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準備と、その幕間

短めです。

何か色々考えて書いた割に中身が薄くて悶えそうです。

一話完結式は諦め、と言うか元から出来てませんでしたが、自由に書こうかと思います。

お陰様で400PV超えました、これからも頑張っていこうと思いますので、よろしくお願いします。

 魔王達が宿に戻ったのは夕方を過ぎてからだった。

 あの後、貴族区画と一般区画の両方の武器屋に行ってみたが、貴族街の武器屋に関して言えば、見た目の装飾が派手になったりしている部分が多く、それで金額が上がっているモノが大半で、性能だけで言えば一般区画のモノと大差無いものだった。


 結局一般区画の武器屋でリズ用の、魔力を通しやすく剛柔性に優れた古妖樹で出来た弓を一つ。

 そして同じように魔力の電動に長けつつ、ミスリル並の強度を持つ竜鋼石から出来た短剣――これは店主も相当の掘り出し物と言っていたが――を一本、本当ならスペアも欲しかったが流石に無かったのでミスリルの短剣を一本の二本、合計三つを買って終わった。

 魔王も何かいいものは無いかと見てはいたのだが、邪魔になるだけで結局必要ないだろうという結論に落ち着いた。


「簡単なものなら自分で作ったほうが早いしな」

「それ、普通の人の発想じゃありませんから」


 そう言って魔王が作り出した、本当にシンプルな、まるで鉄から削り出したかのような持ち手まで金属で出来た短剣を、カル


が日頃から使っていたミスリルの短剣と数回軽く打ち合わせてみたが、結果は軽い音を立てて簡単にミスリルの短剣が打ち合わせた所から綺麗に真っ二つに折れた。

 魔王曰く、『魔王鋼』と言う名の、そのままであるがオリジナルの素材らしい。

 その強度や性能はヒヒイロカネやオリハルコン、アダマンタイトや竜王石といった伝説級の鋼材に匹敵するらしい。


「頭がおかしい」

「失礼なやつだな」


 カルの素直な反応に憤慨する魔王に、「その武器売れば楽にお金儲けできるのでは?」とカルが言った所、


「そんな事をしたら経済破壊になるだろう?」

「魔王様が……マトモな反論を……」


 と勝手に打ちひしがれていた。





 部屋に戻ると、既に服作りを終えていたメイドが、窓の近くで手紙の形に崩れる鳥を手にしている所だった。

 

「おや、三人ともお帰りなさいませ」

「うむ」


 魔王がメイドに返事をする。

 カルやリズはそれぞれ買った荷物をテーブルの上に置いている。

 と言っても、買ったものは全てリズか魔王のもので、カルの買い物は無いのだが。


「買い物はどうでした?」

「中々掘り出し物があったりと上々だったな」

「それはよろしい事かと」

「よろしくありませんよ、全く、私の三ヶ月分の生活費が一日で消えるとかどういう事ですか」

 うんざりした表情でカルがうなだれる。

「す、すみません」

「いいんですよリズ、使えるものは使える時に使うものです」

 メイドの言葉に諦めたようにカルは溜息を吐く。


「それより、服は出来たんですか?」

「ええ、つつがなく」


 どうぞ、と折りたたんだ服をメイドはカルに渡す。


「リズはこれを、どうせですからもう着替えておきなさい」

「あ、はい」

 

 魔王は無言でカルを追いやるように手を振る。


「あの、私はどこで着替えたらいいんでしょう……?」

「お手洗いか浴場でも使えばよろしいのではないでしょうか?」

「扱いが酷すぎませんかねぇ……」


 やれやれ、といった表情をするとカルは部屋から出て行った。


「……流石に扱いが酷すぎたか?」

 魔王が心配そうに彼の出て行った後の扉を見つめる。

「たまには魔王様の代わりにカル様でもいいかと思いまして」

「……? 何がだ?」

「いじる対象がですが」

「……」


 やはり一番タチが悪いのはメイドだと確信する魔王だった。





「いやはや、予想以上にピッタリで驚きですね」

 着替えて帰ってきたカルの第一声はそれだった。

 確かに、彼が今着ている服――ズボンにシャツにコート、それから帽子――は全てメイドの手製なのだが、まるで型紙から切り出してあつらえたかのように彼の体系にフィットしている。

 黒いズボンにコート、そして靴、浮かび上がるようにそこだけ白いシャツ。

 心なしか今までよりスマートになったように見える。

 浮かんできた感想をしかし魔王は、


「胡散臭さが増したぞカル」

「えぇ、ひどい評価ですね」


 何となく素直に言うのは気が引けたので誤魔化した。


「かっこいいと思います」

「そうですね、悪くないかと。まぁ確かに胡散臭そうな雰囲気もありますが」

「ありがとうございますリズさん、リズさんも綺麗ですよ。

 そしてメイドさんは微妙な評価をありがとうございます」


 リズに礼を言うカル、リズも既に着替えてメイドと同じメイド服になっていた。

 似合う。こうして二人で並ばれると、何だか連帯感のようなものを感じ、自分もメイド服になった方がいいのだろうか、等と感じてしまう。

 勿論そんな事はないのだが。


「そう言えば先ほど、何か手紙を受け取っていなかったか?」

 メイドに尋ねる。

「私にもプライベートというものはあるのですよ魔王様?」

「え、でも私は大体監視されてないか?」

「魔王様にはプライベートはありませんので」

 何それ怖い。と思うと同時にメイドなら本気で言いかねないという思考に陥る。

「勿論冗談ですよ、私もそれほど暇ではありませんので」

 どうやらプライベートは保証されたらしい、どうにも腑に落ちない感じだが。


「カミオ様からの手紙ですよ、ちょっとした頂き物なのですが」

「あぁ、そうだ、カミオと言えば頼みたいことが――」

 魔王の眉間に手紙が叩きつけられる、縦に。

「人の言葉を遮って喋るとはなんですか、はしたない」

「ぐぬぅ……すまぬ」

 眉間を押さえながら魔王は謝る。


「で、なんですか頼みごととは」

 さも面倒そうに、むしろそれを隠そうともせず嘆息しながらメイドが言う。

「うむ実はな――」





「ほぅ、魔王様の偽物ですか」

「カルとリズも聞いていたから間違いないぞ」

 促されたリズも頷く。

「しかしまぁ、魔王様の名をたばかるとは、不遜と言うか恐れ知らずというべきか……魔王の名も随分と安くなってしまったものですね」

 カルは無言だ。


「私としても面倒なのは嫌いだが、かと言って魔王の名を、どこの誰とも知れぬ者に語らせるつもりは無いからな。

 カミオに頼んで調べてもらおうかと思ったのだが」

「その必要は無いかと」

「む?」


 メイドがスっと手紙を差し出す。

「調べさせずとも、ご自身で確かめればいいのですよ」

「どういう意味だ?」


「たまたま頂いたのですが、そちら、闘技大会の観戦チケットですよ」

誤字脱字、おかしな文章があるかもしれません、もし気付いた事などありましたらご連絡頂けたらと思います。

感想等もお待ちしております。

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