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光明




「ジンさんや千里さんができなくて、僕にできること...ですか?」

「うん、そうだよ。」



僕にできてジンさんたちにできそうにないのはギター弾くことが真っ先に思い付いたが、きっとそういうことではないのだろう。



おそらく霊が見える人特有の何かってことなのか?



たとえば千里さん。千里さんなら式神を扱うことができ、それは僕にもジンさんにもできない。この三人の中では千里さんにしか出来ないことだ。



では僕はなんだ?僕にもそんな超能力的な何かがあるのか?



僕の中で期待がどんどん膨らむ。



「まぁ今すぐわかるってわけではないんだ。家に帰ってゆっくり考えなさい。」

「えっ僕は焦らされるんですか!?」

「んっ?焦らす?」

「い、いえ...こちらの話です...」



僕はとっさ視線下に逸らした。


できれば早く知りたいなぁ




ふと視線を感じで目を向けたら日傘がこっちを見ながらニヤニヤしている。



「どうしたんだよ?こっちをジロジロ見て」

「いや、どーせあんたのことだからかっこいい超能力を秘めてる!!とか思ってたんだろ〜なぁと思って」

「・・・」



手汗がズボンに染みてきているのを感じる。こいつのたまにある勘の鋭さは厄介だ...。これまでにも何度かこいつのおかげでいろいろ恥をかいている。



僕の性癖、僕のナニの大きさ、僕のコンプレックス、etc...



「と、とりあえずもう帰りますね!!」

「う、うん、気をつけて帰ってね」



ササッと急いで立ち上がる僕を少し心配そうな顔で見ながらジンさんは書店の前まで送ってくれた。



外は来た時はまだ明るかったけどもう夕方みたいで太陽が落ち始め、青い空だったのがオレンジから黒になっていくグラデーションのような色になっていた。



書店から僕達の姿が見えたのだろうか、千里さんが窓から顔だけをひょこっと出し、僕達に聞こえるように大きめの声を出した。



「あれ?もう帰るの?」

「あ、今日のところはこれで...!」

「もう一回あそこに行くことがあったら電話してね!前に電話した時にの番号、履歴に残っているでしょ?あれ私の番号だから!」



前に電話されたといえばおそらくこの書店に来るきっかけとなったあの宣伝のような電話のことであろうと思いながら僕は手を振って挨拶をし、家へ帰るため足を進めた。



綺麗なお姉さんの番号ゲッチュ!




誰がなんといおうとこの番号は僕のものだ。誰にも消させはしない。昔、まだ僕が携帯を持ち始めた頃、過保護だった母親は僕のメールのやり取りを盗み見て「この女の子生意気ね」と当時好きだった女の子のアドレスを勝手に消されたことがあったのだ。



そんなことを思い出し、右ポケットに入っている携帯をズボン越しに握りしめた。



すごく嬉しそうな顔をしていたのか日傘は僕の顔を見て微妙な顔をして距離を少しとっていた。



書店が見えなくなるくらいまで歩いたら日傘が急に口を開いた。



「あんた本当にキモいよね。」

「僕はキモくない!」



これまでに何度も言われてきた「キモい」だが、綺麗なお姉さん・千里さんの電話番号をゲットした今、僕の無敵のハートを傷つけることができるのは誰もいない。



僕の即答にびっくりしたのか、日傘はまた僕から1mほど距離をとった。そしてどうでもよくなったのかため息をひとつついて、オレンジのグラデーションの空を見るために顔の角度を上げた。



「それにしても八重ちゃんのこと...どうしよっか。あの感情の感染ってやつ、どうしようもないじゃん...」

「...いや、そうでもないかもしれないぞ。」



そんな僕の言葉が来ることを想像してなかったようで、日傘はバッとこちらに顔を向ける。


「今なんて言った?」

「そうでもないかもしれないぞって言ったんだよ」



今日のジンさんとの会話思いだす。



共鳴、否、感情の感染は幽霊であるならば誰にでも起こりうる可能性がある。その話を聞いたとき、僕はある一つの手段を思いついたのだ。


僕は人差し指を1番近くにいる幽霊に向けた。その幽霊は当たるわけでもないその指に驚き後退りする。




「日傘、おまえも共鳴やってみようぜ」







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