るかと思ったんだが千里さんは冷たい表情で前を向く。




てか常識ないのねって言われた。ツライ...

僕はガックリ肩を落とす


「でも、積山書店だったらスーツじゃなくてもいいと思いますよ?」

「あなた、私の私服姿見たいだけでしょ?変態」

「うひょー正解です。なにか新しいことに目覚めてしまいそうだ!」

「・・・」



こんな感じで僕は私服などの質問責め、千里さんは無視、日傘は黙っていて30分くらい歩いた。



着いたのは駅の近くにあるあんまり目立たない路地裏でポツンとある小さくて古い店だった。



「ここは...?」



中に入ってみると、もう営業していないらしく電気がつかないし、手入れがされてなくて埃まみれだった。




「ヒッ」と急に日傘が僕の袖つかんで来た。



「なんだよ?どうしたんだ?」

「あ、あれっ!」



と奥にある小さなステージに人差し指を向ける。




そこには、足がなくて頭が血で真っ赤の1人の女性が浮いていた。




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